現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 【ヤマハ MT-09 SP 試乗】同じ車名とは思えない!? 圧倒的な質感に驚いた…小川勤

ここから本文です

【ヤマハ MT-09 SP 試乗】同じ車名とは思えない!? 圧倒的な質感に驚いた…小川勤

掲載 4
【ヤマハ MT-09 SP 試乗】同じ車名とは思えない!? 圧倒的な質感に驚いた…小川勤

◆ここまで質感の高いスポーツバイクは思いつかない
モデルチェンジしたばかりのヤマハ『MT-09 SP』に対面して驚いたのは、圧倒的な質感。頭の中でいろいろなバイクを思い浮かべるものの、900ccクラスのバイクでここまで質感の高いスポーツバイクは思いつかない……。

前モデルと車名は同じ、しかしデザインのまとまりやディテールのクオリティは飛躍的に向上している。これまで『YZF-R1』や『MT-10 SP』などに与えられていた質感を、MT-09 SPに当てはめているのだが、この進化はとてもヤマハらしい。

1300度に耐えるバッテリー搭載、中国EVバスがサウジアラビアの猛暑で高性能を実証

今シーズン、ヤマハはMT-09シリーズのラインアップを拡大。クラッチレバーとシフトペダルを廃し、シフト操作を手元で行う話題の「MT-09 Y-AMT」は136万4000円。MT-09のスタンダードモデルは125万4000円。ここで紹介するMT-09 SPは144万1000円と最も高価だが、この質感と装備を見るとそれは決して割高ではないと思う。ちなみに同エンジン搭載の『XSR900GP』は143万円。『XSR900』は114万円だ。

足まわりは機能を重視し、KYB製のフロントフォークやオーリンズ製のリヤサスペンション、さらにはブレンボ製のモノブロックキャリパーやラジアルマスターシリンダーを採用。しかし、ヤマハらしさを感じるのはタンクの形状やホイール、スイングアームの仕上げの美しさだ。他メーカーにはない意匠がライダーの心に響き、それが所有感に直結する。

燃料タンクの鋭いエッジは、光の当たり方で表情を変え、時にはまるで金属の地肌のように輝く。こんなタンクのエッジは見たことがない。アルミスイングアームのヘアラインは、ヤマハならではの繊細な仕上げ。そして、前モデルまで僕にはエキセントリックにしか映らなかったフロントマスクは、YZF-R1を思わせるヤマハらしさ得ており、とてもシャープ。タンクのエッジとの繋がりも良く、フロントからリヤにかけてのラインにスピード感を覚える。

◆熟成するヤマハ3気筒エンジン
国産唯一の並列3気筒エンジンの魅力は、フラットな特性と音だ。音には排気音と吸気音があり、MT-09 SPはその2つの音にも磨きをかけた。タンク上面にはアコースティック・アンプリファイア・グリルという、まるでスピーカーのようなディテールを配し、吸気音をライダーに届ける工夫を施す。

スマートキーをオンにしてブリッピングすると「ヴュッヴュッ、ヴュォー」と排気音と吸気音が重なった独特のサウンドが響く。並列3気筒は、並列2気筒と並列4気筒の中間とも言われるが、僕はフィーリング的にはどちらかというと4気筒に近いと思っている。

ちなみに通常の並列4気筒の爆発間隔は180度の等間隔だが、並列3気筒は240度の等間隔。3気筒は4気筒よりも爆発間隔が広いためトルク感が明確で、スロットルを開けた際のトラクションを得やすく感じるのだ。走り出すとその個性はすぐに感じられる。

走行中も音が良く、それだけでスロットルを開けるのが楽しい。クラッチ操作レスでギヤチェンジが可能なクイックシフトを使い、矢継ぎ早にシフトアップ。低中速を繋ぐ走りが気持ちいい。郊外に出て少しエンジンの回転を上げ、伸びの良さも確認。音と加速が同期する。クイックシフターは節度が高く、バンク中でもシフトチェンジが可能。減速&加速ともに、トラクションが途切れない感じがスポーティだ。

このモデルからパワーモードもわかりやすく進化。これまでは「A」「B」といったアルファベットだったが、新型は「スポーツ」「ストリート「レイン」「カスタム1」「カスタム2」ときちんとシチュエーションを表示。実際の出力特性はそのシチュエーションを想定しており、カスタムは自分専用のモードに仕立てることが可能。

モードにより、PWR(パワーデリバリーモード)、TCS(トラクションコントロールシステム)、SCS(スライドコントロールシステム)、LIF(リフトコントロールシステム)、BC(ブレーキコントロール)のデフォルトの設定が切り替わる。

ちなみに一般道で「スポーツ」を使うと、僕には少し過敏だった。「ストリート」が気楽だが、それでもスロットルを少し大きく開けるとかなり速い。3気筒の怒涛のレスポンスになれるまで、またはタイヤが冷えている時などは「レイン」を常用してもいいだろう。

高性能サスペンションはしなやかさとスポーツ性を両立。僕は少しバネが張っている感じがしたが、このあたりは前後ともフルジャスタブルのため、好みでアジャストすると良いと思う。ブレンボ製のキャリパーとラジアルマスターシリンダーは、流すような速度でもコントロール性が高い。

◆サーキットでも光る高いスポーツ性
「思っていたよりもスポーツに振ってきたなぁ」というのがハンドリングの感想。タンク上面を下げ、ハンドルを低くしたポジションも適度にスポーティ。シートが前下がりでないため、身体を前後に動かしやすいのも好印象。

また、サスペンションやブレーキの優れたレスポンスは、良いバイクに乗っている実感を高め、それが見た目の高級感とシンクロ。これまでのMT-09の印象はダークサイドでヤンチャ、そして敏感だったが、最新MT-09 SPの振る舞いはとてもジェントルだ。

ただ、試乗終盤に「スポーツ」モードに入れると、しっかりヤンチャな顔を見せてくれた。少し腰をずらして積極的に乗ると、硬めに感じていたサスペンションも釣り合ってくる。新しく採用されたブリジストンのS23のエッジ部分のグリップを引き出し、3気筒特有のトラクションの良さを試すと、軽量&コンパクトなミドルスポーツは、サーキットも楽しそうな振る舞いを見せてくれた。

MT-09 SPは、専用装備としてサーキット走行を想定したTRACK YRCモードも搭載。メーター上でラップタイムの計測も可能で、 TRACK1/2/3/4の各種設定で PWR/TCS/SCS/LIFなどを個別に呼び出し、好みに味付けにすることが可能。また、リヤブレーキのABSをオフにすることもできる。

「いつかは憧れのサーキットへ」。そんなストーリーまでをも用意してくれているのが、MT-09 SPなのだ。

小川勤|モーターサイクルジャーナリスト
1974年東京生まれ。1996年にエイ出版社に入社。2013年に同社発刊の2輪専門誌『ライダースクラブ』の編集長に就任し、様々なバイク誌の編集長を兼任。2020年に退社。以後、2輪メディア立ち上げに関わり、現在は『webミリオーレ』のディレクターを担当しつつ、フリーランスとして2輪媒体を中心に執筆を行っている。またレースも好きで、鈴鹿4耐、菅生6耐、もて耐などにも多く参戦。現在もサーキット走行会の先導を務める。

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

初心者にも優しい、寄り添い型の大型スポーツだった! ホンダのロードスポーツモデル『CBR650R』に試乗するよ~高梨はづきのきおくきろく。~
初心者にも優しい、寄り添い型の大型スポーツだった! ホンダのロードスポーツモデル『CBR650R』に試乗するよ~高梨はづきのきおくきろく。~
バイクのニュース
【ヤマハMT-07・2025モデル発表】デザインも中身も進化した第4世代のミドルネイキッドは、クラッチレス変速のY-AMT仕様もスタンバイ!
【ヤマハMT-07・2025モデル発表】デザインも中身も進化した第4世代のミドルネイキッドは、クラッチレス変速のY-AMT仕様もスタンバイ!
モーサイ
全長4m以下!? 新「5ドアハッチ」登場! 「小さなスポーティ車」何が凄い? 日本導入もアリ得る? 「A290」の印象は?
全長4m以下!? 新「5ドアハッチ」登場! 「小さなスポーティ車」何が凄い? 日本導入もアリ得る? 「A290」の印象は?
くるまのニュース
[Pro Shop インストール・レビュー]BMW X1(日隅伸逸さん)by イングラフ 後編
[Pro Shop インストール・レビュー]BMW X1(日隅伸逸さん)by イングラフ 後編
レスポンス
【20世紀名車】初代Sシリーズ最終完成型。珠玉の4気筒DOHCを搭載した1969年ホンダS800Mクーペの俊敏世界
【20世紀名車】初代Sシリーズ最終完成型。珠玉の4気筒DOHCを搭載した1969年ホンダS800Mクーペの俊敏世界
カー・アンド・ドライバー
ホンダ『NC750X』が2025年モデルに進化!欧州人気に拍車…EICMA2024
ホンダ『NC750X』が2025年モデルに進化!欧州人気に拍車…EICMA2024
レスポンス
ロイヤルエンフィールド新型「ベア650」の乗り味は? カリフォルニアで歴史を刻んだネオ・スクランブラー
ロイヤルエンフィールド新型「ベア650」の乗り味は? カリフォルニアで歴史を刻んだネオ・スクランブラー
バイクのニュース
日本のミニバンとはまるで異なる──新型メルセデス・ベンツV220d EXCLUSIVE long Platinum Suite試乗記
日本のミニバンとはまるで異なる──新型メルセデス・ベンツV220d EXCLUSIVE long Platinum Suite試乗記
GQ JAPAN
ホンダのホンキが詰まった『シビックRS』、カタログにも書かれていない進化ポイントに「真骨頂」があった
ホンダのホンキが詰まった『シビックRS』、カタログにも書かれていない進化ポイントに「真骨頂」があった
レスポンス
【スポーツカーの宝庫!】S2000、ビート、CR-ZにS-MX!一代限りで終わってしまった名車たち:ホンダ編
【スポーツカーの宝庫!】S2000、ビート、CR-ZにS-MX!一代限りで終わってしまった名車たち:ホンダ編
AUTOCAR JAPAN
高速道路も走行可能な150ccクラス・スクーター対決! ホンダ「PCX160」とヤマハ「NMAX155」との違いとは?【ライバルをスペック比較】
高速道路も走行可能な150ccクラス・スクーター対決! ホンダ「PCX160」とヤマハ「NMAX155」との違いとは?【ライバルをスペック比較】
VAGUE
突き詰められたFRの真髄! スバルSTIによる超本気チューンモデル 500台限定 「BRZ tS」サーキット試乗【10年前の再録記事プレイバック】
突き詰められたFRの真髄! スバルSTIによる超本気チューンモデル 500台限定 「BRZ tS」サーキット試乗【10年前の再録記事プレイバック】
ベストカーWeb
M440i以上・M4以下 メルセデスAMG CLE 53 カブリオレへ試乗 ルックスとパフォーマンスの好バランス
M440i以上・M4以下 メルセデスAMG CLE 53 カブリオレへ試乗 ルックスとパフォーマンスの好バランス
AUTOCAR JAPAN
カワサキの“スーパーモト”待望の復活!「オフ車にオンロードタイヤを履かせた」新型「KLX230SM」2025年1月13日に発売決定
カワサキの“スーパーモト”待望の復活!「オフ車にオンロードタイヤを履かせた」新型「KLX230SM」2025年1月13日に発売決定
VAGUE
ストレートなら誰にも負けねー!!!!! プロが選んだ直線番長列伝【10年前の再録記事プレイバック】
ストレートなら誰にも負けねー!!!!! プロが選んだ直線番長列伝【10年前の再録記事プレイバック】
ベストカーWeb
足つき良好! 中型アメリカン/クルーザー5選
足つき良好! 中型アメリカン/クルーザー5選
バイクのニュース
[car audio newcomer]スズキ ラパン(七原龍治さん)by Warps 後編
[car audio newcomer]スズキ ラパン(七原龍治さん)by Warps 後編
レスポンス
【海外試乗】現代に甦ったグランドツアラー。伝統のV12気筒降臨「フェラーリ・ドーディチ・チリンドリ」
【海外試乗】現代に甦ったグランドツアラー。伝統のV12気筒降臨「フェラーリ・ドーディチ・チリンドリ」
LE VOLANT CARSMEET WEB

みんなのコメント

4件
  • *****
    ネイキッド乗るならやっぱり丸いライトのバイクがいいな〜(´・ω・`)
  • natuob
    暇で眠くなるヤツやねオートマ
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

146.3190.3万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

10.5201.3万円

中古車を検索
タンクの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

146.3190.3万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

10.5201.3万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村