2003年に経営危機にあったポルシェを救うべく登場したSUVモデルのカイエン。折からのSUVブーム、そして急成長した中国市場の後押しもあって大ヒット作となり、10年に2代目、そして18年に3代目とバトンタッチした。現在もポルシェの屋台骨を支えるカイエンが改良され、その最上位モデルのプロトタイプに試乗することができた。(Motor Magazine2023年11月号より)
カイエンの新たなトップモデルのプロトタイプを試乗
2023年に入ってフェイスリフトを行ったポルシェカイエン。本誌でも前編集長がオーストリアのザルツブルグでの試乗会に参加し、高い評価を与えている。
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そこで紹介されたトップモデルのターボGTは640psか ら660psへ とパワーアップ。そして0→100km/hまでわずか3.3秒、最高速度は305km/hへとアップ、改めて史上もっともパワフルで最速のカイエンとなった。
ところがこのターボGTはアメリカや中国向けで、ユーロ7やそれに準ずる厳しい排出ガス規制が実施されているEU圏や日本(香港、台湾、シンガポール)などの国では改めて高度な排出ガス処理システムを導入しなければならず、コストがかかり過ぎるために販売されないと発表された。
そこでポルシェがこのターボGTに代わって前述の国々で販売を予定しているのが電気モーターの助けを借りたターボ Eハイブリッドである。この新型はSUVとクーペの2種類のボディを用意し、後者にはGTパッケージを設定する。これにはターボGTと同等、いやそれ以上のパフォーマンスが与えられると言われる。
このカイエンの新たなトップモデルはすでに開発はほぼ終了しているが、ポルシェは我々にこの最終プロトタイプに試乗するチャンスを与えてくれた。
カイエンの最上位モデルに相応しいパフォーマンス
パワートレーンは4L V8ツインターボエンジンに加えて130kWの電動モーターと25.9kWhのリチウムイオンバッテリーという組み合わせ。この容量アップのお陰でEV航続距離は72kmへ と向上。さらにオンボード充電システムは11kWに増加、フル充電まで2.5時間へと短縮されている。
試乗時にポルシェはこのパワートレーンの正確な出力については明らかにしていなかったが、後に発表された数字はシステム最高出力739ps、 最大トルク950Nmである。これは明らかにフェラーリ プロサングエの6.5L V12エンジン(725ps+ 716Nm)を意識した数字と思われる。
フルデジタルパネルが並ぶキャビンに入り、スタートする。新しいHEVのドライブトレーンは非常にパワフルで、豪快な加速だがスムーズに速度を上げて行く。増強されたパワーにもかかわらずアクセルペダルの踏み込みに対する電動モーターとエンジンの反応は滑らかだ。スポーツモードではチタンエキゾーストから魅力的な迫力あるサウンドが響き渡る。
8速ATのシフトフィールは敏捷でスムーズ。前285/40R22、後315/35R22サイズのピレリPゼロ コルサタイヤを履いた4WDシステムは、後輪駆動を重視した独特の走行フィールと確実なトラクションをもたらす。
量産モデルでのパフォーマンスは0→100km /h加速が3.7秒、最高速度は295km/ hだが、この数字は3.3秒、310km /hのプロサングエには届かない。しかし豪快な加速と高速域での安定性に加えてダイレクトでスポーティなハンドリングが魅力的だ。
ポルシェ独特の正確無比なステアリングシステムは、前輪のキャンバーを0.45度増加させた結果と同時に後輪ステアによってさらに好ましいステアフィールに仕上がっている。また前述のGTパッケージには標準車よりもさらに10mm 低いスポーツシャシが用意され、さらなるパフォーマンスが期待できる。
短い試乗であったが、新たなハイエンドカイエンのポテンシャルを垣間見ることができた。前述したように、おそらくフェラーリ プロサングエに対するポルシェの意地とも思える、それがカイエン ターボ Eハイブリッドだ。量産モデルへの期待が高まる。(文:木村好宏/写真:キムラ・オフィス)
ポルシェ カイエン ターボ E ハイブリッド主要諸元
●全長×全幅×全高:4930×1983×1685mm
●ホイールベース:2895mm
●車両重量:2570kg
●エンジン:V6DOHCツインターボ+モーター
●総排気量:3996cc
●最高出力:441kW(599ps)/6000rpm
●最大トルク:800Nm/2400-4500rpm
●モーター最高出力:130kW(176ps)m
●モーター最大トルク:460Nm
●トランスミッション:8速AT
●駆動方式:4WD
●燃料・タンク容量:プレミアム・70L
●WLTPモード燃費:ー
●タイヤサイズ:前285/40R21、後315/35R21
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