ダイハツ工業が、新車開発プロジェクトを大きく修正したことが7月11日までに明らかになった。軽ハイブリッド車(HV)の開発を中止し、新型「トール」の発売は2027年6月以降に延ばす。さらに、法規対応を柱とした継続生産車の改良が間に合わず、今年11月から一部車種の生産を再び見合わせる。一方、開発をほぼ終えている新型「ムーヴ」と軽商用EVは、25年春の発売を目指し、型式指定の申請などを進めていく。
主要な仕入れ先にこうした方針を伝えた。
ダイハツ、継続生産車への新基準適用で11月に生産停止の可能性 ムーヴキャンバス・タント・ミライースは販売継続
ダイハツはもともと、23年度中に(1)軽HVと(2)新型トール、(3)新型ムーヴ、トヨタ自動車やスズキと共同開発する(4)軽商用EVの合わせて4車種を発売する予定だった。しかし、小型SUV「ロッキー/ライズ」での不正が発覚した23年5月ごろから新型車の開発を凍結。今は開発を再開し始めているが、2月に公表した再発防止策で「開発標準日程」を従来比1.4倍にした。このため、新型車、継続生産車とも法規対応が間に合わなくなり始めた。
井上雅宏社長も4月のインタビューで「一番クリティカルなのが規制だ。各国当局のスケジュールで決まっているので、これをまたぐと製造や販売が止まってしまい、仕入れ先などの事業に影響が出てしまう」と語っていた。
認証不正の影響で、同社は昨年12月から国内全工場の生産を停止し、5月にようやく全面再開にこぎ着けた。7月17日には最後まで残っていた「ロッキー/ライズ」のHVの生産がようやく再開する。しかし、結果として24年3月期は不正関連費用で約700億円の特別損失を計上したこともあり、単体ベースで31年ぶりの営業赤字(約50億円)に終わった。
足元では受注が回復しつつあるものの、新型車や一部改良車の発売が遅れることで今期も一定の機会損失は避けられない見通し。仕入れ先などへの補償も続くことになりそうだ。
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