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日本のメーカーはセダンを諦めたのか?? スカイライン IS クラウンの魅力を今一度味わう!!!

掲載 更新 49
日本のメーカーはセダンを諦めたのか?? スカイライン IS クラウンの魅力を今一度味わう!!!

 日本の自動車メーカーは4ドアセダンをあきらめてしまったのか? そう思わずにはいられないほど、国産セダンのラインナップは数を減らしている。

 トヨタはクラウンを筆頭にカムリ、カローラなどをラインナップし、レクサスブランドにはセダン各車を用意しているものの、日産はスカイラインのマイチェンを実施した以外、フーガやシーマは事実上の放置状態。三菱はセダンから撤退している。ホンダにはレジェンド、アコード、インサイトなどのセダンラインナップがあるが、販売の主流ではない。

開発中止は本当にない!? 名門スカイラインが低迷してしまったのはなぜか?

 しかし、ベストカーは「やっぱりクルマの魅力は4ドアセダンにこそある!」と言いたい。

 セダンの魅力を改めて見直して、その存在感を再確認していこう!

※本稿は2021年6月のものです
文/鈴木直也、永田恵一、ベストカー編集部 写真/ベストカー編集部 ほか 撮影/奥隅圭之
初出:『ベストカー』 2021年7月10日号

【画像ギャラリー】セダンvsSUV ユーティリティをギャラリーで比較!!!

■改めて乗って深く納得! スポーティセダンの走りに昂る

 セダンが売れないというのは日本だけの話ではなく、世界的にどんどんシェアを落としている。

 象徴的なのが「セダン王国」と思われていた北米市場だ。2009年に40%近くを占めていたセダンのシェアは、直近の2019年には22%まで低下。2018年にはフォードがセダンからの撤退を発表するなど、セダン離れに歯止めがかからない。

セダンとSUVの販売台数推移。

年間毎のセダン・SUV合計販売台数(それぞれ6車種ずつ)。セダンとSUVの代表的な6モデルの販売台数を2016年から今年4月まで調べてみると、やはりSUVが圧倒的に「売れている」ことがわかる

 この「セダン離れ」については、幸か不幸か日本は世界的な先駆者だ。

 1996年に31%あったセダンのシェアが、2008年には12%まで低下するなど、もう20年以上前からずーっと続くトレンド。原因は言うまでもなく顧客ニーズの多様化で、SUVを筆頭とする「セダン以外の選択肢」にどんどんユーザーが流れている。

 だから、低迷するセダン市場をどうテコ入れするかについては日本のメーカーがいちばんよく知っているし、手を替え品を替え、さまざまな対応策を講じてきた。

 しかし、その長い戦いの結果として得られた結論は、セダンの復権はもはや「お手上げ」という現実だ。

 だって、日本のセダン最後の牙城と思われていたクラウンですら、豊田章男社長が「今やどこにも聖域なんてない」と言って、SUVへの移行を示唆するご時世ですよ。

 トヨタがサジを投げるほど困難な課題、それがセダンの復権というわけだ。

■それでもセダンはクルマの基本だ!

 ところが、そういうトレンドとは対照的に、クルマ好きのあいだではセダン人気は根強いものがある。

 昔から言われているように、セダンは自動車としての基本形。

 4人の大人とその荷物を乗せるというテーマに対して、最もコンパクトで、最も低重心で、最も空気抵抗の少ない、いわば最高に効率的な答えが3ボックスセダンなのだ。

 たぶんこのあたりが、クルマ好き、走り好き、メカ好きの琴線に触れるんじゃないかと思う。

 今回取材に持って行ったのは、スカイライン400R、レクサスIS、クラウン、BMW318iという4台のセダンだが、どのクルマにもスポーツセダンとしての魅力がある。

 取材には比較用のSUVとしてハリアーとBMW X3も同行したのだが、SUVからセダンに乗り換えた時のドライビング感覚の違いは、クルマ好きにとってはやはり無視できない魅力がある。

 例えて言えば、厚手のジャケットから薄いセーターに着替えたような、あるいは革靴からスニーカーに履き替えたような感覚。

 街中を走っているだけなら別にどうという違いもないのだけれど、高速道路や箱根のワインディングみたいなシチュエーションだと、「これはやっぱりセダンならではの味わいだよなぁ」という上質感と心地よさがある。

ハリアーはカムリのプラットフォームをベースとするFF系。クラウンは後輪駆動のGA-Lプラットフォームを採用する。サイズ的には全長4910mm、ホイールベース2920mmのクラウンが全長4740mm、ホイールベース2690mmのハリアーよりもひとクラス上だが、後席居住性は両車ほぼ同等で、感覚的にはハリアーのほうが開放感がある

 ただ、このあたりが現在のセダンの問題点でもある。

 ぼくらはセダンの退潮を憂う記事をこれまで何度も作ってきたが、そこで出てくる結論はいつも「セダンならではの上質な走りのよさを活かしたクルマ」を待望するもの。

 セダン市場の構造はその指摘のとおり推移してきたから、その見立ては正しかったと言えるのだが、結果として起こったのはセダンの復活ではなく、お手頃価格帯セダンの絶滅。

 セダン本来の魅力を追求したら、その反動としてプレミアムセダンしか生き残れなかったというのが実情なのだ。

BMW318iとX3。パワートレーンはPHEVを搭載するX3がパワフルだが……

 かつてのセダン全盛期には、100万円台の大衆車にもセダンのバリエーションがあったし、5ナンバー2Lセダンはファミリーカーとして重要な役割を果たしていた。

 しかし、そういうクルマたちに「セダンならではの質感や走りのよさ」があったかと言えばそれはノーで、より経済的な軽自動車やBセグハッチバック、あるいはより使い勝手のいい5ナンバーミニバンなどに置き換えられてゆくのは必然だったのである。

 つまり、マーケットシェアの数字だけ見てセダンの退潮を嘆くのは間違いで、セダン本来の魅力を引き出せているセダンだけが生き残った、ぼくはそう解釈すべきだと思う。

手前がクラウンで奥がレクサスIS300h。ともに直4、2.5Lエンジンのハイブリッドだが、クラウンは新世代のダイナミックフォースを搭載する

今回撮影に持って行った各車の荷室スペースや後席居住性を細かく計測。その結果は画像ギャラリーに掲載しているので参考にしていただきたい

■セダンの未来はプレミアムにあり!

 そういう「セダンならでは」の走りを堪能するには、今回持って行ったような上級セグメントのセダンでないとなかなか満足できないのがキビシイ現実で、そのためにはザックリ500万円以上の出費を覚悟しなければならない。

 あえて選んだわけではないが今回の4台のセダンはすべてFRで、やっぱりこのへんに「ここから上がちゃんとしたセダン」という見えないラインが引かれているように思われる。

 だから、今後のセダンが進むべき道は明らかで、500万円以上のプレミアムカーで勝負する以外に選択肢はない。

スカイライン400Rに搭載されるV6、3Lツインターボは最高出力405ps/6400rpm、最大トルク48.4kgm/1600~5200rpm

 かつて、トヨタはセダン市場を防衛するにはお買い得なクルマも必要という判断で、エントリー価格238万円でマークXを投入したこともあった。

 結果論ではあるが、これは間違いだった。現実を見てもセダンで売れているのはドイツ御三家+レクサスくらいで、もはや安いセダンを買うお客さんは存在しないのだ。

 ボリュームは小さいけれど、単価が高く(したがって利益率が高い)、成功すれば美味しい市場。これからのセダンは、こうしたプレミアムゾーンでこそ、その存在感を放つことになると思う!

クラウンハイブリッドとハリアーハイブリッド。パワートレーンはともに新世代の「ダイナミックフォース」A25A型直4、2.5Lを搭載する

■ニッポンのセダンは輸入車を見習え!! 魅惑の欧州セダンたち

 イマイチ、意欲的な4ドアセダンのニューモデルが登場しない国産車に対し、欧州を主とした海外メーカーは意欲的。

 ベンツSクラスなんて、後輪ステアを採用したり、先進的な液晶パネルを大胆に採用したコックピットなど、フラッグシップから世代交代を提案する。

 BMWのM3はさらに過激な超スポーツセダンに進化しているし、アルファジュリアには540psにパワーアップされ、レーシーな内外装に足回りを備えたGTA、さらに2シーター化したGTAmを発売(期間限定受注ですでに終了)するなど、積極的。国産メーカーよ、頑張ってくれぃ!

エクステリアは保守的な佇まいの新型ベンツSクラスだが、インテリアや搭載メカは先進的なのだ

アルファジュリアGTA。すでに受注期間は終了

こちらはBMW M3で、価格は1324万円だ

【番外コラム】ライター永田が見た セダンの魅力はこれだ!

●クラウン…撮影に使ったのはスポーティなRSだったが、「クラウンとしてはスポーティ過ぎ」という反省もあったのか、一部改良でサスペンションは少し柔らかい方向になったように感じた。

 インテリアも二段モニターがシンプルになったのは歓迎できるが、ホーンパッドなど細部の樹脂がちょっと安っぽいのが気になる。今はクラウンにとって存続も含め正念場なだけに、次期モデルに向けて頑張ってほしい。

●IS300h…しばらく前に乗った際には特に強い印象は残らなかったのだが、サスペンションの動きがよく、乗り心地が318iよりだいぶいい点には驚いた。

 ただレクサスはそういったクルマを目指しているのかもしれないが、全体的な印象が薄いのは変わらず、約500万円からという高級車として輸入プレミアムカーと比べてしまうと、いろいろな意味で厳しいのではないだろうか。

●スカイライン400R…アクセルを深く踏むと、とにかくもの凄いパワーで、スカイラインらしい、日産らしいと言えばそれも確かだと思う。しかし、個人的にはセダンでこの荒々しい手法はスポーツセダンのスカイラインと言えど、初代シーマのような昭和的な古いコンセプトにも感じ、スカイラインというクルマが今後進むべき道は難しそうだ。

●BMW318i…スペックは2Lターボながら318相当の156馬力だが、体感的には充分な動力性能なうえに使い切れるという楽しさもあり、320iとほぼ変わらない装備内容や価格を考えるとベストな3シリーズセダンと感じた。

 ひとつだけ惜しいのがランフラットタイヤの影響もあるのかもしれないが、乗り心地が若干粗いことで、パンク修理キットを積むなどして普通のタイヤに替えるかダンパーに手を加えると、快適性は大きく向上する予感がする。

セダンにはSUVでは得られない「走りの魅力」を感じることができた

【画像ギャラリー】セダンvsSUV ユーティリティをギャラリーで比較!!!

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  • 「クルマは悪くないのに売れない・・・」は90年代の日産経営陣がしきりに発した愚痴。その結果、倒産寸前まで追い込まれ、ルノー&ゴーンの軍門に降り、そのゴーンに好き放題にかき回された挙句、更なる経営的混迷に陥る事になった。大量生産される車種は売れてナンボ。良いも悪いも、まずは売れなくては話にならない。冒頭の「クルマは悪くないのに・・・」の愚痴は、それが出る時点で当該のメーカーや車種が終わっていることの証左と言える。
  • 我が家はセダンとSUVの二台持ちだが、セダンになんて誰も乗りたがらない。「セダンならではの上質な走りのよさ」なんてお父さんだけが味わえる喜びで、他の家族にとっては見晴らしの良さや広々とした開放感のほうがよっぽど重要なんだろうね。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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