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ホンダが「変態」だった頃の究極スポーツカー S2000 Type S 引くほどの超性能

掲載 更新 6
ホンダが「変態」だった頃の究極スポーツカー S2000 Type S 引くほどの超性能

 ホンダ自慢のVTECエンジンにオープンボディ、高剛性シャシー、2シーター、後輪駆動、さらには6速MTのみという、刺激的な内容で、クルマ好きを熱くさせていたピュア本格スポーツカー、ホンダ「S2000(1999年~2009年)」。

 そのS2000には、「Type S」という、さらにスポーツカーとしての性能を極めたモデルがあった。「これがカタログモデル!?」と思わず引いてしまうほどの派手なエアロパーツが目につくが、そこにはホンダならではのこだわりがあった。

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 ホンダのスポーツカーが消えようとしているいま、改めて、奇跡のスポーツカー「S2000 Type S」について振り返ってみよう。

文:立花義人、エムスリープロダクション
写真:HONDA、ベストカー編集部

[gallink]

黄金時代のホンダがこだわりぬいたピュアスポーツ

 1999年4月に発売となったS2000。2リッター4気筒の自然吸気エンジンながら、最高出力は250ps/8,300rpm、レブリミットは9,000rpm、最大トルク22.2kgm/7,500rpmを発揮。高回転型のパワフルなパワーユニットでありながらも、当時の排出ガス規制値をはるかに下回る、先進的な環境対応エンジンだった。

 シャシーは、ボディ中央部に位置するフロアトンネルをメインフレームの一部として活用し、フロアトンネルを前後のサイドメンバーと同じ高さで水平につなぐ「ハイX(エックス)ボーンフレーム」を採用することで、オープンボディでありながら重量を増加せず、クローズドボディと同等以上の高剛性と衝突安全性を実現。

 電動ソフトトップは、スイッチ操作で開閉が可能で、開閉にかかる時間も約6秒と、気軽にオープンエアを楽しむことができた。また、ステアリングまわりにスイッチを集中させ、プッシュボタン式エンジンスターターを採用したことで、フォーミュラカーを彷彿とさせるインテリアに仕上がっている。このあたりの演出は、当時のホンダはとてもうまかった。

 2001年にはマイナーチェンジが実施され、サスペンションの改良、オーディオの出力向上などブラッシュアップが図られた。2003年の2度目のマイナーチェンジでは、ヘッドライトやリアコンビネーションランプ、前後バンパーのデザイン変更、インテリアのデザイン変更、新デザインの17インチアルミホイールの採用、ブレーキ性能の強化、ボディ剛性の強化など大きな改良が加えられた。

 2005年に再び実施されたマイナーチェンジで、エンジンは2.2Lに排気量アップ。DBW(ドライブ・バイ・ワイヤ)の採用と合わせ、より日常での走りの質感を高めた。シート形状の変更や内装材の色調変更などにより、インテリアの品質も向上されている。

 そして2007年10月、「Type S」が登場する。これがピュアスポーツS2000の集大成であり、特別な「ファイナル仕様」となった。

初期モデルのS2000。オープンボディでありながらクローズドボディと同等以上の剛性を持つシャシーでピュアなハンドリングが楽しめた

空力性能とステアリングの応答性を極限まで追求

 Type Sで一番印象的なのは、やはりそのエアロパーツだ。これは、見た目重視の装備ではなく、開発にあたって掲げられたテーマ「オープンスポーツとしての操安性能追求」を達成するため、風洞実験室での基礎的な研究と、徹底した実走テストによって突き詰められた形状であり、車両全体のCL値(揚力係数)の低減を目指すとともに、理想的な前後リフトバランスを追求し、装備されていた。

 大きく左右に張り出したフロントスポイラーは、高速走行時にボディを路面に押し付ける方向に力を発生。ボディを浮き上がらせようとする揚力との相殺を図っている。また、スポイラー全体がボディ下面に流入する気流をマネジメントしており、ボディ下面の負圧域を拡大し、揚力の発生を抑えるとともに、前方からの空気の整流も実現している。

 リアスポイラーは翼断面形状とすることで、CL値を大幅に低減。中央部を大胆に持ち上げた形状になっているのは、オープン時、クローズ時どちらの場合でもシート後方の乱流を積極的に整流するためだそうだ。

 さらに、前後タイヤ付近に装着されたストレーキ(整流板)も、タイヤに当たる空気の流れをコントロールしており、空気抵抗の低減に役立っている。Type Sはこれらの総合的な働きにより、高速での直進や旋回において、安定した操縦性を得ているのだ。

 もちろん空力性能だけでなく、サスペンションの特性もチューニングされている。フロント・リア共にダンパー、スプリング、スタビライザーが強化・最適化され、ロール剛性と応答性を向上させている。

 ステアリング操作に対するレスポンスのクイックネスをさらに突き詰めることで、高速コーナーでの安定性を保ちつつ、中・低速コーナーでの切れ味鋭い旋回という、相反する要素を同時に実現している。

Type Sの派手なエアロパーツは、空力特性をとことん追求した高機能なもの。これにより理想的な前後リフトバランスを手に入れている

極限まで軽量化!!

 Type Sが登場するタイミングで、S2000は、アルミホイールのデザインを変更している。これはバネ下重量の軽量化を狙ったものでもあり、前モデル比でフロント410g/本、リア180g/本の軽量化が実現された。

 そこへきて、Type Sではさらに、スペアタイヤとジャッキを廃し、応急パンク修理キットを搭載することでも軽量化を図った。さらにリアスポイラーも中空化することで重量増を最低限にとどめている。

 ピュアスポーツへのこだわりは、コックピットにも。Type Sでは、専用パッドと専用ファブリックでホールド感を高めたシートを設定しているほか、操作系ではシフトノブを球状とすることでショートストローク化を実現し、より素早いシフト操作を可能としている。

Type Sのシート。専用パッドと専用ファブリックでホールド感を高めている。ブラック&イエローのカラーリングもレーシーな気分を盛り上げてくれる

◆     ◆     ◆

 レース経験から得た知見を生かした、ホンダならではのこだわりが詰め込まれていたS2000 Type S。ブラック&イエローのインテリアカラーやシートのステッチ、シフトノブのイエローの刻印など、気分を高揚させる演出も魅力的だ。

 中古車市場では、程度の良い個体なら500万円以上と、新車販売価格よりも高い価格で取引されている。しかしカーボンニュートラルの推進、車両電動化の波によってType Sのようなピュアスポーツカーがどんどん遠ざかる今であれば、それも納得の価格だろう。

 パワートレインが変わっても、Type Sのような走りを楽しめるモデルが再び登場してくれることを期待している。

[gallink]

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みんなのコメント

6件
  • HONDAもNーBOXという、大衆向けのヒットの皮を1枚脱げば…

    ちゃんと今でもへんたいふしんしゃさんが定着していますよ☆
  • ホンダが気合入れた割に全く売れなかった。
    周りのオッさん達も買わな買った。

    売れないからモデルチェンジできずマイナーチェンジで誤魔化してますます売れずフェードアウト…

    その間もユーノスロードスターは売れまくりモデルチェンジを繰り返し現在でも販売中
    何をどう理屈つけてもロードスターに負けたS2000
    北米で売れなきゃ話にならないよな
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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