従来の課題を解決するシリーズ式HV
自動車メーカーは、市民の声を取り入れようと努めている。新モデルの発売直前まで改良を重ね、最善を尽くそうと力を注いでいる。
【画像】1.5Lターボのe-パワー 日産キャシュカイ(旧デュアリス) 競合SUVと比較 全114枚
日本でデュアリスという名で売られていた日産キャシュカイは、欧州市場では3代目へ進化。日本で売られていないことが不思議に思えるが、最新型は、とても優れたファミリー・クロスオーバーだ。
シャープなスタイリングはカッコいいし、装備も充実している。われわれの日常生活に、とてもスマートに馴染んでくれる。
一方で、インフォテインメント・システムは時代遅れといわざるを得なかった。トランスミッションはMTとCVTが選べたものの、1.3Lターボガソリン・エンジンの能力も、褒めにくいものといえた。
2021年にキャシュカイへ試乗した際は、滑らかで強力なハイブリッドが載れば、素晴らしいパッケージに仕上がるだろうとまとめていた。そんな意見に、日産は耳を傾けてくれたのかもしれない。この度、e-パワーと呼ばれるシステムが導入された。
欧州市場では、シリーズ式ハイブリッドを採用する量産車は、キャシュカイが唯一となる。各自動車メーカーから様々なハイブリッドが販売されているが、このシステムは日産独自といっていい。
1.5L 3気筒ターボに190psの駆動用モーター
e-パワーには、従来的な内燃エンジンが搭載されているものの、機械的にタイヤを駆動することはなく、発電機だけを回転させる。その発電機で得られた電気をバッテリーに蓄えつつ、駆動用モーターがタイヤを回し、走行するという仕組みだ。
その発電専門のエンジンは、クランクシャフトのアジャスターによる可変圧縮比技術を採用した、1.5L 3気筒ターボガソリン。インフィニティが北米市場向けに導入をスタートさせ、今回欧州市場にも入ってくることになった。最高出力は158psを発揮する。
ちなみに日本では、セレナなどのe-パワーには1.2L 3気筒エンジンが採用されている。
一方で、タイヤを駆動するのは最高出力190psの電気モーター。一時的に電気を蓄えるため、実容量で1.85kWhの駆動用バッテリーも積まれている。プラグイン・ハイブリッド(PHEV)以外のシステムとしては、大容量な方だ。
日産が主張するe-パワーのメリットは、電気モーターで走れる一方、時間の掛かる充電の手間がないこと。充電器を設置する必要もないし、今まで通り、ガソリンを補給するだけでいい。ユーザーの歩み寄りがいらないシステムだと説明している。
実際、キャシュカイ e-パワーを運転した印象は、とても魅力的なものだった。同時に日産が主張するほど、電気自動車らしいとも感じなかった。よく煮詰められているが、しっかりハイブリッドだ。
e-パワーに大型モニターで訴求力アップ
キャシュカイ e-パワーのアクセルペダルを踏み混んでみる。始めは駆動用モーターだけで進み始め、車内はとても静かだ。
ダッシュボードにはパワーフローの情報が表示される。脇目で確認していると、エンジンがバッテリーを充電するため、頻繁に稼働しているのがわかる。だが遮音性に優れ、スピーカーからノイズキャンセリング音が再生されるため、殆ど気付かない。
さらにアクセルペダルを踏み込むと、エンジンが低圧縮比へ変化し、高い回転数に上昇。190psの駆動用モーターが一時的に全力を発揮するのに、不足ない電気が生み出される。
回転数が高まるのに伴い、3気筒独特のビートが聞こえてくる。純EVのような、静けさとは異なる。ペダル操作とエンジン音との不一致感はあるものの、トヨタの新しいハイブリッドのようにマナーは良く、不快ではない。
シリーズ式ハイブリッドは、従来からあった技術ではある。それでも、キャシュカイ e-パワーのシステムは、とても訴求力があると感じた。
またキャシュカイは、e-パワーの追加に合わせて、インフォテインメント・システムも一新された。タッチモニターのサイズが一気に大きくなり、グラフィックの鮮明度も大幅に良くなった。ファミリーSUVとして、支持を得やすい改善といえるだろう。
オススメできるかどうかは価格次第
冒頭の2つの課題を解決してきた、日産キャシュカイ e-パワー。今回の試乗車はまだプロトタイプではあったが、仕上がりの良さには期待できる。ただし今回はさらに2点、気になるポイントが残っている。
1つ目は、運転を許されたルートが、テストコース内に限られたということ。市街地や郊外の幹線道路、高速道路などを模した道だったが、正しい評価をするには、実際の公道で確かめる必要がある。
もう1つは、英国価格が決定していないこと。シリーズ式ハイブリッドには、他社のハイブリッドより大きな駆動用モーターとバッテリーが必要になる。その結果が、価格に跳ね返ってきたとしても不思議ではない。
少なくとも、キャシュカイ e-パワーのプロトタイプは優れた印象を与えてくれた。競争力のある価格設定がされれば、説得力の高いファミリー・クロスオーバーに仕上がるだろう。実際に強くオススメできるかどうかは、価格次第といえそうだ。
日産キャシュカイ(旧デュアリス) e-パワー・プロトタイプのスペック
英国価格:未定
全長:4425mm
全幅:1838mm
全高:1635mm
最高速度:167km/h(予想)
0-100km/h加速:8.5秒(予想)
燃費:18.9km/L
CO2排出量:119g/km
車両重量:1650kg(予想)
パワートレイン:直列3気筒1498ccターボチャージャー+電気モーター
使用燃料:ガソリン
最高出力:190ps(駆動用モーター)
最大トルク:33.5kg-m(駆動用モーター)
ギアボックス:シングルスピード
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