この記事をまとめると
■新型センチュリーのデザインを統括した園田氏に話を聞いた
56年の歴史に新たに加わった新型センチュリーはSUVではない! 次の100年を見据えた22世紀のショーファーカーだった
■新型センチュリーはショーファーカーとしてデザインするうえでセダンに近づいていった
■センチュリーだからと重さを打ち出すのではなくトヨタ車らしいスタンスの良さを目指した
新型センチュリーが単なるSUVではないことの証
9月6日に世界初公開された新型センチュリー。SUVではなく、あくまでも新しいセンチュリーのカタチだとするスタイルが話題騒然です。今回はそのエクステリアの特徴について、デザインを統括した園田氏に発表会会場で話を聞いてみました。
●SUVではなくあくまでショーファーカー
新型のトピックと言えば、「これはSUVではなく、あくまで新しいセンチュリーだ」と主張している点です。もちろん話としては理解できますが、じゃあSUVではないとする具体的なポイントはどこなのか? が気になるところです。
「単に高級な大型車なのではなく、あくまでもショーファーカーということですね。具体的にはキャビンの後ろにピークを持つキャビン形状により、重心をリヤに置いたプロポーションがあります。また、セダンタイプは薄いボディが特徴でしたが、新型は乗員を守るような厚いボディとしています」(Mid-size Vehicle Company MSデザイン部長 園田達也氏。以下同)。
たしかに、新型のキャビンをよく見ると「あれ、こんなに前傾してたのか?」と思うくらい、高級SUVタイプらしからぬウェッジ感があります。一方、全体のしつらえはセダンタイプのモチーフがそのままストレートに反映されたもの。ですが、新型が打って出るグローバル市場では、たとえば洗練度を極めたランドローバーなど、もっと幅広い表現に溢れています。
「じつは、当初はもっといろいろな提案があったんです。そのなかでは、セダンタイプとはまったく違うスタイリング案もありました。その後、デザイン開発を進めるなかで次第にセダンに近づける方向になったというのが本当のところですね」。
意外にも、当初からガシガシのセダンスタイル一択ではなかったようですが、そのセダン風味のフロントを見ると、上下二段構造のランプ(リヤも同様)に加え、最近のランクル300やアルファードなどと比べ、じつに大人しいグリルが特徴です。
「二段のランプは厚みのあるボディとして、逆にセダンと違った表情を狙ったものですね。グリルは変に脅かすようなものでなく、形状はあくまで王道的とし、グラデーション模様のパターンに工夫を凝らしています。これは透明感のあるアクリルを二重構造にしたもので、歴代のセンチュリーに準じたものなんです」。
センチュリーであることよりもトヨタ車であることを打ち出した
●品格のあるシンプルなボディにこだわる
トヨタ自身が「水平・垂直を基調としたボディ」と謳う新型ですが、ボディの横にまわってみると、とにかく上下に広いドア面に驚きます。目立ったキャラクターラインがないばかりか、大きなS字断面もなく、かなりシンプルな表情なのです。
「サイドはほとんど平面と言っていいほどで、とにかくプレスの担当者に頑張ってもらいました(笑)。しかも、センチュリー独自の几帳面(平安時代の屏障具の柱にあしらわれた面処理の技法)がショルダー面を括るようにハイライトを作っており、これに影響しないよう進めるのも難しかったですね」。
最後にリヤに目を移すと、かなり角度を付けたクォーターピラーが意外です。最初に実車を見たとき、「思ったよりスッキリしているな」と感じたのは、もしかしたらこれが理由だったのかもしれません。
「センチュリーだからといって、必要以上に重さを打ち出すつもりはありませんでした。それよりも、いまという時代に沿った、あるいはトヨタ車らしいスタンスのよさを重視したんです」。
たしかに、クラウンクロスオーバーあたりからのトヨタ車は、シンプルな造形とともにスタンスのよさを徹底して追求しているようです。それはセンチュリーでも変わらないということでしょう。
発表会では、もはや工芸品とも言えるエンブレムなども展示されていましたが、ボディ下部を覆うシルバーのカバーも含め、ここまで日本の美意識を直球で表現したクルマが世界に出ることはなかったかもしれません。
いまや高級SUVは各メーカーの独自性を競っていますが、この「日本の品格」が海外市場でどんな評価を受けるのか、じつに興味深いところではあります。
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みんなのコメント
SUV用途の車じゃ無いんだから。