ステアリングホイールを支えるコラムからシフトレバーを生やす「コラムシフト」。かつては多くのクルマが使っていた方式だが、こいつが再び注目されている。たとえばメルセデスは従来からコラムレバー派だったが、最近はフォルクスワーゲンもコラムレバー式を採用した。それだけじゃない。近頃はスタートボタン自体を無くしてしまったモデルも登場するなど、操作系がどんどん変態化しているのだ!
文/吉川賢一、写真/メルセデスベンツ、フォルクスワーゲン、テスラ、Adobestock(トビラ写真=Tomasz Zajda@Adobestock)、ベストカー編集部
懐かしのコラムシフトも復活? シフトレバーがどんどん変態化している件!
■シフトバイワイヤ式の採用で、どこにあってもよくなった!
メルセデスの新型Eクラス(W214)のインテリア。シフトレバーはステアリングホイール右の後方(ウインカーの反対側)にある。センターコンソールにはジョグダイヤルやシフトレバーなどの突起物は一切配置していない
かつては、シフトレバーの下側につないだワイヤーを介してギアセレクターを作動させていたシフトレバーだが、昨今のクルマは機械式につながらないシフトバイワイヤ式の電制ギアセレクターが採用されている。
電制シフトはギアをセレクトする機能があればいいので、レイアウトやサイズ、操作方法といったデザインの自由度が高くなり、また、部品劣化による故障や維持管理にかかるコストも低減し、操作ミスを抑止することもできる。
さらには、先進運転支援技術との連携によって、車外から操作することで、人が乗っていなくても自動で後退、停車、エンジン停止をすることも可能となった。
昨今の新型車でもっとも多く採用されているのは、セレクトレバー式のギアセレクターだ。トヨタ車全般や日産車で多く採用されており、上下や左右に動かしてシフトポジションを選び、手を離すと元の位置へと戻る構造となる。コンパクトかつデザイン自由度が高いのがメリットだ。
ホンダはプッシュ式のギアセレクターを広く採用している。近年でいえば、ステップワゴンや新型アコードはプッシュ式セレクターだ。また、スバル「ソルテラ」/トヨタ「bZ4X」や、シトロエン「ベルランゴ」/プジョー「リフター」などでは、ダイアル式のギアセレクターが採用されている。
メルセデスでは、5代目のSクラス(W221型)でコラムシフトを採用したあと、6代目Sクラス(W222型)、現行の7代目Sクラス(W223型 2020年~)と継続しており、いまではAクラスからGクラスまで広く採用されている。
電制シフトとなっても、従来のシフトレバーと同様のストレートゲートのシフトノブを採用するメーカーもなかにはある。
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■VWの新型車は「先端をねじる方式のギアセレクター」を導入
2023年9月19日に発表となった新型ティグアンのコラムシフト。レバー先端をつまみ、回転してシフトチェンジする新方式となった
2023年9月1日に発表された、フォルクスワーゲンの新型パサートヴァリアントや、同9月19日に発表となった新型ティグアンでは、コラムレバータイプのギアセレクターが採用されている。
レバー先端をつまみ、回転してシフトチェンジする新方式だ。メルセデスのコラムレバーは上下に押す方式のため、すこし触れるとNレンジに入ってしまうことがあるが、このフォルクスワーゲンの方式であれば、このような誤操作は防げるだろう。
ギアセレクターは、基本的にはDレンジ(Sレンジ)やRレンジ、Pレンジにチェンジするときだけ操作するもの。
操作時以外の時には邪魔にならないステアリングホイール後ろに移動させることで、センターコンソールに、ナビやオーディオ、各種設定を操作するためのコントロールダイヤルを仕込んだり、スマホの充電エリアにしたり、大容量カップホルダーにするなど、より有益に活用できるようになった。
速度コントロールしたい場合に使ってもらえるよう、メルセデスではパドルシフトを積極的に導入している。VWの新型2台はパドルシフトが付くかは確認できていないが、おそらく「GTI」や「R」といった上位機種には備わってくるだろう。
■スタートスイッチをなくしてしまったクルマも!
テスラの新型モデル3のインテリア。旧型モデル3にはコラムシフトレバーがあったが廃止された。またボタンやスイッチ、ウインカーレバーもなくなり、超シンプルに
このように、さまざまなタイプのギアセレクターが混在しているのは、他メーカーと差別化を図るため、自動車メーカー側がよりよいギアセレクトの方式を模索している、ということの現れであろう。
フォルクスワーゲンではさらに、プッシュ式スタートスイッチすら無くしてしまったクルマも登場している。2022年11月に日本発売となったフォルクスワーゲンの最新BEV「ID.4」がそれだ。
スタートスイッチの代わりとなるのは、液晶メーターの右上に設置されているシフトスイッチ。クルマに乗り込んだあと、ブレーキを踏んだ状態で、スイッチをつまんでDドライブ、もしくはRドライブへ回すと、車両のシステム起動と合わせて、走行が可能となる。
走行を終えてPレンジにシフトチェンジをすると、車両はスタンバイ状態となり、シートベルトを外してクルマを降り、ドアを閉じると、シャットダウンする。
この方式は、想像していたよりも使い勝手がよく、試乗の帰りに自分のクルマに乗った際、喪失感(便利すぎて機能がないクルマにはもう戻りたくない)を覚えるほどだった。
まさかスタートスイッチがなくなるとは思わなかったが、BEVはもとより、ハイブリッド車やPHEVといった電動車であれば、同じ機能はすぐにでも採用できるはずだ。
さらには、テスラの新型モデル3では、ウインカーレバーやシフトレバー、スイッチなど全ての機能を、液晶ディスプレイやステアリングスイッチへ埋め込んでしまった。
ここまでやられてしまうと、スムーズにスタートできる気がしないが、ここまで割り切ったUIの操作性は大いに気になる。この先、どんなスイッチがなくなり、どんな操作方法が登場するのか、今後も非常に楽しみだ。
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みんなのコメント
1トン以上の物体を動かす機械を操作してる(それも間違えたら自分も周りも危ない)んだからせめて前進と後退のギアは感触変えるとかしといてほしいね。