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「トミカスカイラインシルエット」や「R382」がアクセル全開! 日産の名車が快音を響かせた「ニスモフェスティバル」

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「トミカスカイラインシルエット」や「R382」がアクセル全開! 日産の名車が快音を響かせた「ニスモフェスティバル」

開催見送りだからこそ振り返りたい「ニスモフェスティバル」 

 モータースポーツファンだけでなく、幅広いクルマ好きにもモータースポーツシーズンオフのサンクスイベントとして好評を博してきたNISMO Festival(ニスモフェスティバル)は、1997年に第1回大会が開催されています。

NISMO FESTIVAL 20th anniversary『ニスモフェスティバルの20年史を振り返る2011~2016』

 その後、2002年に始まったトヨタ・モーター・スポーツ・フェスティバル(2011年からはトヨタ・ガズー・レーシング・フェスティバルとして開催)や、2008年に始まったホンダ・レーシング・サンクス・デーとともに、モータースポーツのシーズン終了を告げる風物詩として定着していましす。ですが、新型コロナウィルス感染拡大防止の観点から、今年もまた開催見送りとなりました。

 そのNISMO Festivalでは毎回のように、日産の傑作車をレストアしてお披露目するのが恒例となっていました。今回は、日産がレストアを進めてNISMO Festivalで注目されたクルマを振り返ります。

手作りで始まったイベントはレストアが完成したクルマの発表の場に

 1997年に初開催されたNISMO FestivalはNISMOの若手社員がプロジェクトチームを作り、お客さま感謝デーとして企画・運営するという“手作り”のイベントでした。その一方で出演者の顔触れは豪華のひと言。長谷見昌弘さんと星野一義さんという、日産を代表するおふたりを筆頭に、鈴木亜久里さんや近藤真彦さんなどがレーシングマシンも含めてのドライビングから、特設ステージでのトークまでフル稼働状態となっていました。 そんなNISMO Festivalですが走行プログラムとして、同年のル・マン24時間レースを戦った日産R390や全日本GT選手権に参戦していたGT500仕様のR34スカイラインGT-Rなどの現役マシンに加えて、“ハコスカ”の愛称で知られるスカイラインGT-R HT(KPGC10)などのヒストリックマシンも混走する模擬レースを開催。これが大きな反響を呼び、翌年の第2回大会からメインコンテンツのひとつとなる経緯がありました。

 その第2回大会からは、日産が保管している古いレーシングカーをレストアし、NISMO Festivalで走らせるという試みがスタートしています。最初のレストアカーとなったのは、1966年の日本グランプリ優勝車プリンスR380A-1。言うまでもなく、まだ日産自動車に吸収合併される前のプリンス自動車工業が開発した、当時のFIAによるグループ6カテゴリーに属する国産として初の本格的なレーシングカーでした。

 1年をかけてレストアが終了、NISMO Festivalに姿を現すと、古くからのレースファンも大喜びすることに。そしてこれもまた根強い人気を誇る日産のグループCカーなども参加したカテゴリー混走模擬レースとなり、エキサイティングで大盛況でした。

ライバルだったトヨタからもエール! さらにレース未出走の“幻のマシン”もレストア

 初開催からずっと富士スピードウェイで開催されてきたNISMO Festivalですが、富士スピードウェイが大幅改修された2003年と2004年には、岡山国際サーキットで開催されることになりました。

 その2年目となった2004年には、V12エンジンを搭載して1969年日本グランプリで勝ったNISSAN R382がレストアされて登場。

 じつはそれ以前にも日産が保管していた2台のR382を使って、1台のR382のレストアが完了。優勝車のレプリカとしてお披露目されていましたが、1969年の日本グランプリで優勝したマシン自体は、レース後に北米で戦われていたCan-Amシリーズ挑戦の可能性を探るべく、アメリカへと送られていて、長い間行方不明となっていました。  その行方不明となっていた個体が発見され、それを国内に戻してのレストアでした。1969年日本グランプリで優勝したマシンとあって、サーキットを埋めた観客からも、大きな声援が巻き起こることになりました。

 2005年からNISMO Festivalは、新装なった富士スピードウェイにふたたび舞台を移しての開催となりました。この年にはR380-II、R381、R382のトリオが勢ぞろいすることになりましたが、富士スピードウェイを傘下に収めたトヨタが、1969年の日本グランプリ用に投入したトヨタ7(NAの5L V8搭載)を登場させるサプライズも。

 さらに翌2006年には、1970年の日本グランプリに向けて開発されていたR383がレストアされて登場。当時、公害対策に専念するとして、日産が1970年の日本グランプリへの参戦中止を発表。トヨタも参戦中止を発表し、1970年の日本グランプリそのものが中止に追い込まれてしまいました。Can-Am参戦を新たな目標にして開発が続けられていたR383でしたが、結局はプロジェクトが中止となり、実戦レースを戦うことなく倉庫で眠り続けていました。ですが、NISMO Festivalの檜舞台に向けてレストアが進み、“幻のマシン”も実走行で喝采を浴びました。

“ハコ車”の傑作マシンも次々に登場

 NISMO Festivalで登場したのは、プロトタイプ・レーシングカーだけではありませんでした。市販乗用車をベースにした、いわゆる“ハコ車”も続々と傑作マシンがレストアされ、NISMO Festivalにその雄姿を見せました。

 その筆頭となったのは、2000年の第4回大会に登場したスカイラインRSターボ(KDR30)スーパーシルエット(グループ5)仕様。と言うよりも、“トミカ・スカイライン・シルエット”の愛称で呼んだ方が通りの良い傑作マシンでした。  じつはこの年を限りに、日産ワークスのトップドライバーだった長谷見昌弘さんが引退することになり、その引退セレモニーのためにレストアされたのが“トミカ・スカイライン・シルエット”だったのです。スタンドからは鳴りやまない拍手と大きな歓声が送られ、走り終えた長谷見さんも感無量の様子でした。

 スカイラインと言えば、実戦投入が叶わなかった悲運のレースカーとして知られる2代目のスカイラインHT GT-Rも、NISMO Festivalで記憶に残る1台となりました。先代の“ハコスカ”に対して、こちらは“ケンメリ”の愛称で知られ、ベースシリーズは1972年の9月にフルモデルチェンジを受けて登場。その翌月に開催された、東京モーターショーで参考出品されたのがこのレース仕様でした。 市販モデルのGT-Rは、この時点ではまだラインアップされておらず、翌73年1月に満を持して発売されたのですが、そのこともあってモーターショーでは大いに注目された1台。国光さんとの2ショットが描かれた下敷きは、レース小僧の宝物でした。 ただし、モーターショーが終了したあと、サーキットに持ち込まれて開発テストが進められたものの、残念ながら実戦出場を果たす前にプロジェクトが終了しています。そんな悲運のレーシングカーでしたが、記録ではなく記憶に残った1台だったことは、NISMO Festivalでの注目度の高さからも明らかでした。

 また2008年の第12回大会では1973年日本グランプリのサポートイベント、TS-a(1600cc以下のツーリングカー)レースで勝ったサニー1400(2代目のKPB110型)がレストアされて姿を見せています。1.2LのA12エンジンに代え、1.4LのL14エンジンを搭載する荒業には疑問も残りましたが、1973年のレース仕様ではツインカム4バルブのLZ14に換装。弟分のサニー1200とともに、トヨタ軍団を圧倒したことが記憶に残っています。

レースカーだけでなくラリーカーやロードゴーイングモデルも登場

 ここまで、NISMO Festivalで注目を浴びたレーシングマシンを紹介してきましたが、レストアされて注目を集めたのは、もちろんレーシングマシンだけではありません。かつて日産は『ラリーの日産』を標榜するほどラリーで好成績が目立っていました。当然、多くの日産車が世界のラリーフィールドで活躍していました。

 そんな日産のラリーカーも、1年をかけてレストアを進め、完成後にNISMO Festivalで紹介されるケースが少なくありませんでした。ここでは2006年の第10回大会で登場した、1983年のモンテカルロラリー参戦車を紹介しておきましょう。モデルは日産240RS。3代目シルビア(S110型)のハードトップ(実際には2ドア・ノッチバッククーペ)をベースに、直4ツインカム16バルブのFJ24エンジンを搭載した、世界選手権ラリーを戦うグループBカーのホモロゲーションモデルです。 ちなみに、スカイラインRSやRSターボに搭載されていたFJ20E/FJ20ETシリーズのバリエーションに位置づけられていますが、共通部品が少ない、ほぼ競技用に設計された別ものでした。スペックとしては1983年のモンテカルロ仕様のワークスマシンで、これがWRCデビューでした。

 競技車両ではなく、市販のロードゴーイングモデルのなかにも、レストアを施されたあとにNISMO Festivalで紹介されるケースがありました。2010年の第14回大会でお披露目された、1947年式のたま電気自動車はその好例でしょう。

 日産の社員有志による名車再生クラブがレストア作業を担当していました。そもそもは1966年に日産に吸収合併されたプリンス自動車工業の前身で、立川飛行機の流れをくむ東京電気自動車(1949年にはたま電気自動車に社名変更)が生産した電気自動車。日本機械学会の機械遺産にも登録されているレジェンドです。

 このようにレーシングマシンからラリーカー、そして市販のロードゴーイングモデルまで、さまざまなジャンルの傑作車を蘇らせて走行させています。残念ながら、たま電気自動車は展示のみに終わっていました。そんな貴重な舞台となっているNISMO Festival。2年続きで開催見送りとなっていますが、来年こそは新型コロナウイルス感染も収束し、ぜひとも開催してほしいものです。そして、そのときにお披露目される傑作車が何になるかも気になるところです。

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みんなのコメント

1件
  • 長谷見スカイラインは憧れだった。
    今から思えば空力も軽量化もまだまだな時代
    それでもFISCOならストレート300近く出たとか
    動画を今でも見ちゃうんだよね
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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