ダウンサイジング時代の寵児は、排気量1.5L以下のエンジンにあり!?
ことボディサイズに関しては、国内外を問わず、年を追うごとに大型化の一途をたどっているのが昨今の新車市場。
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だが、“車の心臓部”エンジンには、それと全く逆のトレンドがいま拡大している。2010年代に入ってから、欧州メーカーが小排気量のターボエンジンで、従来の比較的排気量の大きいノーマルエンジンを代替する流れが加速。
呼応するように、国産モデルでも特に1.5L以下のエンジンは充実してきた。例えば、新型ヤリスに搭載される新開発の1.5Lエンジンもそのひとつだが、なにせベンツEクラスも同様に1.5Lエンジンを搭載するというのだから、ひと昔前と比べれば隔世の感がある。
なぜ、いま1.5L以下のエンジンが世界的にトレンドとなりつつあるのか? 技術的背景も含めて解説したい。
文:鈴木直也
写真:編集部、Daimler
ベストカー 2020年2月10日号
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国産コンパクトも輸入プレミアムも1.5L以下が充実
エンジンのダウンサイズ化とモジュラー化が加速するなか、ベンツはCクラスだけでなくEクラスにも1.5Lターボエンジン搭載車をラインナップ!
改めてリストアップするとビックリする。いつの間にか1.5L以下のエンジンを搭載するモデルがこんなにもたくさんあるとは。
しかも『廉価版』としての1.5Lではなく、売れ筋中心モデルに搭載していたり、プレミアムモデルにまで1.5Lエンジンは搭載されている。
メルセデスベンツ Cクラスが、1.5Lターボマイルドハイブリッドを搭載したのにも驚いたけれど、そのユニットが今ではEクラスにまで搭載されているのだから驚き。
日本車でいったら、クラウンのエンジンが1.5L、みたいなイメージで、明らかに価値観が変わってきたことを実感する。
間違いなく2020年は新世代1.5L時代の元年になると思う。
◆1.5L以下エンジンを搭載する主な国産車(車名/エンジン/最高出力・最大トルクの順)
・トヨタ 新型ヤリス/直3、1490cc/120ps・14.8kgm
・トヨタ アクア/直4、1496cc(HV)/74ps・11.3kgm
・トヨタ ライズ、タンク/直3、996ccターボ/98ps・14.3kgm
・トヨタ C-HR、カローラ/直4、1196ccターボ/116ps・18.9kgm
・日産 ノート/直3、1198cc(e-POWER)/79ps・10.5kgm
・ホンダ 新型フィット/1.5L直4(HV)/※未発表
・ホンダ ヴェゼル/直4、1496cc/131ps・15.8kgm
・ホンダ シビック/直4、1496ccターボ/182ps・22.4kgm
・ホンダ C-RV/直4、1496ccターボ/190ps・24.5kgm
・マツダ MAZDA2/直4、1496cc/110ps・14.4kgm
・スズキ スイフト/直3、996ccターボ/102ps・15.3kgm
・スズキ クロスビー/直3、996ccターボ/99ps・15.3kgm
◆1.5L以下エンジンを搭載する主な輸入車
・BMW MINI/直3、1498ccターボ/136ps・22.4kgm(クーパー)
・BMW 118i/直3、1499ccターボ/140ps・22.4kgm
・ベンツ C200/直4、1496ccターボ/184ps・28.6kgm
・ベンツ E200/直4、1496ccターボ/184ps・28.6kgm
・VW ポロ/直3、999ccターボ/95ps・17.9kgm
・VW ゴルフ/直4、1197ccターボ/105ps・17.8kgm
・プジョー 308/直3、1199ccターボ/130ps・23.5kgm
・ルノー ルーテシア/直4、1197ccターボ/118ps・20.9kgm
・ボルボ V40/直3、1497ccターボ/152ps・25.5kgm
トヨタは1.5Lを直列3気筒で新開発!
2020年屈指の国産ニューモデルとなる新型ヤリスは、ダイナミックフォースエンジンと呼ばれる1.5Lエンジンを新開発。他車種への展開も見込まれる
その幕開けを象徴するのが、新型ヤリスに搭載される直列3気筒1.5L・NAエンジンだ。
プロトタイプに試乗をしたが、驚かされた。このエンジン、画期的なまでに素晴らしい。これまで抱かされてきた3気筒のイメージは完全に払拭されている。
不快な振動を感じることはないし、回転の上昇もスムーズ。なにより“飛び道具”なしにこれほどスムーズでトルク感たっぷりの1.5L・NAエンジンを仕上げてきたことは素晴らしい。
新型ヤリスの1.5L「ダイナミックフォースエンジン」。500ccモジュールエンジンとして開発され、低燃費と実用トルクの太さが売り
例えば、同じ内燃機関で技術を追求したマツダのSKYACTIV-X(排気量=2L)は、価格も高く最上級モデルに搭載されるちょっと特殊なエンジンという位置づけ。
一方、トヨタの1.5L直列3気筒エンジンは最量販グレードに搭載する売れ筋ど真ん中。数を出していかなければ総量としてのCO2排出量低減には貢献できないというトヨタのメッセージだ。当然、今後このエンジンはトヨタ各モデルに展開されていくことになるはず。
ヤリス GR-4は、直3、1.6Lターボエンジンだけど、おそらくこれとは別に、量販用として1.5Lターボも開発されているはずだ。将来的にはクラウンに搭載されるようなこともあるかもしれない。
世界の趨勢も「1.5L未満トレンド」加速
写真のアウディA4アバントは1.4Lターボエンジンを搭載、そして先代BMW 318iも1.5Lターボエンジンを搭載していた
BMWは先代3シリーズに直3の1.5Lターボ搭載モデル「318i」を設定していた。現行型にもいずれ搭載されるだろう。トヨタがクラウンクラスに1.5Lターボを搭載しても不思議はない。
現在、1.5Lエンジンは直列4気筒と3気筒が混在しているが、ダウンサイズ効果を突き詰めれば3気筒が正解なのだろう。
トヨタが3気筒を選択しているのだから、おそらくそれが主流となっていくはず。ベンツの1.5Lは4気筒だが、考えてみれば「S350」に搭載される直6、3Lをベンツは新開発している。これを半分にすれば直3、1.5Lが出来上がる。
モジュラー化エンジンの考え方で見れば、そのような流れが考えられる。1気筒あたりの排気量は500cc前後がいいとされ、これがモジュラーエンジンの基本骨格となっていることから、1.5Lは3気筒、1気筒追加して4気筒で2L、さらに2気筒追加して6気筒で3Lという構成がスムーズだ。
世界的に1.5Lトレンドが来ていると改めて思い知らされたわけだが、この流れに乗り遅れてはいけない。
ホンダは、いち早く1.5Lターボを開発し、ステップワゴンをはじめ国内各モデルに搭載しているが、販売的には今ひとつ振るわないのが残念。シビックはシャシー性能も高く、トータルでの評価はとても高い。
国内では日産とスバルがこのトレンドに乗り遅れているが、果たしてどうなるか!? 今後の動きに注目したい。
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