アメリカの自動車雑誌が製作した夢のチューンドZN6
オールドスクールへのリスペクトも込めた人気雑誌とチューナーの90日
トヨタの北米向けサブブランドであるScion(サイオン)は、例年SEMAにおいて『サイオン・チューナー・チャレンジ』というコンテストを開催してきた。サイオンが指定したモデルをベースに、何組かのチューナーが90日間、予算1万5000ドルという条件下でチューニングを施し、その出来栄えをSEMAショーでジャッジするイベントだ。
日本でも、GAZOOあたりが東京オートサロンで同じようなコンテストを主催すれば盛り上がるような気もするが、それはさておき…、2014年にチューナーとして選出されたのは、SSの他、スピードハンターとGTチャンネルというアメリカのクルマ専門メディア達だった。
チューナーがお互いの力量をガチンコで競うというより、メディアとしてのセンスやプロデュース能力が問われる、面白い試みだったと言える。ベース車として提供されたのはサイオンFR-S(トヨタ86)で、しかもTRDがカスタマイズを施した『リリース・シリーズ1.0(RS1)』という特別仕様車だった。
チームSSの陣頭指揮を執ったのは編集長のサム・ドゥ。彼は取材を通して既知の仲となった各部門のスペシャリストを招聘し、ドリームチームを築き上げた。
まず、スタイリングを決めるにあたり、サムが白羽の矢を立てたのがジョン・シーバルである。過去に同イベントでの優勝経験も持つ才気溢れるアーティストは、90日という製作期間を念頭に置きつつアグレッシブなワイド&ロースタイルをコンピュータ・レンダリングで描いてみせた。
次にそれを具現化した職人が、BMWなどユーロ系のボディワークに定評のあるLTMWのロング・トラン。ロケットバニーのワイドボディキットなどを自然に溶け込ませたローダウンスタイルは、まさにジョンのイラストがそのまま三次元化されたかのような完成度を誇る。
ワイドフェンダーのリベットホールは全て埋められ、クリーンで一体感のあるフォルムを実現。ボディカラーにはポルシェのスピードイエローが採用されているが、SSでは過去にアストン・マーチンのブリティッシュ・レーシンググリーンでペイントしたFR-Sをプロデュースした実績があり、JDMにハイエンドブランドのカラーを施すことは、アメリカのユーザーからもひとつのトレンドとして捉えられている。
ホイールは鍛造2ピースの18インチBBS LMをベースにカスタムメイクを実施。サンドイッチマウントとすることで深リムを実現し、ディスクには無垢感を感じさせるブラッシュ加工を施してある。リム幅はフロントが10.25、リヤが12.25と極太。組み合わせられるタイヤはニットーのNT05だ。
一方のインテリアにはレカロのスポーツスターCS、パーソナルのスエード仕上げステアリングホイールなどを備え、ボディカラーと色合わせした6点のカスタムロールケージも装備。
内装各所にオリジナルのイエローステッチが施されている他、インパネの一部はピアノブラックに塗装されている。トランクルームにはパイオニア製のオーディオキットが装備されており、90日間という製作日程を考えれば、よくぞここまでという仕上がりだ。
そして、肝心要のエンジン。ここでは、ギヤハインツ・パワーサービスのギヤハインツ・リオとライワイヤのライアン・バセリというスペシャリスト2名がチームに加わり、サムが思い描いた構想を具現化していく。それは過給機をボルトオンしてパワーアップするありがちな方向性ではなく、ITB(インディビジュアル・スロットル・ボディ)、いわゆる独立スロットル・インジェクションをFA20に装着するというアイディアだった。
当時、FA20ではほとんど実績のなかった独立スロットル化にトライすると同時に、FR-Sのルーツと言えるAE86が、SOLEXやWEBERといったキャブや独立スロットルでチューニングされることへのオマージュという意味においても、サムとチームにとって意義深いチャレンジとなった。
FA20と言えば、燃料供給にポート噴射と直噴の2系統を備える上、ドライブ・バイ・ワイヤも採用されているため、実際の作業を担当したギヤハインツとライアンはかなり苦労したそうだ。だが、双方の創意工夫と高い技術力でなんとか難題をクリア。
具体的には、吸気マニフォールドのプレートを一部カットすると同時にアダプターを溶接し、2連式の独立スロットルを縦にマウント。直噴側の燃料供給システムは基本的にそのままで、独立スロットルを取り付けたポート噴射側は1000ccインジェクターでスープアップ。
スロットルコントロールはモーテックM1が司り、ドライブ・バイ・ワイヤの要求に応じてマスターサーボがスロットルの片側を開閉するのに連動して、もう片側も引っ張って作動させるリンケージを製作した。チューブラーフレームとインナーフェンダーでリデザインされたエンジンベイは、ライアンの手によるワイヤータックも施され、実に美しい仕上がりとなっている。
SSのドリームチームは、サム曰く「ひどい頭痛と睡眠不足と予算オーバーに悩む日々を過ごすに値する力作」を見事にビルドし、SS流のJDMに対するリスペクトも表現。SEMAの舞台でスポットライトを浴びる日を無事に迎えることができたのである。
PHOTO:Akio HIRANO/TEXT:Hideo KOBAYASHI
あわせて読みたい 「のむけんスピリッツ炸裂!」ユーラス渾身のZN6型86用エアロは『平成初期のドリ車』がテーマ!?【東京オートサロン2023】
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
愛車管理はマイカーページで!
登録してお得なクーポンを獲得しよう
“生産版”「“R36”GT-R」公開に反響絶大! 日産の「旧車デザイン」採用&4.1リッター「V6」搭載で「借金しても欲しい」の声! 1000馬力超えもあるArtisan「“和製”なスーパーカー」が話題に
オヤジむせび泣き案件!! ホンダの[デートカー]が帰ってくるぞ!! 新型[プレリュード]は究極のハイブリッドスポーツだ!!!!!!!!!
トヨタ新型「ミニアルファード」登場は? 「手頃なアルファードが欲しい」期待する声も!? 過去に"1代で"姿消した「ミドル高級ミニバン」があった!? 今後、復活はあるのか
「黄信号だ。止まろう」ドカーーーン!!! 追突されて「運転ヘタクソが!」と怒鳴られた…投稿に大反響!?「黄信号は止まるの当たり前だろ」の声も…実際の「黄信号の意味」ってどうなの?
三重県の「北勢バイパス」、2024年度内に四日市の中心部まで開通! 通勤ラッシュの緩和にも期待。 【道路のニュース】
「高いのはしゃーない」光岡の55周年記念車『M55』、800万円超の価格もファン納得の理由
「すごい衝突事故…」 東富士五湖道路が一時「上下線通行止め!」 ミニバンが「横向き」で“全車線”ふさぐ… 富士吉田で国道も渋滞発生中
オヤジむせび泣き案件!! ホンダの[デートカー]が帰ってくるぞ!! 新型[プレリュード]は究極のハイブリッドスポーツだ!!!!!!!!!
超クラシック! ホンダが新型「ロードスポーツ」発表で反響多数! ロー&ワイドの「旧車デザイン」に「スタイル最高」の声! 女性にも人気らしい新型「GB350 C」が話題に
「子供が熱を出したので障害者用スペースに停めたら、老夫婦に怒鳴られました。私が100%悪いですか?」質問に回答殺到!?「当たり前」「子供がいたら許されるの?」の声も…実際どちらが悪いのか
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!
みんなのコメント