この記事をまとめると
■輸入車メーカーではBEV車が数多くラインアップされている
カリフォルニアはEVだらけもデトロイトはまだまだガソリン! さすが広大なアメリカは地域でクルマ事情がまったく異なっていた
■中古のBEVの価値はまだ未知数な部分もあるという声が多い
■ICEの中古車はアフリカ諸国などへの輸出も活発なことから、まだまだ有望な市場だ
BEVの魅力はまだまだ未知数
日本でも日を追うごとに注目されているのがBEV(バッテリー電気自動車)。日系ブランドについては、10月末から11月上旬に開催されたジャパンモビリティショーでも、まだまだコンセプトモデルレベルの出品が目立っており、街なかでも昔ほどレアではないにしろ、少ない存在となっている。
しかし、海外に目を向けると各社が積極的にラインアップを増やしてきていることもあるが、値引き販売競争が激化するほどBEVの販売ペースが多くの地域で伸び悩み傾向にあるとメディアが報じている。
日本でも今後、日系ブランドであってもBEVのラインアップが増えていくことだろうが、そこで気になるのがBEVの再販価値。まだまだ中古車市場に本格的に流通しているわけではないので、現状ではじつにさまざまな話を聞くことができる。
そのなかで結構多いのが中古パソコンになぞっての説明がある。「パソコンの性能進化のペースは落ち着いてきましたが、それでもあえてはじめから中古パソコンが欲しいという人は少ないように思えます。BEVではそれこそ日進月歩でさまざまな性能が進化しています。そのなかであえて中古車を選ぶ人は少ないのではないかと考えます。となると、再販価値は期待されないほうがいいでしょう」というロジックである。
世のなかも多様化しているので、中古BEVにまったく市場性がないとは言わないが、たしかに登録済み(軽自動車は届け出)未使用中古車でもない、普通に数年間(補助金交付による4年縛り明けなど)乗ったあとに下取りに出されたBEVの魅力は未知数であり、その価値はあまり期待できないと考えるのが現状となっているようである。
BEVが普及してきてもしばらくICE車の価値は下がらない
一方でその再販価値についても興味深い話を聞いている。ICE(内燃機関)車では、内外装の状態(傷や汚れはないか)や、走行距離などが重視されるが、BEVでは駆動用電池のコンディションがそのクルマの価値をもっとも左右するとのことであった。すでにHEV(ハイブリッド車)ではその傾向が出ているようにも見える。
ハイブリッド専売車で人気の高いプリウスは、中古車でも人気が高いのだが、「一般的なガソリン車では走行距離が少なければ評価も高くなります。ただプリウスのようなHEVでは、数十万kmという過走行車は別となりますが、走行距離が少なすぎると、あまり充放電が繰り返されていないことにもなるので、電池コンディションに不安が残るとされて、必ずしも好条件となるわけでもなく、かえって一定走行距離以上のほうがいいのではないかと、下取りや買取査定時に悩むこともあると聞いたことがあります。“走行距離が少なすぎず多すぎず”という微妙なレベルでの判断に現場は苦慮しているようです」とは事情通。
また、BEVの中古車が増えるとICEの中古車価格が下がるのではないかとの話もあるが、それはICE、HEV、BEV、FCEVなどを垂直に見ているための話ともいえる。つまり「ICEの次はHEV、そしてその次はBEV」という考え方である。しかし、日本では2035年あたりから純粋なICEの新車だけが販売禁止となる予定。純粋なICEの新車を買えなくなるまで10年以上あるわけだし、2035年以降も乗ってはいけないというわけではない。
そうなると、極端に価格が下がることはあまり想像できない。ICEの中古車はアフリカ諸国などへの輸出も活発なことからも、まだまだ有望と言っていいだろう。HEVはいまも輸出規制が強化されているが、ロシアでは日本からの中古HEVの人気が高いし、モンゴルやスリランカなど一部新興国などでも人気が高い。
すでに日本の中古車相場は海外バイヤーが支えているといってもいい状況になっており、世界レベルで見れば、ICEやHEV中古車の引き合いはこれからも目立って減ることはないだろうから、BEVが台頭してICEやHEVの価値が急落するということはないものと考えている。
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