一部改良を受けた新型レクサス「IS350 “F SPORT”」に今尾直樹が試乗した。消えつつあるマルチシリンダー自然吸気エンジン+後輪駆動の魅力とは?
初志貫徹
内房の渓谷に男性的なサウンドが轟く。こんなクルマがハイブリッド大国のニッポンにあったとは!
ま、筆者もその存在は知っていましたけれど、その名はレクサスIS350である。世にも貴重な、自然吸気の3.5リッターV6エンジンを搭載する、コンパクト スポーツ セダンをあらためてご紹介します。それというのも、今年8月にまことに小さな改良を受けたからだ。
レクサスISというのは、国内では「アルテッツァ」という名前で1999年に登場した。この初代ISは、4ドア セダンではあったものの、トヨタにとって、久々の小型FR(フロント エンジン/リア ドライブ)だったことを思い出していただきたい。知らないひとは思い出しようもないわけですけれど、トヨタ=レクサスは、初志貫徹というか、この初代ISのコンセプトを21世紀のこんにちも守り続けている。
そのコンセプトとは、“レクサスの走りの象徴”という位置づけである。3代目ISが登場して3年後には、フロント・サスペンションのロワー・アームをアルミ化し、2020年の2度のマイナーチェンジでは、ボディ剛性を高め、ホイールの締結にスタッド&ナット式よりもタイヤ取り付け部の剛性が高められるハブボルトを採用、応答性のよいとされる「スウィングバルブショックアブソーバー」に変更したり……といったチューニングを施している。
2度目のマイナーチェンジでは、デザインにもテコ入れしている。前後フェンダーの膨らみが強調された現在のエクステリアとなったのはこのときだ。同時に“F SPORT”には前後異サイズの19インチの専用ホイールを採用し、より高い運動能力と同時に、よりアグレッシヴなスタイリングを手に入れている。
さらにこの夏には、481ps、535Nmの5.0リッターV8自然吸気を搭載したIS500“F SPORT”というモンスター・セダンを国内発売し、「走りの象徴」の神格化を図ってもいる。
ほぼ同時期に、それ以外のIS350、IS300h、IS300に“F SPORT Mode Black III” なる特別仕様車を設定している。ごく簡単に申しあげると、フツウはクロームとするところをブラックにすることで精悍さを強調したモードな仕様だ。
特別仕様車ではない、IS350、IS300h、IS300も、インテリアのスポーツ イメージを強化すべく、センター クラスターのメッキの色をダーク シルバーに変更するという、細かい改良を行っている。
筆者は昼間しか乗っていないので、その存在に気づかなかったのですけれど、もうひとつ、「視認性向上のため、オーバーヘッドコンソールにカップホルダー照明を追加」と広報資料にある。夜、カップホルダーのところに照明が当たるようになっているのだとすれば、レクサスの親切に感謝しなければなるまい。カギとか入れたりもするだろうし。
それと、“F SPORT”に「チタニウムカーバイトグレー」という専用ボディ色が追加されている。試乗車はIS350 “F SPORT”ではあったものの、ボディ色は「ソニックチタニウム」という明るいシルバーで、なんで「チタニウムカーバイトグレー」の広報車を借りなかったのか、という疑問が浮かんだものの、世のなかにはさまざまな事情というものがある、ということもまた確かである。
ここで特筆すべきは、「チタニウムカーバイトグレー」が加わったことで、ISにはシルバーだけで、試乗車の「ソニックチタニウム」と「ソニックイリジウム」、合わせて3色もあるという点だ。ISにはシルバーがよく似合う。とレクサスのカラー・デザイナーは考えているのである。
快音に酔いしれる筆者は好天に恵まれた秋の某日、9月13日に登録されたばかりのIS350 “F SPORT”を駆り、アクアライン経由で内房に向かった。房総半島は温暖だからか、紅葉はさほどでもなく、赤いもみじがチラホラ見られる山道を突っ走ってきた。途中、交雑が問題になっているという日本猿の親子が道端にいたりしてギョッとした。あの猿の尾は短かっただろうか、それともちょっと長かったか……。
それはともかく、最初にレクサスIS350“F SPORT”で意外に思ったのは、そのタッチのやさしいことだった。“F SPORT”は、前述したように、前後異サイズ 19 インチ ホイールで、専用のスタビライザーを備え、電動パワー ステアリングに専用チューニングが施されているはずである。それがぜんぜんガチガチではない。
フロントは235/40、リアは265/35という、極太超扁平の巨大なタイヤを履いているというのに、いわゆるバネ下が暴れることもない。地図と連動してダンピングを最適制御する、標準装備の「NAVI AI-AVS」とか、ボディ剛性を高めたことの効果、なにより、2019年に愛知県豊田市下山地区につくられたToyota Technical Center Shimoyamaで走り込んだ成果であるかもしれない。
ハンドリングも、限界域は不明ながら、素直によく曲がる。いわゆるドライブ モードをスポーツ+に切り替えても、ウルトラ シャープというより、どこかマイルドさがあって、とっても乗りやすい。
筆者を含む万人にわかりやすい最良の美点は、3.5リッターのV6が奏でる快音である。
スターター ボタンを押した瞬間、爆裂音を発してドライバーを一瞬のうちに、IS350の世界へと誘う。型式2GR-FKSと呼ばれるこの90度V6は、内径×行程=94.0×83.0mmのショート・ストロークで、最高出力318ps /6600rpm、最大トルク380Nm/4800rpmを発揮する、自然吸気の高性能ユニットである。
ひたすら回転を積み上げることで、パワーを生み出す、いまどき希少なこのナチュラル アスピレーションのマルチ シリンダー エンジンは、3000rpm以上で快音を発し始め、4000以上で金属的なバリトンに音色を変えつつ音量を上げる。さらにガス ペダルを踏み込むと、5000rpm以上で液晶メーターの盤面が黄色く発光してムードを高め、ドライバーの視覚にも訴えてくる。
世界中から消えつつある6気筒の自然吸気エンジンを搭載する後輪駆動のスポーツ・セダン。その名はレクサスの「走りの象徴」、IS350である。
文・今尾直樹 写真・田村翔
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