2023年秋のJAPAN MOBILTY SHOW2023のスズキブースで世界初公開されたスイフトコンセプトが、5代目スイフトとしていよいよ街を走り始めた。
今回は新型スイフトの最上級グレードとなるHYBRID MZ、FF、CVTモデルを公道で試乗したので、そのインプレッションをお届けしたい。なお、新型スイフトの概要に関しては、すでにこの@DIMEで紹介済みである(軽快な走りはそのまま!最新の運転支援機能を搭載してバージョンアップしたスズキの新型「スイフト」)。
免許返納のきっかけになり得る理由、3位高齢者の運転による事故のニュース、2位年齢、1位は?
国産コンパクトカーの基準を大きく底上げする1台
スマートコンパクトをコンセプトに開発された5代目スイフトは、先代ユーザーの平均年齢が44.8歳だったものの、今回はより若い、それこそZ世代にもアピールすることが使命だという。そして先代の不満点であった運転支援機能、ロードノイズといったところにもしっかりと手が入っているという。
先代からの大きな進化はまず、依然として5ナンバー枠に収まるエクステリアのデザインだ。とくにフロントグリルのデザイン、質感は、ボディ全体のドシリとした佇まいは、スイフトによりクラス上の存在感を持たせることに成功しているように思える。プラットフォームこそ先代からのキャリーオーバーだが、パワーユニットもまた刷新され、燃費効率に優れた1.2L直列3気筒エンジンに換装するとともに、CVTも新設計。車重は先進運転支援機能などの充実によって10kg増になっているものの、それでも”軽量化の鬼”のスズキらしく、CVTのFF車で920~950kgに押さえられているのはさすがと言うしかない。WLTCモード燃費はマイルドハイブリッドモデルにして24.5~24.4km/L(FF)を達成しているのである。
さて、新型スズキ・スイフトHYBRID MZのFFモデルで走り出せば、微力ながらモーターが備わっているため、想定外のスムーズさで加速を開始する。パワーステアリングは低速域では軽く扱いやすく、本革巻きとなるステアリングのグリップ感、握りやすさも良好。全方向の視界、シートのかけ心地も文句なしである。
そこから速度を上げていっても、エンジンのスムーズさは変わらず、登坂路や合流路でアクセルを踏みつけ、エンジン回転を例え6000回転までの上げても不快なノイズ、うるささとは無縁だった。
感心したのは乗り心地と車内の静かさだ。乗り心地に関しては、BSエコピアのタイヤは先代からのキャリーオーバーだというものの、新設計されたサスペンションによって快適そのもの。荒れた路面でもしっかり感段差などでの鋭利な突き上げのない乗り心地を示し、ゼブラゾーンの乗り越えも、不快感なしにこなしてくれるのである。段差の乗り越えを一発で収束させるボディ、足回りの剛性感、サスペンションチューニングは見事というしかない。聞けば、スタビライザーのリンクを刷新するとともに、リヤサスペンションのストロークアップが施されているという。
静粛性の高さも新型ならではだ。エンジンノイズのキャビンへの侵入がうまく抑えられている点についてはすでに報告済みだが、もうひとつの主なノイズの発生源といえるロードノイズの遮断は、先代が「ロードノイズが気になる」というウィークポイントを抱えていたことを踏まえ、徹底的に見直した、と開発陣から説明されている。この点に関しては、アンダーボディ、サイドメンバーといった基本骨格に構造用接着剤を多用し、車内のフロアカーペットを遮音効果のある厚く重いものに変更。さらにフェンダーの樹脂カバーにスポンジを封入し、片側4か所のピラーにも発泡剤を入れるなどして、ロードノイズの伝達経路に遮音、防音対策が入念に施されたことが功を奏している。
操縦性に関しても、パワーステアリングは低速域ではごく軽く扱いやすさが強調されたタッチを示すものの、速度を増していけば、安心感も増大するやや重めのステアリングフィールになり、しかも、路面からのインフォメーションに不足なく、切ったぶんだけ素直に曲がってくれる適度な人車一体感をもたらしてくれるのだから走りやすい。
さらに、パドルシフトも備わり、日常域や高速走行時のスピードコントールのしやすさ、そして山道でのキビキビとした走りにも貢献する。動力性能自体は1.2Lマイルドハイブリッドから想像する域を出ないものの、坂道でもグイグイ上ってくれる低速トルクがあり、あらゆるシーンでの走りやすさを実感できた。この点では、先代の4気筒エンジンに対してスペックは落ちているものの(エンジン91ps、12.0kg-m、モーター3.1ps、5.1kg-m→エンジン82ps、11.0kg-m、モーター3.1ps、6.1kg-m)、新3気筒エンジンは高効率のCVTの制御もあり、低速トルクを増大したパワーユニットになっているからである。実際、急な坂道の走行もスイスイとこなしてくれたほどである。ここもまた、スズキがこだわる軽量化のメリットと言っていい。
電動パーキングブレーキとオートブレーキホールド機能をついに採用
スイフトはBセグメントの小型車だが、この新型はエクステリア、インテリア、そして走行性能までもが、ワンランク上のクラスを思わせるものだと断言できる。ここからは勝手な推測だが、スイフトにはこのあと、国内はもちろん、欧州も人気、定評あるスイフトスポーツが控えている。それと基本部分を共用するのだから、シャシーなどはスイフトスポーツ前提で開発されているはずで、ゆえに標準車と呼べる新型スイフトの仕上がり、走行性能が、クラスを超えたものになっていると考えられる。
そうそう、この新型スイフトでは、ついに!!と言うべき、電動パーキングブレーキとオートブレーキホールド機能を、新型スペーシアに続き採用しているのも大きな進化。が、オートブレーキホールド機能に関しては、エンジンを切るとOFFになってしまうのが惜しまれる。欧州車ではメモリー付きが常識で、欧州でも勝負するのであれば、メモリー付きは不可欠だと思われる。
最後に、新型スイフトの居住性について説明すると、基本的にパッケージは先代と変わらないとのこと。が、実際に身長172cmの筆者のドライビングポジションを基準に計測してみると、先代が前席頭上に190mm、後席頭上に100mm、膝周りに160mmのスペースがあったのだが、新型は同、210mm、135mm、160mmと、後席膝周り空間を除けば先代より余裕があることが判明。開発陣に聞けば、ルーフ形状の違いによって、前後方向は先代同等ながら、上下方向はやや増しているとの説明だった。
また、ラゲッジルームも、先代に対してフロア長のみ実測で約50mm拡大され、荷物の積載性でも進化しているようだった。ただし、後席を格納したときに、フロアと後席格納部分に約150mmの段差が生じているのは先代同様だ。
しかし、新型スイフトの完成度の高さは極めて高く、国産コンパクトカーの基準を大きく底上げする1台であることは間違いない。これまで、国産コンパクトカー選びで、スイフトがリストアップされなかったユーザーも、ぜひ一度、試乗してみることをお薦めする。ちなみに、先進運転支援機能のブラインドスポットモニターを含むスズキ セーフティ サポートのほとんどが全グレードに標準装備。SOSコール、スズキコネクトといった最新機能だけでなく、今時めずらしいCDスロットも用意されている。
お薦めグレードはズバリ、電動パーキングブレーキとオートブレーキホールド機能を唯一備えた、もっとも新型らしい最上級グレードのHYBRID MZである。それでも価格は216.7万円という、それこそスーパーハイト系軽自動車のターボモデルの最高価格車(220万円~)よりリーズナブルに手に入るのである。
スズキ・スイフト
文・写真/青山尚暉
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みんなのコメント
驚きです。この価格でこれは国内どころか海外組もモタモタしてられないのでは?
乗り心地はワーゲン系を彷彿させます
ボロとゴルフのベクトルです
これで、レギュラーで走り5ナンバー
1トン無い車重で重厚感と剛性の高さを感じます
これは欲しい
走っていて気持ちいい、従来にあったRSが大進化した感じで、適度な速度でハンドリングとか楽しむ車です。しかもある程度の距離は疲れないと思います