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「AMGの存在すら霞むデボネアVシリーズの異端児」生産5台と噂される超絶珍モデル!【ManiaxCars】

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「AMGの存在すら霞むデボネアVシリーズの異端児」生産5台と噂される超絶珍モデル!【ManiaxCars】

全長600mmストレッチのリムジン

ヨーロピアンとアメリカン、なんと2つのスタイルが存在

「AMGの存在すら霞むデボネアVシリーズの異端児」生産5台と噂される超絶珍モデル!【ManiaxCars】

“走るシーラカンス”とまで呼ばれた初代のあとを受け、22年ぶりのフルモデルチェンジで駆動方式をFFに改めた2代目デボネアは1986年8月に登場。その1年後、87年7月に発売されたのが、ここで紹介するデボネアVリムジンだ。

エンジンは2バルブSOHCで多球形燃焼室を持った3.0L V6SOHCの6G72(150ps/23.5kgm)、通称サイクロンV6。バケツみたいな形状のエアクリーナーボックスが、30年前のエンジンであることを物語る。スロットルボディに2本のワイヤーがつながってることから、オートクルーズ装着車ってことも分かる。それを搭載する最上級グレード、ロイヤルをベースに作られたコイツはそもそも生い立ちからしてちょっと変わってて、企画したのは三菱自動車本体ではなく、愛知(現中部)三菱自動車販売だったりする。つまり、販社スペシャルってわけで、600mmに及ぶボディストレッチはBe-1やフィガロなど日産パイクカーの生産でおなじみの高田工業によるものだ。

この手のリムジンというと、まずPAY31改セドリック/グロリアロイヤルリムジンを思い浮かべるのが世の変態グルマ好き。しかーし! その登場は87年12月だから、デボネアVリムジンの方が半年くらい早く世に出てたことになる。それが今回いろいろ調べてるうちに初めて知った事実であり、結果としてデボネアVリムジンの格と変態度をより一層高めることにもつながっている。

ちなみに、オーテックジャパンが試作したPAY31改も生産は高田工業が担当。FRのセドグロはプロペラシャフトの問題などから作業の難易度は高かっただろうけど、全く同じ600mmのボディ延長を始め、実はデボネアVリムジンの制作で得られたノウハウがセドグロロイヤルリムジンに投入されたのでは? と、オレは踏んでいる。

そんなデボネアVリムジンの生産台数を知るべく高田工業と中部三菱自動車販売に連絡するも、どちらも「当時を知る社員がいない」との理由で撃沈。ダメもとで電話した三菱自動車広報部は、「販社スペシャルまでは把握してない」と、これまた暖簾に腕押しな回答(笑)だった。

が、取材を依頼したケイズ・ガレージ・インターナショナルによると、「生産台数は5台…らしい」という具体的な数字が! 真偽は定かじゃないが、あながち的外れでもないと思う。これがもし数十台レベルで売れてたら、もっと話題にもなってたはずだし。その存在自体があまり知られてないだけに、実車を前にして受けた衝撃は、もしかしたら過去最高だったかもしれない。それくらいデボネアVリムジンは珍しく、しかも変態だ。

当時のカタログを見ると、外装の仕上げによってヨーロピアンスタイルとアメリカンスタイルという2つのモデルがあったことにビックリ。

ヨーロピアンスタイルが、延長したセンターピラー部にウインドウを配し、Cピラーのリヤクォーターウインドウも残るオーソドックスな8ライト仕様なのに対し、取材車両のアメリカンスタイルは黒いレザートップ仕様でサイドウインドウはドア部のみ残し、さらにCピラーとリヤウインドウも形状が変わるなど、かなり凝ったつくり。なんとなくキャデラックっぽい感じだから、アメリカンというネーミングにも納得だ。

ひとつ付け加えると変態度はヨーロピアンスタイルよりもアメリカンスタイルの方が確実に一枚上手(笑)だが、直後に出たセドグロロイヤルリムジンに話題をかっさらわれ、日の目を見なかった悲運の1台。当時のカタログでうたわれた「日本のビッグ・ステイタス。」というキャッチコピーが今となってはむなしい…。

続いて内装…というか後席。本来は装備される前席とのパーテーション兼キャビネットが外されてることもあって(つまり、セドグロロイヤルリムジンのロイヤルセレクションIに相当)、足元スペースが明らかにオカシなことになってる。全長&ホイールベースはPAY31改とほぼ変わらないのに、FFパッケージでフロアもほぼフラットゆえ、後席の広さ感はもう断然デボネアVリムジンに軍配が上がる…とオレが言い切れるのは、セドグロロイヤルリムジンを実際に取材したことがあるにほかならず、「こんなヤツなかなかいねぇよ」と我ながら思うのである(笑)。

また、センターアームレストにはオーディオ&エアコンのリモコンスイッチが備わり、その後方はティッシュボックスが収まるくらいの容量を持ったフタ付き小物入れとなる。さらに、リヤスピーカーボード中央にはリヤエアコンと連動して缶ジュースなどを冷やしておけるクーラーボックスも完備。

しかも、取材車両は本来、標準装備されるパーテーション兼キャビネットが取っ払われてるため、後席の足元は寝っころがって仮眠が取れるくらいに広い! もう、こんなに広いと後席に乗る人は落ち着かないんじゃないか…と心配になってしまうほどだ(笑)。ちなみに、セドグロロイヤルリムジンはセンタートンネルがあるから、こうはいかない。

シートはホールド性よりも座り心地を重視したラグジュアリーなもの。そのデザインも含めて、ソファと言った方がふさわしいかもしれない。運転席はリクライニングのみ手動、前後スライドと座面の高さは電動調整式となる。さて、そんなフカフカのシートに身を委ね、試乗といきますか! 始めは5.5mに迫る全長にちょっとビビリが入ってたけど、角ばったボディならではの見切りの良さも手伝って、走り出しちゃえばまるで気にならない。

ダッシュボードは手前にスラントさせることで開放感を演出。ステアリングスポークにはオーディオのリモコンスイッチが設けられる。スピードメーターとタコメーターを中心に、右側に水温計と燃料計、左側に電圧計とエアコンの作動状態を知らせるエアフローインジケーターを配置。

何が良いかって、まずエンジン。今となっては3.0Lクラスとして見るべきスペックでもないけど、とにかく下からトルクが湧いてくるような味わい深いフィーリング。ゼロ発進から1600kgのボディをスルスルと加速させ、4速1500rpm、60km/hくらいで流してる時が最高に気持ちいい。

それとロールやピッチは大きめだけど、ストローク感がたっぷりある足回りも好印象。14インチ70扁平タイヤとのコンビで乗り心地はどこまでもマイルド、そこに3.3m超のロングホイールベースが加わって、ドシッと安定感のある走りを見せる。そもそも飛ばすクルマじゃないし、ラフに操作すると挙動変化も大きいから、ステアリングにしろアクセルにしろブレーキにしろ、とにかくすべてをゆっくりていねいに操作してスムーズに走らせたいという気持ちにさせてくれる。

もうひとつ言うと発売から30年が経つのに、ボディが思いのほかシャキッとしてることにも驚いた。もっとユルイのを想像してたけど、ストレッチに伴ってボディ補強も抜かりなく施されてるのはほぼ間違いない。

2代目デボネアっていうとAMGとか、イギリスの老舗高級紳士服ブランドが内装を手がけたアクアスキュータムとかもあったけど、変態度の高さでいったらデボネアVリムジン、コイツを凌駕するモデルは存在しないのだ。

■SPECIFICATIONS

車両型式:S12A改

全長×全幅×全高:5465×1725×1440mm

ホイールベース:3335mm

トレッド(F/R):1455/1420mm

車両重量:1600kg

エンジン型式:6G72

エンジン形式:V6SOHC

ボア×ストローク:φ91.1×76.0mm

排気量:2972cc 圧縮比:8.9:1

最高出力:150ps/5000rpm 最大トルク:23.5kgm/2500rpm

トランスミッション:4速AT

サスペンション形式(F/R):ストラット/3リンクトーションアクスル

ブレーキ:FRベンチレーテッドディスク

タイヤサイズ(F/R):195/70R14

PHOTO&TEXT:廣嶋健太郎(Kentaro HIROSHIMA)

●取材協力:ケイズ・ガレージ・インターナショナル 千葉県柏市藤ヶ谷1573-1 TEL:04-7190-0512

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