マツダの新型「MX-30」に小川フミオが試乗した。印象的なスタリングを持つコンパクトSUVの走りとは?
スポーティな味つけ
パーソナル性の強いSUVであるマツダ「MX-30」が 10月8日に販売開始された。モーターでエンジンを補助するマイルドハイブリッド・システム、クーペライクなスタイル、そして観音開きのドアなど、キャラクターが立ったモデルだ。
クーペ的なボディスタイルでも後席がちゃんと使えるパッケージで、それを成り立たせている「フリースタイルドア」と呼ぶ個性的なドア開閉システムが、あえて2プラス2のイメージを前面化させている。
Hiromitsu Yasui乗ると、”クーペ・イコール・スポーティ”という期待を裏切らない。活発なエンジンと軽快なハンドリング。プラットフォームを共用する「マツダ3」とも「CX-30」ともちがう。もっとスポーティな味つけなのだ。
ようするに、コンセプトがしっかりしている。そこに感心させられた。デザインとドライブフィールが、きれいにつながっている。なんでわざわざこのクルマを? という疑問には、ドライブを楽しめるスタイリッシュなクルマが欲しいなら「これを!」と、即座に応えられる内容だ。
Hiromitsu YasuiHiromitsu Yasui小さなモーターは、スムーズな発進と、ごく低速での取りまわしを気持ちよくする。このモーターによって、6段オートマチックのギアが変わるとき、トルクが落ち込むのを、一瞬でも防ぐ役割を果たす。
さらに燃費向上のため、停止に向かって減速しているときは、エンジンを早めに切るシステムが採用されている。減速時、なにかあってふたたび加速を……というときは、まずモーターが動いて即座に速度をあげていく。
「Mハイブリッド」とマツダが名付けたインテグレーテッド・スタータージェネレーターは、ベルトを使い、モーターがエンジン出力軸に補助的パワーを与えるシステムだ。
Hiromitsu Yasui気持ちの良いガソリン・エンジン
おもしろいと思ったのは、このモデルではあえて出力5.1kWの小さなモーターと小型のバッテリー、インバーターというシステムにして、そのかわりエンジンの役割をしっかり確保している点である。
しっかり確保とは、べつの表現をすると、エンジンでの走行が楽しめる、ということだ。最高出力115kW(156ps)と最大トルク199Nmの1997ccガソリンエンジンは、2000rpmを超えるとぐんぐんと力を出していく。同時にエンジンサウンドも気持ちよくて、自動車好きはいい気分になれるのだ。燃費はリッターあたり15km台を実現。核はドライバーズカーである。
Hiromitsu YasuiHiromitsu YasuiHiromitsu Yasui「エンジンでの走行が気持ちよかったですか! だったらうれしいです」
試乗のあと、技術者が笑顔でそう言っていた。
“このクルマではエンジンでのドライブを楽しんでもらいたい” というのが、マツダ流のマイルドハイブリッドの考えかたのだろう。2021年1月に追加予定のピュアEV版とのすみわけが、ちゃんと考えられているのだ。
Hiromitsu YasuiHiromitsu YasuiHiromitsu Yasuiエンジンの存在を感じさせるサウンドは、最初、チューンナップされた排気音では? と、思った。あるいは電子的な合成音。しかし「そうではありません」と、マツダのエンジニアは言う。
「エンジンルームから室内に入ってくる音と、ボディが響いて乗員に伝わる音。このふたつの音を、音響を受け持つエンジニアが合成して、”いい音”に聞こえるよう調整しています」
Hiromitsu YasuiHiromitsu YasuiHiromitsu Yasui細部へのこだわり
やや重めの操舵感を与えられたステアリング・フィールも好ましい。グリップが太く、握っただけで”やる気”が出てくる。
さらにもうひとつ、シートもスポーティだ。歩く姿勢にちかい背骨のかたちを保持する設計が、クルマのシートにもっともふさわしい、とはマツダのエンジニアの考えだ。
Hiromitsu YasuiMX-30では、表皮も考えぬかれている。あえてレザーで(無意味に)高級感を追求せず、このクルマでは「レザレット」と呼ぶ合成皮革を使う。そういえばテスラもすばらしい合成皮革を使っていたことを思い出した。そして乗員のからだが触れる部分にはファブリックを使う。
足まわりも、ロードホールディング性にすぐれていて、スポーティな印象を損ねない。カーブでは曲率に関係なく、過度なボディのロールを抑え、ステアリング操作へのボディの反応も上々だ。クーペライクなスタイルゆえ、寄せられる期待にちゃんと応えている。
いっぽう、快適性もきちんとそなえている。感心したのは、このサスペンション・システムによる、乗り心地のよさだ。終始フラットな姿勢を保つうえ、路面の状況に左右されず、どっしりとした重厚といいたくなるようなフィールなのだ。
Hiromitsu YasuiHiromitsu YasuiHiromitsu YasuiHiromitsu YasuiHiromitsu YasuiHiromitsu Yasui作り手の主張を感じられるクルマ
ハッチバックとステーションワゴンとSUVと、それにクーペを足して4で割ったようなスタイルは個性的だ。
後方にいくにしたがって、ゆるやかに流れるように落ちていくルーフラインは、このクルマの大きな魅力になっている。個人的には好きなデザインだ。
Hiromitsu Yasui言いすぎ? と、思われるかもしれないものの、ロールス・ロイスの2ドアクーペ「レイス」を思い出させる。
キャビンの造型は美しさと実用性を両立した。デザイナーのセンスのよさを感じさせる。
なぜクーペライクなデザインが評価できるか? 理由は、2人で乗る場合が多ければ、後席からうしろの部分の“ボリュウム感”は、少ないほうが軽快に思えるからだ。
Hiromitsu Yasuiボルボ「XC40」が日本市場で人気であるのも、ボルボ本社が言うところの“2プラス2”を意識したデザインが評価されているからという。2つの車型で発売された新型アウディ「Q3」でより人気が高いのは、軽快な印象の「Q3スポーツバック」であるという。
MX-30は、ニッチ(市場のすきま)ねらいの商品にとどまらず、ひょっとしたら、時代のトレンドにうまく乗っかってヒットするかもしれない。実際、川崎のあるホテルでおこなわれた試乗会場では、ランチに訪れた一般の女性たち3人が「このクルマにすごく興味があるんです」と、話しかけてきた。せっかくなので、内装などを見てもらったところ、皆、口を揃えて「素敵!」「ドアはこうなっているのね!」と、述べていたのが印象的だった。
MX-30は、マイルドハイブリッドの「e-SKYACTIV G」エンジンのみの設定で、6段オートマチック変速機を組み合わる。ユーザーが選べるのは、前輪駆動(242万円)か4WD(265万6500円)で、これにさまざまなオプションを装着出来る。
作りがよく、作り手の主張を感じられるクルマとして、MX-30の存在感は大きいと思った。
文・小川フミオ 写真・安井宏充(Weekend.)
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