長年F1を取材しているベテランジャーナリスト、ルイス・バスコンセロス氏が、全20人のドライバーのグランプリウイークエンドの戦いを詳細にチェック、独自の視点でそれぞれを10段階で評価し、ベスト5のドライバーを選出した。今回はアメリカGPの週末を振り返る。
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【全ドライバー独自採点&ベスト5/F1第18戦】危険なミスを犯したノリス。現実を受け入れた堅実なフェルスタッペン
スプリント・フォーマットで行われたアメリカGPは、ドライバーたちに大きなプレッシャーをかけた。フリープラクティスは1回のみで、そこで多くのアップグレードについて理解しなければならず、その後は予選セッションが2回、レースが2回行われるハードなスケジュールなので、完璧な週末を過ごすのは非常に困難だ。実際、完璧な3日間を過ごすことに成功したドライバーはひとりもいなかった。
【2024年F1第19戦アメリカGP ベスト5ドライバー】
■評価 9/10:圧勝し、成長ぶりを示したルクレール
シャルル・ルクレール(フェラーリ):スプリント予選3番手/スプリント4位/予選4番手/決勝1位
そのなかで、完璧に最も近づいたのは、シャルル・ルクレール(フェラーリ)だった。スプリントではタイヤ管理に慎重すぎて、カルロス・サインツに敗れ、メイン予選でもチームメイトを上回ることができなかった。しかし日曜決勝のパフォーマンスは傑出していた。すぐさま圧倒的なリードを確立し、自分が望む戦略をチームに明確に示し、圧倒的な勝利を収めた。その非常に成熟した走りから、彼が過去2シーズンでどれだけ成長したかが分かる。
■評価 9/10:予選でも決勝でも不運だったサインツ
カルロス・サインツ(フェラーリ):スプリント予選5番手/スプリント2位/予選3番手/決勝2位
カルロス・サインツ(フェラーリ)には同情せざるを得ない。予選Q3終盤のイエローフラッグがなければ、彼はポールポジションにチャレンジしていただろう。決勝では不運にも、ターン1の出口において、目の前でマックス・フェルスタッペンがランド・ノリスを押し出していたため、チームメイトに遅れを取った。パワーユニットの謎のトラブルにも見舞われたが、それは解決。その後、サインツは冷静にレースに取り組み、優れた戦略に助けられて2番手に浮上、スクーデリアにとってほぼ完璧な週末となった。
■評価 8/10:ペナルティを免れたフェルスタッペン
マックス・フェルスタッペン(レッドブル):スプリント予選1番手/スプリント1位/予選2番手/決勝3位
マックス・フェルスタッペン(レッドブル)は、どちらのレースでもノリスより多くのポイントを獲得した。なかでもフェルスタッペンが最も輝いたのは、スタートからゴールまでリードした土曜日のスプリントだった。予選Q3ではイエローフラッグがなければポールポジションをつかめたかもしれない。決勝では、ノリスを抑えるために、2度にわたり、物議を醸すドライビングに頼らなければならなかった。フェルスタッペンにはペナルティが与えられず、ノリスより5ポイント多く獲得することに成功。しかしプレッシャーは依然として存在しており、今後もライバルに勝つために、問題視されるドライビングを続けるほかないのかもしれない。
■評価 8/10:素晴らしい復帰を果たしたローソン
リアム・ローソン(RB):スプリント予選15番手/スプリント16位/予選15番手/決勝9位
リアム・ローソン(RB)のF1復帰戦は見事だった。スプリントではスピードが不足しており、厳しい結果に終わったが、自信を失うことなく決勝を戦い、まさに日曜日のスターのひとりだった。パワーユニット交換によるペナルティで19番手からスタートし、ハードタイヤを長時間持たせつつ、良いペースをキープ。ミディアムタイヤに交換した後、ポジションを上げて、チームに非常に貴重な2ポイントをもたらした。スプリントレースではフェルナンド・アロンソを苛立たせる場面もあり、そういう面でもローソンは週末のなかで強い存在感を示した。
■評価 7/10:フェルスタッペンの罠にはまったノリス
ランド・ノリス(マクラーレン):スプリント予選4番手/スプリント3位/予選1番手/決勝4位
ランド・ノリス(マクラーレン)にこの点数というのは厳しすぎるかもしれないが、彼は今回もフェルスタッペンの攻撃的なドライビングに対処できなかった。もちろん、ペナルティに関して、彼が憤慨するのは無理もないと思うが。
ノリスはF1キャリアでベストの予選ラップといってもいいほどの素晴らしい走りを見せた。しかしレースのスタートでは、本人いわく「ばかみたいな走り」をしてポジションを3つ落とし、優勝のチャンスを失い、終盤にはフェルスタッペンの罠にはまった。今後、ノリス自身がフェルスタッペンと同じ戦術を用いるようにならない限り、この状況は続くのだろう。
【ベスト6以下のドライバーとその戦い】
オスカー・ピアストリ(マクラーレン):スプリント予選16番手/スプリント10位/予選5番手/決勝5位
=評価 7/10:週末を通して、ノリスと同じレベルには達しなかったが、非常に堅実な仕事をして、マクラーレンのポイントリードを固めるために貢献した。
フランコ・コラピント(ウイリアムズ):スプリント予選10番手/スプリント12位/予選17番手/決勝10位
=評価 7/10:貴重な1ポイントを獲得し、プレッシャーの下でもミスをしないドライバーであることを証明した。ルーキーとしては素晴らしいことだ。
ジョージ・ラッセル(メルセデス):スプリント予選2番手/スプリント5位/予選6番手/決勝6位
=評価 7/10:通常より多くのミスを犯し、浮き沈みの激しい週末を過ごした。しかしレースでは素晴らしい走りで6位を獲得した。
ニコ・ヒュルケンベルグ(ハース):スプリント予選6番手/スプリント8位/予選12番手/決勝8位
=評価 7/10:アップグレードを最大限に活用し、好結果を出した。唯一のマイナスは、メインレースの予選でQ3に進出できなかったことだ。
ピエール・ガスリー(アルピーヌ):スプリント予選12番手/スプリント14位/予選7番手/決勝12位
=評価 7/10:予選のスターのひとりだったが、日曜日には不運が重なり、ポイントにつなげることができなかった。
フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン):スプリント予選14番手/スプリント18位/予選8番手/決勝13位
=評価 6/10:競争力が低下し続けているマシンから最大限の力を引き出して、予選8番手を獲得した。
角田裕毅(RB):スプリント予選9番手/スプリント11位/予選11番手/決勝14位
=評価 6/10:予選が週末のなかで最高の瞬間だった。レースではタイヤのパフォーマンスを維持することができず、順位を落とした。
ケビン・マグヌッセン(ハース):スプリント予選8番手/スプリント7位/予選9番手/決勝11位
=評価 6/10:予選でQ3に進出したのはサプライズだった。レースではピットインのタイミングが早すぎて、後退した。
エステバン・オコン(アルピーヌ):スプリント予選17番手/スプリント15位/予選13番手/決勝18位
=評価 6/10:アップグレードが搭載されていないA524に乗りつつ、スプリントで良い走りを見せた。日曜決勝では好成績は残せなかった。
バルテリ・ボッタス(キック・ザウバー):スプリント予選18番手/スプリント20位/予選18番手/決勝17位
=評価 6/10:最近のレースに比べるとQ2に近いところまで行ったが、スプリントではブレーキの問題、日曜日には誤った戦略により、中団の後方に下がってしまった。
アレクサンダー・アルボン(ウイリアムズ):スプリント予選20番手/スプリント17位/予選16番手/決勝16位
=評価 5/10:コラピントが加入して以来、アルボンはパフォーマンスを上げることに苦労しているように見える。通常よりミスが多く、ほとんどの場面で若きルーキーにかなわなかった。
周冠宇(キック・ザウバー):スプリント予選19番手/スプリント19位/予選20番手/決勝19位
=評価 5/10:ボッタス車と異なり、新パーツを装着されていないマシンでレースを戦った。スプリントでは最大限の仕事をしたが、レースではスピンを喫してポジションを落とした。
セルジオ・ペレス(レッドブル):スプリント予選11番手/スプリント9位/予選10番手/決勝7位
=評価 4/10:週末を通して、フェルスタッペンから遠く離れており、中団チームのドライバーとの戦いにも苦労した。レース終盤には、ラッセルに抜かれて7位に落ちた。ラッセルは、レッドブルより競争力が劣るメルセデスに乗り、ピットレーンからスタートしたのだが……。
ランス・ストロール(アストンマーティン):スプリント予選13番手/スプリント13位/予選14番手/決勝15位
=評価 3/10:予選ではチームメイトに近付くことすらできず、週末を通して存在感がなかった。
ルイス・ハミルトン(メルセデス):スプリント予選7番手/スプリント6位/予選19番手/決勝リタイア
=評価 2/10:この週末だけで、通常のシーズン全体よりも多くのミスを犯した。メルセデスの新しいパッケージを理解するのに苦労していたように見える。
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