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【SUV市場を変えるか?】ルノー・キャプチャー新型の戦略とは 差をつける1台 グレード/内装/走りを検証

掲載 更新 16
【SUV市場を変えるか?】ルノー・キャプチャー新型の戦略とは 差をつける1台 グレード/内装/走りを検証

先駆者は1歩先を見る

text:Ohto Yasuhiro(大音安弘)

【画像】キャプチャー新型 インテンス・テックパック/インテンス【荷室アレンジも分かる】 全76枚

photo:Masanobu Ikenohira(池之平昌信)

昨今のSUV市場の成熟は、クルマのサイズやキャラクターの多様化にも繋がった。

ラグジュアリーカーのセグメントでは、高級車化によりフォーマルサルーンやスポーツカーのニーズの一部を奪うようになっているが、それがコンパクトカーの世界でも起きている。その流れが、スタンダード・ハッチバックから派生したクロスオーバーたちだ。

今回の主役、キャプチャーも、そんな1台で、BセグメントのルーテシアベースのクロスオーバーSUVというポジションだ。

欧州のBセグ・クロスオーバーSUVは、都市型SUVの典型で、4WDをマストとせず、最低地上高を高めることで、生活圏やレジャーエリアの雪道や未舗装路に適用。そして、背を高めることでキャビンとラゲッジの機能を高めているのが特徴だ。

日本では、2014年より導入されたキャプチャーだが、当時の海外勢のライバルといえば、同時期に導入が開始されたプジョー2008くらいだったが、現在の日本市場には、シトロエンC3エアクロスSUV、DS 3クロスバック、VW Tクロス、アウディQ2、フィアット500X、ジープ・レネゲートなど、同じセグメントに多様な車種が溢れる。

価格やキャラクターは様々だが、輸入車としては、比較的買いやすい価格帯のモデルばかりなので、お互いの存在は大いに気になるところだろう。しかも、どのモデルも近年に誕生したオールニューモデルというのも、急速に市場が活性したことを如実に物語っている。

そのなかでも、いち早く市場を開拓したキャプチャーは、ライバルのプジョー2008とともに、第2世代へと突入。

そこが他のライバルにとって大きなアドバンテージとなる。なぜならば、後発のモデルが開拓した市場全体を見渡したクルマ作りが行えるからだ。

狙いは、1セグメント上の客?

そこでキャプチャーが選んだ手段は、Cセグ・イーターという戦略だ。

これは、ベースであるルーテシア同様に、欧州で拡大するダウンサイザーを取り込むべく、価格とサイズはBセグだが、機能や広さはCセグ並みを目指したもの。

つまり、ルノーは、日本人が大好きな「お値段以上」の価値を提供できるクルマへと成長させたのだ。この狙いは、見事、欧州ユーザーの心を鷲掴みにしたようで、2020年の欧州市場のSUVでは販売台数1位を獲得している。

そんなキャプチャーの意気込みは、その質感の高いスタイルからも伺える。これは初代キャプチャーとのターゲット層が異なる点が大きな理由だ。

カジュアルテイストだった先代は、アクティブ指向の若者がメインターゲットにあった。

欧州では、それで成功を収めるも、日本では、少し事情が異なった。

サイズと価格からルーテシアの上位機種とも受け取られ、オーナー層も比較的高めに。その結果、遊び心のある内外装とは裏腹に、シックなカラーやレザー内装が好まれるなど、少し本流から外れていたのだ。

その点、新型は、日本のユーザー層からの期待を裏切らないものだろう。

拡大したサイズを検証

ルノー最新のコの字型ヘッドライトデザインとシャープなフロントマスクは、スポーティかつ力強い印象を与え、良い意味で軽さを感じさせない。サイドビューもよりグラマラスなものへと進化させた。

ユニークなのは、別物といえるほどデザインを変化させていないところ。先代の特徴を受け継ぎながらも、上級化に成功している。人の成長に例えるなら、少年から青年へと成長をとげたような感覚かもしれない。

成長といえば、ボディサイズも全長が+95mmの4230mm、全幅が+15mmの1795mm、全高が+5mmの1590mm、そしてホイールベースも+35mmとなる2640mmへと広げられている。

その中でもホイールベースの拡大は、キャビンの快適性に大きく貢献する。

しかも、新世代ルノーは、インテリアの贅肉をそぎ落とし、より広い空間を確保することを旨とした。そのため、スペック以上に車内も広く感じられるのだ。

その恩恵は、とくに後席に反映されており、+17mmとなった後席レッグスペースや後席左右の乗員距離も40mmも拡大されている。

また後席には、先代同様160mmのスライド機構を設け、シートを最前位置にしたときのラゲッジスペースは536Lを確保(クラストップ)。6:4分割可倒式機能も備わるので、乗員と荷物に合わせたフレキシブルな対応が可能だ。

知っておきたいADASの違い

日本仕様のグレード展開は、「インテンス」と「インテンス・テックパック」の2種類だが、ベースとなるインテンスでもほぼフル装備の内容を誇る。

ACC、車線逸脱防止支援機能、衝突被害軽減ブレーキ(歩行者・自転車検知機能付き)、360°カメラ、側後方接近車両警報、標識認識機能、前後パーキングセンサーなどを全車に標準化。

快適機能では、Apple CarPlay/Android Autoに対応する最新式インフォメーションシステムや共同開発したBoseサウンドシステムなども全車標準だ。

テックパックの違いは、先進運転支援機能のACCと兼用し、走行車線内中央維持を行うステアリングアシスト機能、レザーシート、そしてスマートフォン用のワイヤレスチャージャーのみと限定的。

つまり、それらの装備の有無が選択の決め手となる。その価格差は20万円だから、インテンスのお得さが際立つ。

ちなみに、メカニズムは全車共通。

パワートレインには、ルーテシア同様、1.3Lの4気筒DOHCターボエンジンに7速DCTを組み合わせる。そのスペックは、最高出力154ps、最大トルク27.5kg-mと、実はサイズアップに合わせて、性能向上されているのもポイント。

インテンス・テックパックに試乗

全面刷新されたキャプチャーの走りは、大きく進化しているが、実は、ルーテシアとも走りの味付けは異なる。

まずステアリングのギア比が、先代キャプチャーよりも約10%クイックなこと。これは大型化したボディでもBセグらしい取り回しの良さを与えるのが狙い。ただ初めから大きくタイヤが切れるので、少々慣れが必要だ。

それではパワーアップを含め、ルーテシアよりもスポーティなキャラ付けかと言えば、そうでもない。アクセルレスポンスやギア変速も、やや落ち着きある味付けとなっており、思ったよりもどっしりと構える。

足もやや硬めな印象を受けた。ただ現状でも不快さはなく、これらはSUVらしい安定感ある走りを重視したセッティングによるものなのだろう。それだけに、ややクイックなステアリングも気になるのだが……。

着座位置は、ルーテシア同様のデザインもあって、ドライバーに高さを意識させないが、フローティング構造のATシフトからも分かるように、若干高められてる。

そのため、前方視界も良好。Bセグ感覚を維持しながら、最大化を狙った戦略の上手さを感じさせるところだ。

それでいて欧州車らしいしっかりとした走りを受け継いでいるのだから、今後、BセグSUVの存在感はより高まっていくのは当然で、日本のルノー販売でもキャプチャーの活躍が期待される。

日本市場で戦える新世代ルノー

そんな新型キャプチャーは、日本で求められるルノー小型SUVのニーズに、見事にハマる1台だろう。

充実した装備を誇り、しかも内外装の質感は先代から飛躍的に向上している点も魅力的だ。

個人的には、アクティブな小型SUVに、レザーシートはマストとは思えないので、「インテンス(299万円)」で十分。ロングドライブではステアリングアシストの恩恵は大きいので、これが省かれることだけが惜しい。

しかし、個人的には、将来的には全着になるのではと睨んでいる。

ともあれ、300万円切りの輸入車で、この内容ならお買い得。オプションだって、フロアマットとETCを付ければ十分なほど。

ただフレンチコンパクトらしい軽快な走りを望むなら、ルーテシアにも目を向けるべきだろう。そのくらい新世代のルノーのキャラクターは差別化されているのだ。

新型キャプチャー スペック

ルノー・キャプチャー・インテンス・テックパック

価格:319万円
全長:4230mm
全幅:1795mm
全高:1590mm
燃費:17.0km/L(WLTCモード)
車両重量:1310kg
パワートレイン:1333cc直列4気筒ターボ
使用燃料:ガソリン
最高出力:154ps/5500rpm
最大トルク:27.5kg-m/1800rpm
ギアボックス:7速DCT
乗車定員:5名

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