■「正統派セダン」長距離で試す!
通算16代目となったトヨタ「クラウン」シリーズは、新たに4つのボディタイプを構成しています。そのなかでも、2023年11月より発売された「クラウンセダン」は従来の“クラウンらしさ”を踏襲した、フォーマルでコンサバティブなモデルとなっています。
そんな新型クラウンセダンのFCEV(水素燃料電池車)を、編集部で合計800kmほどを乗る機会があり、前席と後席、それぞれを確かめてみました。
【画像】超カッコいい! これがトヨタの最上級「クラウンセダン」です! 画像で見る(85枚)
1955年に登場後、国産高級乗用車の代名詞としてラインナップされるクラウンは、2022年に初公開された現行型で通算16代目へと進化しました。
従来のセダンに加え、「クロスオーバー」「エステート(未発売)」「スポーツ」という計4タイプが用意されることになり、またグローバルカーとして国内にとどまらずワールドワイドに展開されます。
このうちクラウンセダンは、ほかの3タイプがこれまでなかったクロスオーバースタイルに変化したのに対し、歴代のクラウンらしい特徴を継承した「正統派」。
これまで通り、独立トランクを持つ4ドアセダンボディをまとい、駆動方式もFR(後輪駆動)を採用しています。
パワートレインは、2.5リッターエンジンの「マルチステージハイブリッドシステム」(以下HEVモデル)もしくは、クラウン史上初となるFCEVも用意しています。
ボディサイズは、全長5030mm×全幅1890mm×全高1475mm、ホイールベースは3000mm。全長は先代では4.9mだったのが5mを超え、全幅も1.8mちょうどから1.9m近くになるなど、従来のクラウンよりも大型化し、4タイプ中でもっとも存在感のあるものとなりました。
エクステリアやインテリアも、4つのクラウンのなかでも威厳や落ち着きを感じさせ、ショーファーカーとして使用するにふさわしいフォーマルな印象を与えています。
エクステリアは「ハンマーヘッド」モチーフデザインのフロントフェイスや真一文字テール、クラウンブランドを主張するリアエンブレムなどはシリーズ共通であるも、縦桟のグリルやエレガントなマルチスポークホイール、控えめな加飾が格の違いを感じます。
試乗車はメーカーオプションの「ブラックパッケージ」が備わっており、ヘッドライトやウインドウ周辺、バンパー部のモールがブラックメッキとなるほか、専用20インチブラックホイールを備え、精悍さが強まり、引き締まった印象です。
そしてインテリアも基本構造は4タイプで変わらないものの、従来のメッキパーツなどを廃し、加飾によらない上質感を演出。さらに、クラウンセダンオリジナルのつや消し木目パネルの装備により、モダンな雰囲気となっています。
後席はクラウンセダンの最大の特徴であり、特に快適性を重視しています。
VIPや重役を乗せるといったショーファーカーニーズで支持されてきたこともあり、まさに正統進化を遂げています。
シート自体も大きく、左右席ではシートヒーターに加えてシートベンチレーションを装備。リクライニング機能や、座面・背もたれ両面で身体を押圧するリフレッシュ機能を備えるなど、後席に座るVIPへ最大限のもてなしを実現しています。
センターアームレストには操作パネルがあり、シートの各機能の調整に加え、オーディオ操作やサンシェードの操作、エアコン操作なども行え、思い通りの空間をつくることが可能です。
■走ってわかる「快適性の理想」 しかし「水素」には若干の不安も
2024年11月下旬、このクラウンセダンを駆り出し、東京~愛知まで移動する機会が与えられました。筆者(編集部N)は発売当初の試乗会に参加していましたが、長距離をドライブするのははじめてです。
まずはドライバーズシートで運転を楽しみますが、FCEVという点を抜きにしても、高い静粛性に驚きます。高速でも風切音などはほとんど聞こえず、路面からのノイズも入りません。
そのため、距離が離れた前後シート間で聞き取りづらくなりがちな乗員同士の会話も、声を張る必要性がありませんでした。
停車時でも、FCEVユニットの作動音と思われるかすかな音が聞こえるのみで、エアコンを作動させていれば、吹出口からの風の音のみとなります。こうして静かなクルマに乗ると、耳から入るノイズが、長距離ドライブでいかに疲労に直結しているか実感します。
ちなみに、クラウンセダンのオーディオは楽器メーカーのヤマハが手掛けています。ハイレゾにも対応し、ロックからクラシックまで試してみると、音域の懐の深さを実感。車内が静かな分、音楽を思う存分楽しめます。
今回、高速移動がメインであり、路面のつなぎ目などを通過する場面が多かったのですが、21インチの大径タイヤながらフラットで衝撃を感じず、新東名のような比較的路面のうねりがある状況でも、乗員のアタマが揺さぶられることもありません。
エリアによっては国道であっても路面が荒れており、凹凸の大きい状態が続くこともありますが、いわゆる不快な微振動は皆無。バタつくこともなく、足だけが上手に働き、流れるように走る印象です。
この感覚は後席でも同様で、リクライニングやリフレッシュ機能によるマッサージを作動させると、景色が流れるラウンジにいるような気分になり、十分にくつろぐことができます。
その一方で、首都高速のようなタイトな連続コーナーでは、全長5mで重量2トンもあるクルマとは思えない俊敏さも発揮。電気らしい鋭いレスポンスも相まって、果敢に攻めてみたくなる気持ちも生じました。
筆者としてはフォーマルで風格のあるスタイリングながらも、軽快な身のこなしというギャップに少し感動しました。
手元のスイッチでスポーツモードに入れれば、軽さが気になっていた電動パワーステアリングの制御はドッシリとした感触になり、またAVS(アダプティブ バリアブル サスペンション)特性もロールやピッチングが抑えられますが、ノーマルでも十分にスポーティです。
さらにモード切り替えでは、快適性重視の「リアコンフォートモード」が用意されているのが、実にクラウンらしい点です。
このリアコンフォートモード、もちろん当たりのやわらかい乗り心地にしてくれるため、凹凸路面では特に違いを感じることができました。
さらに強く実感できたのが、市街地のストップアンドゴーのシーンです。ブレーキ操作で乗員が前かがみになったり、その反対にアクセルで後ろにのけぞったりするような、不快なピッチングを抑制。ブレーキ操作がうまくなったように錯覚します。
こうした気遣いも、ショーファーカーらしい快適性を探った結果なのだなと考えさせられます。
若干の不安点といえば、やはり水素を用いる点です。一充填の走行距離はメーカー公称の参考値で約820kmとしていますが、実際にはその6~7割といったところでした。
ICE(純粋な内燃機関車)とは違い、走行条件やエアコン使用に加えて気温なども関わってくるため、単純比較はできないものの、東京都心を9割程度で出発し、約000km走行した愛知県豊田市到着時点で充填ランプが点灯する直前といったところでした。
水素ステーションの設置が不十分な現在、「開いているステーションを見つけたら都度充填する」といったことが必要になりそうです。
※ ※ ※
今回長距離を試すことになったクラウンセダン。最大限の快適性だけでなく、フォーマル/カジュアルの両シーンで使えるセダンならではの懐の深さや、落ち着いたデザインや走りなど、「セダンの良さ」を考えるきっかけになりました。
もしかするとこれが、トヨタの言う「正統派セダンの再定義」ということなのかもしれません。
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