トヨタは新型ヤリス(旧名ヴィッツ)を公開し2020年2月から販売する。ヴィッツがヤリスとなり一新されたのに対し、アクアは次期モデルが存在せず、現行モデルのみを売り切って生産中止となる、という噂も出ていた。
しかし、ベストカーWeb編集部では新型ヤリスの公開時に、トヨタの開発者から次期アクアの状況について、『現在開発中です』という前向きな証言を得た。
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そう、次期アクアは存在するのだ。そこで販売現場に強いパイプを持つ遠藤徹氏に販売現場から次期アクアについての最新情報を探ってもらった。
文:遠藤徹/写真:TOYOTA、ベストカー編集部
【画像ギャラリー】トヨタアクアの進化の系譜
ベースとなるのは新型ヤリス
新型ヤリスは全長3940×全幅1695×全高1500mmとヴィッツと比べると全長が5mm短くなっただけだが、ホイールベースは40mm延長の2550mm
トヨタのコンパクトクラスにおけるフルモデルチェンジパターンから予想すると、アクアの世代交代は2020年12月発表で発売は2021年2月頃となる。つまりヴィッツの後継モデルである「ヤリス」のちょうど1年後となる。
2021年2月の発表、発売になることもあり得る。というのもヤリスの発表、発売が離れ、変則的なスケジュールになっているのは第46回東京モーターショー開催が関係しているからだ。2020年は同ショーを開催しないので発表、発売が同日になる可能性がある。
アクアはトヨタの新世代プラットフォームであるTNGAを採用したヤリスがベースとなるので走りのポテンシャル、乗り味、質感は現行を凌駕するのは間違いない
次期型アクアは当然のことながら、新型ヤリスと同じ「TNGA」プラットフォームでパワートレインも新開発の3気筒1.5L直噴の2モーターリチウムイオンバッテリーを移植する。
燃費もFFの最良値がJC08モードで44.0km/L、WLTCモードで35.8km/Lとヤリス並みに空前の低燃費を実現させる見込みだ。
新型ヤリスのハイブリッドには新世代の1.5L、直3DOHCのダイナミックフォースエンジンが組み合わされハイブリッドシステムも一新される。これにより世界最高レベルの燃費を実現。このハイブリッドシステムと同じものが次期アクアにも搭載されることになる
新型ヤリスとモロに競合
ただコンセプトは若干路線変更される可能性がある。現行アクアはこれまでトヨタ全系列店併売でヴィッツはネッツ店の専売だったから、同じハイブリッドで両モデルが競合しても差し支えなかった。
ところが新型ヤリスになると東京以外の他地域については2020年4月まではネッツ店の専売だが、2020年5月から全国規模でアクアと同じ全系列店扱いになる。これだと次期型アクアは新型ヤリスとの競合を避ける必要が生じてくる。
これまでのヴィッツはガソリン車がベーシックコンパクトカー志向で小回りが利き、室内が広く、タウンカー的な要素が強く、女性ユーザーが比較的多く愛用していた。
これに対してハイブリッド車は低燃費だが、価格がガソリン車より40万~50万円高いため、相応の所得が多めの若い男性の販売比率が高い。この差別化は後継モデルの新型ヤリスも同様といえる。
新型ヤリスとの差別化がカギ
いっぽうアクアはヴィッツ、ヤリスのハイブリッドとクラスは重なる。加えてアクアのエクステリアデザインは全高が低く、スポーティ&スタイリッシュで男性受けのよいボディシェルを採用している。
アクアは2012年にデビューし、2度のマイチェンを経て現在の顔になった。ヴィッツ、ヤリスと比べて全高が低いため室内スペースの面で不満は出ている
カッコのよさに反して背の低いクーペ的なデザインが後席の狭さ、ヘッドクリアランスの低さがネックになっている。したがって次期型ではこれらの手直しで居住空間の拡大、クオリティアップでの上級シフトによって新型ヤリスとのコンセプト分けを明確にすると思われる。
このためサイズアップ、全高の引き上げなども行われる可能性がある。新型ヤリスの全幅は1695mmの5ナンバーサイズだが、サイズアップで全長を若干延長し、全幅は1700mm超えの3ナンバー化に踏み切るかも知れない。
これまで得た情報をもとに作成した次期アクアの予想CG。現行モデルのネガ潰し、新型ヤリスとの差別化を図るために全幅1700mmを超える可能性もある
同じプラットフォームでもこの程度のサイズアップには対応できるだろう。これに応じたホイールベースの延長とトレッドの拡大で走りのポテンシャルアップも図られることになる。
Cd値は新型ヤリスで0.30であるから、次期型アクアは0.2台に引き下げられ、これが燃費低減や走りの向上に寄与するに違いない。
安全面は「トヨタセーフティセンス」をヤリス以上に進化させる。先進ネットワークのコネクティッドサービスの採用もしかりである。
現行アクアは燃費を追求するコンパクトであると同時に、スポーツモデルのG's、GRスポーツが設定されるなど走りの楽しさも追求してきた。これは次期モデルでも同様のハズ
現行モデルは今が買い時
現行モデルは引き続き堅調な販売を続けている。最近は特別仕様車の「Sスタイルブラック」が売れ行きの大半を占め、納期は2カ月となり、2020年に持ち越されている。
モデルが古くなり、量販モデルの特別仕様車が売れ行きの中心になると、約1年後に世代交代するのがこれまでの例である。今購入するとナビ、ETC付きで25万円以上の値引きが可能だから、買い得の状況にある。
現在一番の売れ筋は特別仕様車のSスタイルブラックとなっている。モデルが古いにもかかわらず納期は2カ月ほどかかる。ただし値引きも大きいので買い得感は高い
証言1:首都圏トヨタネッツ店営業担当者
現行ヴィッツの約1年後にアクアが発売になっているから、あと1年あまり先に世代交代する時期になると予想できるのは自然といえる。
ただ、まだ正確な情報が流れているわけではない。アクアはヴィッツをベースにハイブリッド専用モデルの上級コンパクトハッチバック車として登場したので、次期型も同様にフルモデルチェンジする可能性が強い。
新型ヤリスに搭載されている最新のセーフティセンスだが、ヤリスの1年後に登場するアクアではさらにアップデートされている可能性は高い
パワーユニットも来年2月に発売される新型ヤリスのハイブリッド車と同じになるはずだ。安全対策もしかりである。ヤリスはアクアより背が高いぶん、後席の居住性も広い。これは次期型アクアでは改善して欲しい点だ。
これまでヴィッツはネッツ店の専用モデルで販売面は助かったが、2020年5月からは全店併売となるので、両モデル同士で販売競争が激しくなるだろう。そのぶんヤリスは販売規模が大きくなり、次期型アクアより格段に台数が多くなる可能性がある。
証言2:首都圏トヨタ店
アクアはモデルが古くなったが、販売台数は依然高水準で人気は衰えていない。ただ最終モデルに近い特別仕様車の売れ行きが大半を占めるようになっているので、1年後は世代交代する可能性がある。
ヤリスハイブリッドとの競合を避けるために次期型は多少上級シフトし、スポーティ&スタイリッシュなボディシェルに仕立てられるだろう。
クオリティアップ、走りのポテンシャルアップ、さらなる安全対策強化などで、価格も高くなりそうだ。ヤリスは女性ユーザーを中心とした幅広い層、次期型アクアは男性ユーザーメインとコンセプト分けがより明確になるに違いない。
写真は2017年に追加されたクロスオーバーだが、ヤリスと差別化してプレミアム性を持たせると同時にフィット対策として次期モデルにも設定される可能性はある
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