メルセデス・ベンツのピュアEV(電気自動車)「EQA」がアップデートされた! 小川フミオが試乗した印象をリポートする。
電気ならではの高級感
エレガントでスポーティ──新型メルセデスAMG GT63 4MATIC+クーペ試乗記
バッテリー駆動のEVも、最近は“ふつうの感覚”で楽しめるようになった。2024年4月11日に日本市場に導入された、メルセデス・ベンツEQAの改良型は、軽快な走りとナチュラルな操縦性が際立つモデルだ。
2024年7月に試乗したのは、EQA250+。新しくなったEQAの特徴として、バッテリー性能が向上し、かつトルクが増え、同時に一充電あたりの走行距離が延びた。そして内外装に手が入り、より特別感が強くなっている。
容量が増大した新しいバッテリーにより、走行可能距離は従来の555kmから591kmへ延伸。前輪を駆動するパワートレインは、最高出力は140kW(190ps)で、最大トルクは15Nm増えて385Nmになっている。それが車名に“+”がつけくわえられた理由という。
静粛性にもさらに注意が払われたという。実際、メルセデス・ベンツのEQファミリーとして最小(全長4465mm)であるが、快適性は高く、室内の上質性はしっかり感じられる。
おもしろいのは、細部のデザイン処理だ。フロントには「スターパターングリル」が採用されて、質感向上が感じられるとともに、デザインをうまく活かして、重厚感でなく、新しい時代のプロダクトという印象を打ち出すのに成功している。
新しいEQAでは、フロントとリヤのLEDランプの造型も、ボディのカーブと合わせたような有機的なものとなった。こちらも視覚的な質感の高さに大きく寄与していると感じられる。
加えて20インチの大径ホイールと組み合わされたピレリPゼロタイヤの存在感がかなり大きい。いかにも曲がりがよさそう。それでいて、実際には、乗り心地にもさほど悪い影響が出ていない。なかなか上手に調整してあると感じられる。
車重は2020kg。バッテリー容量が大きくなると、車重が増加してしまうのがBEV(バッテリー駆動のEV)のジレンマだが、操縦感覚として重さはまったく感じない。このクルマより大型のBEVと比較すると、コーナーを曲がるときなど、車体がすいすいというかんじで向きを変えるのが気持ちよい。
いっぽうで、ドライブモードでスポーツモードを選んでも、たしかに加速はよりパワフルになる印象を受けるものの、かつてのBEVのような、やりすぎのパワー感はない。ほんと洗練されたなぁ、と、思う。
ホイールベースは2730mmもあるので、見た目の印象より室内スペースには余裕があるものの、リヤシートは床下のバッテリーの影響を受けているのだろう、足先などがやや窮屈。長時間後席に乗っているとキツいかもしれない。
ダッシュボードの機能は整理されているが、室温調節など重要な機能は物理的コントローラーでおこなうので実際の使い勝手がよい。ダッシュボードのデザインは微妙で、スターパターンにくわえて、アルミの削りだしのようなグリップハンドルや、クローム、グロスブラックと、色と素材が多数混在しているのが、好みの分かれるところだろう。
新しい時代のBEVとしての特徴は、今回から外部への給電機能が整備されたことがあげられる。「クリーンエネルギー自動車導入促進補助金」の対象として、購入のタイミングによっては、補助金が満額受けられる。
車両価格はベース車両で¥7,710,000。今回の試乗車はオプションで、「AMGラインパッケージ」(¥550,000)、「AMGレザーエクスクルーシブパッケージ」(¥190,000)、「パノラミックスライディングルーフ」(¥180,000)などが装備されていた。
さらに、ヘッドアップディスプレイ、ブランドロゴプロジェクターライト、MBUXインテリア・アシスタント、ブルメスターのサラウンドサウンドシステム、サウンドパーソナライゼーション機能からなる「アドバンストパッケージ」(¥340,000)も、という具合。トータルで¥9,046,000である。
いろいろ楽しみたい。でも出来ればコンパクトサイズが使いやすい、というひと向けの“高級車”である。
文・小川フミオ 写真・小塚大樹 編集・稲垣邦康(GQ)
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ブランド力、ステータス性、信頼性も比べ物にならないし。