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新型レンジローバー・イヴォークD180 中間グレードのディーゼルに試乗

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新型レンジローバー・イヴォークD180 中間グレードのディーゼルに試乗

もくじ

どんなクルマ?
ー ランドローバーにとって重要なモデル
ー 6種類の4気筒エンジンを設定
どんな感じ?
ー 洗練性を高めた乗り味とインテリア
ー オフロード性能も忘れてはいない
「買い」か?
ー ボルボXC40やアウディQ3の好敵手
スペック
ー ランドローバー・レンジローバー・イヴォークD180 SE Rダイナミックのスペック

国内試乗 ジャガー初のEV「Iペース」 「エンジン車らしさ」感じたワケ

どんなクルマ?

ランドローバーにとって重要なモデル

新しいイヴォークは、読者の皆さんにはどう映っているだろうか。先代モデルから1割ほど磨き上げた感じ、という印象は、ランドローバー社が狙っているもののようだ。

ランドローバーが初代イヴォークをリリースしたのは7年前のことだが、ポルシェにとってのカイエンの様に、ランドローバーにとって非常に重要なモデルへと現在では成長している。しかも発表時から年数を重ねる毎に、一般的にはクルマの販売台数は減少していくものだが、イヴォークは異なる。今も売れ続けているのだ。

ここまで成功したモデルとなると、このレシピを変えたくないと考えるのは当然だろう。2代目となって、内面的にはプラットフォームから一新されているが、アピアランスに関しては微妙な変化に留まっている。周囲のひとには、大きな変化として感じ取られないかもしれない。

6種類の4気筒エンジンを設定

実際は、ボディ構造で先代と同じものはドアヒンジのみ。99.9%が新しくなったと考えていいだろう。プレミアム・トランスバース・アーキテクチャと呼ばれる新しいプラットフォームを採用し、車内空間が広がっているだけでなく、マイルド・ハイブリッドやプラグイン・ハイブリッドにも対応する。

新しいイヴォークはほぼ同じボディサイズのままながら、ホイールベースのみ21mm延長されている。ランドローバーは、ディーラーに来た顧客の中には、多くのライバルと比べても狭い後部座席の広さを知り、購入に至らなかったケースが少なからずあったことを認めている。車内の狭さは先代のイヴォークの泣き所でもあったわけで、改善リストの最上位に位置づけられていたに違いない。

エンジンには6種類の4気筒エンジンが設定され、ガソリンとディーゼルで割合は半々となる。エントリーグレードのディーゼルエンジンを搭載したD150を除いて、すべてのグレードにトルクベクタリング4輪駆動システムと、48V電圧によるマイルド・ハイブリッドが採用された。

7年前なら、上級コンパクトSUVセグメントのライバルは多くはなかったものの、今はだいぶ競争相手が増えてしまった。車内空間だけでなく、その他の面でも、平均点以上は獲得しておきたいところ。今回はディーゼルの中間グレードで、英国の道を走ってみよう。

どんな感じ?

乗り味もインテリアも洗練性を高めた

英国で最も多くの人気を獲得すると思われるのが、今回の試乗車でもある、中間グレードのディーゼルモデル、D180。急な坂でも登らない限りエンジンは静かで、積極的に飛ばすような場面ではATはややギクシャクする場面もあるものの、全般的にはスムーズにクルマを進めてくれる。

ディーゼルエンジンながら、ノイズの小ささは称賛に値するレベルで、クルマの洗練度を高めている。またダイナミクス性能を落とすことなく、足回りは路面のうねりも完璧に吸収してくれる。決してボディが浮いているような感覚はなく、連続するコーナーでも落ち着いたボディコントロールを示し、リラックスした乗り味を提供している。

運動性能は優れているものの、1891kgという少なくない車重のおかげで、最も機敏とまではいえない水準に留まっている。しかし、クイックなステアリングレシオの設定が施され、コーナリングは程々に楽しめる。もちろん、直進安定性が損なわれているということもない。

ドライビングフィールの向上に合わせて、インテリアもあらゆる面で良くなり、ラグジュアリーな雰囲気を演出している。後部座席周りで目を凝らすと、硬質なプラスティック製のパーツが用いられていることに気づくけれど、クラスをリードできる完成度の高さではないにしろ、素材の質感は向上している。

オフロード性能も忘れてはいない

ダッシュボードと、そこに納まるデュアルモニターによるインフォテインメント・システムは、このクラスでもトップ級に美しいデザインだと思う。走りも大切だが、ランドローバーが目指したような、ラグジュアリーさを想起させることは、このクラスの中でも値が張る理由を正当化させる理由のひとつでもある。

コネクティビティに加えて、USBポートやアップル・カープレイ、アンドロイド・オートなどへの対応は価格を考えれば当然のことながら、イヴォークにはふたつの特徴的なデジタル技術を搭載している。ひとつは、ルーフに内蔵されたカメラを用いて、ルームミラーに後ろの状況を映し出すもので、死角をなくすと同時に、荷物を天井近くまで積んでも後方視界を保つことができる。

もうひとつは読者なら既にご存知かもしれないが、「シースルーボンネット」と呼ばれるもの。複数のカメラで前方直下の映像を合成し、表示してくれるシステム。オフロードの走行時だけでなく、狭い都市部で縁石ギリギリにクルマを停めるときなどにも、かなり有用な機能となる。

最後にオフロード性能について。ランドローバー社の起源は4輪駆動モデルなわけだが、今もその得意分野は変わっていない。2代目イヴォークの最低地上高は212mmもあるうえに、オールテレイン・プログレス・コントロール・システムを搭載し、路面状況に応じて最適なトラクションを確保してくれる本格派。

時間をとって過酷なコースを試してみたが、先代よりもさらに優れた走破性を備えていることは間違いなさそうだ。イヴォークのオーナーがオフロードを楽しむ機会は、とても少ないかもしれないけれど。

「買い」か?

ボルボXC40やアウディQ3の好敵手

向上した快適性に実用性、革新的なテクノロジーなど、2代目のイヴォークは明確にその競争力を高めたといえる。ボルボXC40やアウディQ3とも充分に渡り合える内容を獲得している。

一方で気になるのがライバルよりも高めの価格設定で、残価設定プランなどでの毎月のコストは購買の重要な要素になってくる。それでもなお、成熟を増した仕上がりは、素晴らしい体験を与えてくれる1台だ。

ランドローバー・レンジローバー・イヴォークD180 SE Rダイナミックのスペック

■価格 4万4000ポンド(638万円)
■全長×全幅×全高 4371×1904×1649mm
■最高速度 204km/h
0-100km/h加速 9.3秒
■燃費 14.6km/ℓ(WLTP)
■CO2排出量 -
■乾燥重量 1891kg
■パワートレイン 直列4気筒1999ccターボ
■使用燃料 軽油
■最高出力 180ps
■最大トルク 43.7kg-m/1750-2500rpm
■ギアボックス 9速オートマティック

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