■発売に先駆け「宅配便」事業者が使用して性能を実証
ホンダは、2023年10月28日から11月5日まで開催された「ジャパンモビリティショー2023(JMS2023)」で、2024年春より市販化を予定する新型軽商用EV(電気自動車)バン「N-VAN e:(エヌバン イー)」のプロトタイプモデルを出展しました。
給電機能もあることから、アウトドアで「車中泊」を楽しむユーザーにとっても注目の1台といえます。どういった活用が可能なのか、開発担当者に話を聞きました。
【画像】「えっ…!」これがホンダの新型軽バン「N-VAN e:」です(50枚以上)
新型N-VAN e:はホンダの軽商用バン「N-VAN」をベースにEV化したモデルで、内外装も基本的にはN-VANと同等ですが、細部のつくりやディテールの処理などが異なります。
一方パッケージングは、ガソリンモデル同等の積載性を確保したといいます。
開発を担当したホンダ 電動事業開発本部 BEV開発センターのチーフエンジニア、渡邊 伸一郎氏は次のように話します。
「EVというと、バッテリーのボリュームが影響し荷室やキャビンのボリュームが低下するリスクが指摘されますが、N-VAN e:ではバッテリーを薄型にして床下に設置しているので、荷室はN-VANとほとんど変わりません」
その性能は、配送業務などで実用に耐えうるとホンダが想定する航続距離210km以上(WLTCモード)を目標に開発されています。
その実用性を実地で試すべく2023年6月より、ヤマト運輸と共同で複数拠点の配送業務に投入し検証を行っています。
渡邊氏はこう説明します。
「郊外拠点の実証ではそれなりの距離を走ります。
反対に都市部の場合はストップアンドゴーが多く、平均車速も低いという使われ方です。
共にしっかりしたバッテリーでないと、一日の配送も厳しいシチュエーションですが、それぞれ想定の範囲で大きな課題もありませんでした」
ドライバーに対し、バッテリー残量の不安はなかったか調査した際にも「問題ない」とのお墨付きが得られたといい、ハードな貨物用途での検証で、広い荷室と十分なバッテリー性能の実力が証明されたようです。
そして今回のヤマト運輸での配送拠点のように、限られた地域の中で配送に使う用途の場合、拠点で夜間などに充電する使い方で十分なことから、急速充電機能はオプションなのだといいます。
もちろん、広範囲で移動が求められるユーザーの場合は経路充電(走行途中で充電する)が必要になるので、使い方に応じて選択して欲しいと渡邊氏はいいます。
■「新型N-VAN e:は個人ユーザーにこそ乗って欲しい」
それでは、新型N-VAN e:を個人ユーザーが使う場合には、どうでしょうか。
「個人ユーザー向けに装備を充実させ、4人乗り仕様としたモデルを設定しています。
空間はガソリン車とほぼ同じで、N-VAN向けの豊富な純正アクセサリーの多くがそのままご利用いただけます」
■「新型N-VAN e:は個人ユーザーにこそ乗って欲しい」
ベース車のN-VANは、2018年に発売された軽商用バンで、従来のワンボックス型(箱型)形状の軽バンに代わるモデルとして、軽乗用車「N」シリーズのプラットフォームを使い、乗用車同等の走行性能や安全性能を確保しながら、広い荷室空間も兼ね備えたものです。
後席に加え、助手席まで床下に完全収納できる仕様としたほか、助手席側ドアのセンターピラーをなくして大開口部を確保し、バックドアのみならずサイドからの動線を確保するなど、すべてを専用に開発しています。
その結果、軽ワンボックスバンにひけをとらない大容量の荷室空間や使い勝手を確保したのです
2名乗車時の荷室長(助手席背もたれからテールゲートまでの長さ)は1510mmですが、助手席を収納すれば最大スペース長(助手席足元スペースからテールゲート間)は2635mmまで拡大します。
床面から天井までの荷室高は1365mmで、床面自体も低く、床下にエンジンを載せるこれまでの軽ワンボックスバンとは、使い勝手の面からも大きく改善されました。
そして個人ユーザーの使い勝手にも配慮し、利用方法に対応した豊富なオプションを用意するのも特徴です。
なかでも、荷室に設置する「マルチボード」は、座面などの段差を整えフラットな積載スペースを確保する純正アクセサリーで、ラゲッジ用とリア用で組み合わせることで、上段をベッドに、下段を荷物スペースとして有効活用できることから、車中泊ユーザーからも支持される人気のアイテムとなっています。
このほかにも、外部からの視線や光を遮る「プライバシーシェード」や、キャンプ場の電源サイトで電力を取り込める「外部電力入力キット」など、実用的な数々の純正アクセサリーが用意されています。
開発の渡邊氏は、電気の使い方にも新型N-VAN e:の特徴があるといいます。
「外部電力入力キットもそのまま使える予定ですが、それ以外にも車載のバッテリーから電力を取り出す、AC車外給電用コネクターも純正アクセサリーで用意する予定です。
事前に充分充電しておく必要はありますが、1500Wまでの電化製品を使用できます」
その際、万が一走行に支障を及ぼすほど電気を使い過ぎたりしないよう、残充電量に応じて給電を停止する機能も用意されているといいます。
これはコネクティッド機能「ホンダコネクト」と接続するスマートフォンの専用アプリで設定可能です。
※ ※ ※
自身もアウトドアレジャーを楽しむという、開発者の渡邊氏。
新型N-VAN e:は、アウトドアや車中泊にもオススメだといいます。
「山奥まで長距離移動するようなガチのキャンプには向きませんが、近場で気軽に楽しむ“ゆるキャン△”なら全然イケます。
私も最近は思考が変わりつつあり、環境負荷も気になり始めたところです。
EVならではの加速性能や減速フィーリングの良さは特にこだわってつくり込んでいますので、一度乗ってみて欲しいです」
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みんなのコメント
オヤジが100万円以上もする「N-VAN e:」を買って車中泊して「これもゆるキャン△だよ」と言っていたらキモいだけ。
車中泊が楽だからゆるいキャンプって訳じゃない。