1月10日から始まる東京オートサロン2020(幕張メッセ)にて、GRヤリスが世界初公開となる。そのプロトタイプ試乗記などは既報だが、やはり気になるのは価格だ。
GRヤリスは、新開発の1.6L直列3気筒ターボに6速MTの組み合わせで、駆動方式も新たに開発された4WD。ボディはベースのヤリスとは異なり、専用開発の3ドア。エンジン出力は270馬力前後ともウワサされ、軽量ボディを生かしたスーパー4WDマシンとして開発された。
総額20万超えの超絶クオリティ。ワイルド・スピード「ダッジ・チャージャーR/T」の週刊ディアゴスティーニ
というわけで価格を想像するのに…ヒントになるのは、旧ヴィッツをベースとした限定車「ヴィッツGRMN」(2018年)だろう。わずか150台という販売台数に限られた希少なモデルであり、エンジンはスーパーチャージャー付きの1.8L直列4気筒、トランスミッションは6速MTを搭載。最高出力は212馬力、駆動方式はFFで、いわゆるホットハッチ系のモデルであった。そして価格は400万! ヴィッツをその価格で!?と思いきや、申込みの数は3000件を超えたとのことで、抽選となったのも記憶に新しい。
そしてGRヤリス。WRカーのホモロゲーションモデルとしての役目も担うため、年間2万5000台の生産が目標。そう限定車ではなく、欲しいと思ったら誰でも買えるのだ。もちろん、人気が集中したら納車はかなり待たされることになりそうだが…。
というのも、GRヤリスの生産方法はほかのトヨタ車とちょっと違うらしい。「GRヤリスは、普通のヤリスとはボディも違うし、ヤリスのラインで同じように組み立るのは難しい。そこで、GRヤリスはラインに流すカタチではなく、別の場所で台車に載せて人が手押しで移動させて、パーツを組み上げていく方式を取っています」とのこと。
それって、スーパーカーみたいな造り方…余計にコストがかかってしまうのでは?と思いきや、「大規模なライン投資が不要になるのがメリットです。年間に何十万台も生産する場合は別ですが、GRヤリスの生産規模ならこっちのほうが全体としてコスト削減に繋がる。スポーツカーは利益が出ず、トヨタとしても作っては辞めの連続だった。86やスープラなど、スポーツカーを開発・販売はしていますが、自社でスポーツカーを生産したのははるか昔。GRブランドとしてスポーツカーを造り続けるために、GRヤリスでは1円でも利益を出さなければならないという使命もあるんです」。
GRヤリスの生産は、トヨタの元町工場内、おそらくレクサスLFA工房を改修した場所で行われるのだろう。
「ラリーで勝てる速さ」、「誰でも買える価格」、「造り続けるため、1円でも利益を出す」といういくつもの難しさを抱えながら、GRヤリスはまもなく正式発表を迎える。
おそらく、いくつかグレードが用意されるはずである。量販グレードで400万円、その上に大きなタイヤやサスペンション、LSDなどフル装備バージョンが430万程度、そしてラリーやサーキットベース車として400万円を切るモデルが用意され…というラインアップだろうか?
もちろん、安ければ安いほどうれしいのは当たり前だが、GRヤリスは400万円で販売されたヴィッツGRMNとは別物のスペックを持つ4WDマシン。内容を見れば、「これは買い!」と思わせてくれる価格設定を期待したい。
〈文=driver@web編集部〉
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本当に記事通りのパワーと価格なら…だけど。