■ライズ人気の要因は、サイズ・価格の圧倒的「丁度良さ」
近年、激戦区であるSUVジャンルにおいて、2019年11月の発売以降常に販売台数上位にランクインするのが、トヨタ「ライズ」です。
なぜ、ライズはこれほどまでにヒットしたのでしょうか。それは、これまでのSUVとは比べ物にならない、「選ばれ方」にありました。
爆売れかも!? 全長4m以下のトヨタ「グランザ」 日本に丁度良いサイズ
トヨタ最小SUVのライズの人気は、2020年に入ってからも衰えることを知りません。日本自動車販売協会連合会が発表する軽自動車をのぞく新車販売台数によると、2020年上半期(1月から6月)では、5万8492台を販売し普通車でトップになっています。
ライズは、ダイハツ「ロッキー」のOEM車として2台同時に発売されました。2019年4月に発売されたトヨタ「RAV4」のようなタフ感をイメージさせるデザインや全長4m以下という日本の狭い道路事情にマッチしたモデルです。
2020年7月現在の販売状況について、首都圏のトヨタ販売店スタッフは以下のように話します。
「ライズの発売から半年以上が経ちましたが、これまでのSUVでは考えられないような選ばれ方をしています。
近年、人気を集めるクロスオーバーSUVは、3ナンバーが多かったため、そのサイズ感からもある程度の車幅感覚が求められるほか、高級志向のモデルが多いため価格も高めなことから、中高年層のファーストカーとして買われることが多かったです。
しかし、ライズは5ナンバーでコンパクトカー並の価格帯であることから、それまでSUVに興味はあってもサイズや価格面からハードルが高いと感じていた若年層あるいは高齢層のユーザーから関心を持たれています。
また、SUVでありながらセカンドカーとしての需要も高く、なかには3ナンバーSUVとの2台持ちというお客さまもいらっしゃいました」
※ ※ ※
同スタッフによれば、その販売店では「全体の20%から30%ほどがセカンドカーとしての購入」とのことで2台目としての魅力も高いようです。
実際に、セカンドカーとしてライズを購入した会社員の60代男性は、次のように話します。
「私が主に運転するのはセダンですが、家族からは運転しにくいと不評のため、セカンドカーとしてコンパクトカーの『ヴィッツ』を所持していました。セカンドカーの買い替えにあたり、ヴィッツを手放し、ライズを購入しました。
まだ納車されて1週間ほどですが、妻や子どもは運転しやすくてカッコいいと非常に喜んでいます。
私も乗ってみましたが、コンパクトカーとほぼ同じ幅・長さながら、高さがあるため見晴らしがよく、非常に運転しやすいです。安全装備も申し分ないため、もしかしたら老後はセダンを手放し、ライズだけに乗ることになりそうです」
※ ※ ※
ダイハツとの共同開発によって誕生した新世代のコンパクトSUVであるライズは、運転しやすいサイズと手頃な価格という、これまでの数あるSUVが成しえなかった「大衆車」としての地位を築き、爆発的なヒットを遂げているようでした。
■発売から半年、現在の人気グレードや納車時期は?
ライズには、エントリーグレードの「X」をはじめ、「X“S”」、「G」、そして最上級グレードの「Z」と4つのグレードが設定されています。
価格は、2WD車では「X」が167万9000円、「X“S”」が174万5000円、「G」が189万5000円、「Z」が206万円となっており、4WD車ではこれにそれぞれ20万円から30万円ほど上乗せした価格です。燃費はそれぞれWLTCモードで、2WD車が18.6km/L、4WD車が17.4km/Lとなっています。
人気のグレードについて、前出とは別のトヨタ販売店スタッフは以下のように話します。
「1番人気は『X“S”』、次いで『G』、そして『Z』と『X』がほぼ同等、という感じでしょうか。予防安全装備の『スマートアシスト』が装備されるのが『X“S”』からであるため、もっとも人気が高いのだと考えられます。
しかし、発売当初よりもグレードによる差は少なく、どれもまんべんなく売れています。なお、納車時期は新型コロナウイルスの影響で、現在は4か月ほど掛かります」
※ ※ ※
発売直後の2019年12月のトヨタの公式発表では、1番受注数が多かったのは最上級グレードのZで、全体の7割を占めていたといいます。
納車時期については、新型コロナウイルスの影響で生産工場がストップしたことで、遅延が発生しているようです。
しかし、同スタッフによれば「納車が伸びても、注文も変わらず伸びている」とのことで、その販売に大きな影響はないと考えられます。
SUVの新たな地位を確立したコンパクトSUVは、今後もしばらく市場のトップに君臨し続けると予想できます。
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