レクサスはまずアメリカでブランドの基盤を築いた
日本ではトヨタ自動車は「トヨタ」、日産自動車は「ニッサン」というブランド展開ですが、アメリカは違います。たとえばGM(ゼネラルモーターズ)にはGMというブランドは存在せず、「キャデラック」や「シボレー」がブランドにあたります。それぞれのブランドは棲み分けが明確で、どんなに高級なシボレー車でも、格上のキャデラックの高級感は与えられません。
80年代後半になると、北米に展開していた日本の自動車メーカーも、ブランドを増やすことでそれぞれのブランドの特徴を明確にする戦略に出ます。ホンダの「アキュラ」、日産の「インフィニティ」、トヨタの「レクサス」などがそうで、この3ブランドはすべてプレミアムを標榜しました。アキュラが1986年、レクサスとインフィニティが1989年、まさに日本はバブル経済の真っ只中です。
日本式のモノづくりやおもてなしが人気の原動力に
レクサスがアメリカで成功したことにはさまざまな理由があります。クルマが高品質であったことは言うまでもありませんが、日本式のモノづくりで、日本式の使い勝手のよさをクルマに盛り込み、それがアメリカ人も納得する高級感や、欧州でも通用する性能に繋がりました。
販売スタイルでも「おもてなし」の心が用いられますが、これはいかにも日本的というか、従来のアメリカにはなかった魅力となりました。レクサスのディーラーでは、「売ること」よりも「もてなすこと」が重視され、それが結果としてブランド成功につながったとまで言われています。
日本ではブランド展開が遅れたことが逆に成功の原動力に
アメリカでの誕生から約15年を経て、日本でもレクサスブランドの展開が始まりましたが、このブランクがうまく機能しました。日本にはプレミアムブランドが存在していなかっただけに、日本に展開する前からレクサスは特別のものとして意識され、並行輸入車は特別な存在として扱われました。
トヨタがその効果をねらったわけではないでしょうが、結果的に“手に入れたくても手に入りづらく、(並行輸入車としてなら)手に入れることができないわけではない”という状態が続いたことで、レクサスの特別感は膨らみ、まさに満を持してレクサスの国内での展開が始まるのです。
2005年、日本でレクサスディーラーの展開始まります。従来、日本メーカーの自動車ディーラーは、明るい雰囲気でファミリー層が訪れやすいことを重視する設計で、のぼり旗や風船をあしらったりしたものですが、レクサスは黒を基調としたシックな作りで、明らかに従来のディーラーとは異なる雰囲気を押し出したのです。敷居の高そうな店構えと、従来の自動車ディーラーとは明らかに次元の異なるレクサス流のおもてなしの相乗効果で、差別化を望んだ高級志向ユーザーの心をキッチリとつかんだことが成功の大きな原動力となりました。
レクサスは多くの国産車のようにモデルごとに異なったグリルデザインではなく、グリルデザインを統一化して、ブランド全体でのプレミアム感を増していきます。現在のスピンドルグリルは2012年から採用、2017年からは店舗デザインにも採り入れられました。次世代のクリエイターを育成する「レクサス デザイン アワード」などの文化活動への取り組みや、近年では東京・日比谷に「LEXUS MEETS」と呼ばれるブティック&カフェを備える体験ギャラリーをオープンするなど、ブランドイメージの浸透にも余念がありません。
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無駄と分かっていても挑戦するのがレクサスの指名だと思う。コストを意識した車作りならトヨタで十分だよね。