新型アウトランダーの主力となるPHEVがついにデビューした! 普通のエンジンを搭載するモデルは4月からアメリカで販売されているが、やはりアウトランダーといえばPHEVである! クルマの詳細な説明の前に、新型アウトランダーとエクストレイルの関係について紹介しておく。そのほうがこのクルマの面白さを理解できると思う。
文/国沢光宏
写真/池之平昌信、三菱自動車
待ってた!! テリー伊藤が新型アウトランダーPHEV試乗「ここからだぞ三菱!!」
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■クルマとしての機能もプラットフォームも文句なし!
御存知のとおり、三菱自動車はルノー日産とアライアンスを組んだ。「同じチームになる」ということ。こうなった時に出てくる話が兄弟車である。共通プラットフォームを作り”上物(うわもの)”だけ各社で開発しましょうということ。確かにクルマ選びはデザインや機能で決める。車体構造やサスペンション形式など皆さん気にしないと思う。
ということで、アウトランダーとエクストレイルのプラットフォームは日産が担当することになった。日産からすればエクストレイルだけしか使わないプラットフォームを開発するより、三菱自動車やルノーが共用してくれたら全体の台数が増える。となるとコストダウンが可能。プラットフォームは作れば作るだけ1台あたりの単価が下がるのだった。
アウトランダーとエクストレイルは日産がプラットフォームを担当した。こうすることでコストダウンが可能となる
もう少し具体的に解説したい。新型アウトランダーPHEVのパワーステアリング機構には「デュアルピニオン」というコストの掛かるタイプが採用されている。通常だとアシストモーターはステアリングコラムに付いており、簡単に言えば手で回すチカラをモーターで増強させているのだけれど、デュアルピニオンはラックにモーターが付く。
このシステム、欧州の高級車などに採用されており、素晴らしいステアリングフィールと、直進安定性の両立が可能。エクストレイルだけとか、アウトランダーだけの台数だったら絶対に採用出来なかっただろう。その他、車体の骨格に頑丈で軽量な超高張力鋼板を使うなど、私らからすれば「よくそんなお金掛けましたね!」の連続。
さらにADAS(自動ブレーキなど先端安全技術)は世界TOPクラスのモービルアイのシステムを採用。モービルアイ、日産と長く共同開発しており、今まで三菱自動車が得意としなかった歩行者に対する自動ブレーキはすばらしい!
ADASは世界TOPクラスのシステムを採用。歩行者に対する自動ブレーキはすばらしい!
したがって新型アウトランダーPHEVの「クルマとしての機能」を見ると、文句の付けどころなし!
長い前置きになった。
以上、ベースになっているプラットフォームは万全と言っていい。
■SUVのECOカーだということを忘れるほどの走り性能
ここからが三菱自動車の仕事になる。パワーユニットと足回りのセットアップ、4WDの味付けは100%三菱自動車の開発だ。エンジンこそ先代の改良ながら、モーターや走行用電池を思い切りスペックアップさせている。なんといっても電池!
従来型の13.8kWhからRAV4 PHVより大きい20kWhに増やしてきた。初代i-MiEVが16kWhだったから「電気自動車レベル」と言ってもよいほど。これだけ容量を持たせると電気だけで走行できる距離はググッと長くなる。WLTCモードだと83km。実際の走行状況で70kmくらい走りそう。従来型だと50kmに届かなかった。
パワーユニットと足回りのセットアップ、4WDの味付けは100%三菱自動車の開発となる
70km走れたら片道35kmの往復可能。普通の使い方だとエネルギーコストがガソリンより圧倒的に安価な電気だけで走れちゃうと思う。昨今のようにガソリン高になったってまったく気にならない。アウトランダーPHEVの長所だった「電気自動車としての性能」が一段と高くなった。私などこれだけで新型アウトランダーPHEVに魅力を感じるほど。
大雑把な制御方法を書いておくと、スタートは前後のモーターのみ。走行用電池残量がある限り電気自動車だ。電池容量無くなると自動的にエンジン始動し、燃費15km/L前後のハイブリッド車になります。絶対的な動力性能は「猛烈にアクセルレスポンスのいい3リッターガソリン車」をイメージしていただければ間違いなかろう。
さらにフロントモーターは82馬力から116馬力に。リアモーターが95馬力から136馬力へ大幅にパワーアップ! 最大出力も約200馬力から240馬力に20%も向上している。そして4WDの味付けはWRCやパリダカで鍛えた三菱自動車の得意分野! 今回試乗会を袖ケ浦サーキットで行ったのだけれど、走って「やっぱりスゴイや!」。
三菱自動車のフラッグシップカーという位置づけとなったため、内装の質感は大きく向上。しっかりと高級車になっています
サスペンション設定が抜群! イン側の縁石に突っ込んで行っても車体の挙動変化無し。ロールは案外許すも、その状態で安定している。良く出来たラリーカーのような走りだったりして。アクセル開けるとリア側から駆動力を掛けているらしく、気持ちよ~く曲がって行く。おそらく雪道でも安定しながら曲がって行くことだろう。
本来ならSUVのECOカーだということを全く忘れちゃうくらいスポーティに走ってくれる。絶対的な動力性能はシステム出力306馬力のRAV4 PHVに届かないものの、総合的な走り性能だと負けていない。この2モデル、購入時に迷ったら相当悩むんじゃなかろうか。ぜひとも乗り比べて欲しいと思う。さらに迷うか?(笑)
■RAV4 PHVと同等の実力で電池容量大幅アップ
実用上でアウトランダーPHEVの優位点を挙げるなら、このクラスのPHEVだと珍しい3列シートが付いていること。成人男性が長い時間乗れるような居住性こそ持っていないものの、近所のファミレスに行くとか友人家族を載せて近所の駅まで行くというような時なら十分使える。迷った時に3列シートを選ぶ人も少なくないかと。
デザインだけれど、先代よりググッとチカラ強くなったように思う。先代のデザイン、どちらかいえば細長く見えた。新型は「威風堂々」とカタログに書いてあるとおり、”塊感”が強い。エクストレイルと共通プラットフォームと思えないほど違いも出ている。デザイン評価は個人の好みによって違うけれど、高く評価する人が多数派かと。
写真左奥は先代型。より三菱らしさを強調したフロントマスクになった
気になる価格は、売れ筋になりそうなフル装備の『G』グレードで490万4900円。従来モデルと装備内容の性能差などあり(ADASで言えば圧倒的にレベルアップしている)単純比較しにくいけれど、電池容量が大幅にアップしていることなど考えたら、むしろ割安だと思えるほど。そしてライバルのRAV4 PHVと同等。実力伯仲です。
【新型アウトランダーPHEV価格】
M 5人乗り 4,621,100円
G 5人乗り 4,904,900円
7人乗り 4,996,200円
P 7人乗り 5,320,700円
【現行型アウトランダーPHEV価格】(5人乗りのみ)
G 4,364,800円
Gプラスパッケージ 4,637,600円
Gプレミアムパッケージ 4,991,800円
Sエディション 5,294,300円
※参考価格 トヨタRAV4 PHV
G 4,690,000円
G"Z" 4,990,000円
BLACK TONE 5,390,000円
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