ほぼ同時期に登場したトヨタのニューモデル、クラウンとセンチュリー。ともに評判のいいクルマだが、クラウンには賛否が出るものの、センチュリーは手放しで絶賛という論調が目立つ。
この評価の差はなぜ生じるのか? 純粋にクルマの出来の違いからきているものなのか? その正体を探るのがこの企画。まずは本誌執筆陣の評価を聞く。
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※本稿は2018年9月のものです
文:ベストカー編集部/写真:ベストカー編集部
初出:『ベストカー』 2018年10月10日号
■クラウンは輸入車と真正面から戦おうとしている(国沢光宏)
■国沢光宏の評価点…クラウン:85点/センチュリー:100点
●クラウンをどう評価する?
15代目クラウンの開発にあたり、社内では「徳川15代将軍にならないように」という声が少なからず出たそうな。ご存知のとおり徳川時代、15代将軍の慶喜公で終了した。クラウンも15代目で最後にならないようにしろ、ということです。
実際、今やセダンって風前の灯火。クラウンもマークXもカローラも、免許を返納しなければならない世代がメインユーザーになっているほど。
一方、輸入車を見ると、セダンの売れゆき減は日本車ほどじゃない。私だって先日BMWの3シリーズ買った。そんなことからクラウンの開発チームも伝統にこだわらず、新しい価値観で勝負しようとしたのだった。
空気抵抗減らしながらリアシートのヘッドスペースを確保できる6ライトのボディなど好例。走りも従来のクラウンの正常進化でなく、輸入車と真正面から戦おうとした。
達成できているかどうかはユーザーが判断することだろうけれど、もう少し乗り心地のカドを取り、インテリアの質感(主として素材)など頑張ったら相当イケそう。少なくとも輸入車を考えていた若社長や若旦那が「クラウンもいいね!」と踏み留まる魅力を持つ。
もう少しクラウンというブランドのイメージチェンジできたら、新しい時代の幕開けになるポテンシャルは持ってると思う。
●では、センチュリーは?
センチュリーのライバルはレクサスLSだった。だからこそ首相専用車も旧LSです。けれど新しいLSと新しいセンチュリーを比べたら、0.1秒も迷わないだろう。圧倒的に、おそらく1000倍くらいセンチュリーのほうが魅力的だ。
そもそも現行LS、リアシート狭くて話にならない。私のように身長あればヘッドスペース不足だし、恰幅のいい人だと総合的な容積が足りなくなるだろう。
VIP感というか、漂うオーラもまったく違う。LSなら「もっと広いアルファードのほうがいいかな」となるが、センチュリーは高貴な匂いを出す。わかりやすく書くと合流などで道を譲るときもアルファードなら「関わり合いになりたくないから譲る」だけど、センチュリーなら素直に「どうぞ」。
少なくとも今後5年くらいは、センチュリーって社会的に評価されている人が後席に座ってます。
■ニュルで鍛えることなどまったく望んでいない(清水草一)
■清水草一の評価点…クラウン:55点/センチュリー:100点
●クラウンをどう評価する?
クラウンに憧れを持ったことのないクルマ好き(私)にとって、新型クラウンは、まったく魅力がないクルマだ。
もちろんクルマとしてはちゃんとできているし、走りはとてもよくなっているが、そのよさはサーキットを走って初めてわかるもので、公道をフツーに走っているかぎり、特段思いどおりに動く感覚はなく、感動もなかった。
BMWやメルセデスは、そこらをフツーに走ってもちゃんと感動を与えてくれるが、新型クラウンにはそれがないのだ。
逆に、走りをスポーティに振ったぶん、クラウンの持ち味だったフワッとした乗り味は薄くなり、なかでもRSの一部グレードは、明らかに足が硬すぎる。まあ一部ですが。
新型クラウンが目指したのは、ドイツ車コンプレックスの克服なのだろう。でもクラウンを買う人は、ニュルで鍛えることなどまったく望んでいないのだから、それは開発者のひとりよがりじゃないか? デザインも先代ロイヤル系の延長線上で、かつまとまりがない。
結局新型クラウンは、中途半端に脱クラウンを目指しただけで、作り手には、クラウンに乗る人が見えていない気がする。従来のクラウンユーザーはもちろん、新規に開拓する顧客像も。
●では、センチュリーは?
センチュリーのコンセプトは、恐ろしいほど明確だ。それは、皇室を頂点とする日本の頂上層に、いとやんごとなき高級車を供給することにある。
そこには「ニュル」なんて無意味な想定はカケラもない。日本の路上で、いかに重々しく壮麗にしずしずと移動するか。それだけを目指して作られている。
先代センチュリーと比べたら、快適性は恐ろしいほど向上している。ムダにフワフワするだけだったみたいな乗り味は、ロールスロイス的雲上界に昇華した。スバラシイ。
乗る人のイメージは、あまりにもはっきりしている。ズバリ、天皇陛下。そこにターゲットを置いて作られているのが、ひしひしと伝わってくる。
つまり、新型センチュリーに乗れば、誰でも天皇陛下を感じられるのだ!
ターゲットが中途半端なクラウンと、猛烈にはっきりしているセンチュリー。その差はあまりにも、あまりにも大きい。
■古いユーザーはバッサリいかないと無理だ(諸星陽一)
■諸星陽一の評価点…クラウン:90点/センチュリー:100点
●クラウンをどう評価する?
ユーザー年齢を下げるべく、孤軍奮闘しているクラウン。事実上、国産車にはライバルは存在せず、輸入車(といっても敵はドイツ車に限定されるだろう)を相手にジャパニーズセダンがどこまで盛り返せるかが勝負どころだ。
江戸時代の鎖国政策がいまだに影響しているのか? 日本人は輸入品のブランド力に弱い。使いにくくても、維持費が高くてもガイシャの魅力にやられっぱなしだ。
しかし、純粋にクルマだけを見た場合、クラウンは実に理にかなったクルマだ。第一にそのパッケージングがある。横幅1800mmを守り続け、日本のインフラに対応し続けるところは拍手喝采。郊外の住宅街に住んで、大型のショッピングセンターにしか行かないなら、でっかいクルマもいいだろうが、いろいろな場所に行くなら、ボディサイズは重要だ。
残念なのは、今までのユーザーを捨て切れなかったこと。若返りたいなら古いユーザーはバッサリいかないと無理だ。
●では、センチュリーは?
センチュリーは天上天下唯我独尊。このクルマにライバルは存在しない。センチュリーにしようか? メルセデスにしようか? という選択肢はない。日本の政治家はメルセデスベンツに乗って国会には行けないだろう。自民党ならなおさらだ。
センチュリーはそういうクルマだ。しかし、そういうクルマがこの国にもあるというのは誇るべきことで、これぞ日本の宝と言っていい。
惜しむべきはフルモデルチェンジで従来のV型12気筒がV8ハイブリッドとなってしまったこと。もちろん、時代の流れではV8ハイブリッドだろう。しかしそんな時代だからこそ、トップのトップはとんでもないパワーユニットであって欲しかった。
いまや日本車のなかで本物のショーファードリブン(運転手付きのクルマ)は、センチュリーしか存在しない。リアシートがここまで快適な国産車は、唯一なのだ。
■なかにはこんな評価をする人も……(渡辺陽一郎)
■渡辺陽一郎の評価点…クラウン:75点/センチュリー:65点
ここまでクラウンの採点は55点、85点、90点と幅があるが、センチュリーは全員100点! やはり、センチュリーには何か見えない力が働いているのか。
と、ここで担当ハタと思いついた。そういえばセンチュリーに一家言ある人がいたな、と。渡辺陽一郎である。
「えっ? クラウンとセンチュリーの点数? うーん、クラウンが75点でセンチュリーが65点かな」
出ましたセンチュリーのほうが低い点数! で、なぜなのか?
「こう言っちゃなんだけど、新型センチュリーは旧型レクサスLSのお下がりみたいなもんですよ。確かに運転しても後席に乗っても快適。だから旧型の価格(約1250万円)から据え置きなら納得ですが、700万円くらい上がっているわけです。それは点数も低くなりますよね」
たとえセンチュリーが相手だろうと、軽自動車のコスパを語るのと同じスタンス。ブレないぜ、この男!
「クラウンも走りがよくなったのはわかるけど、欧州車っぽくなって、それならベンツを買えばいいじゃないというクルマになっちゃった。時速100kmまでで快適なクルマを目指してほしかった」
とこちらも辛口。名実ともに日本を代表する両車だけに、愛ある指摘をしておきたいということなのだろう。本人、全然そんなこと言ってないけど、そんな感じでフォローしておく。
■このナゾの分析と結論
結局、クラウンは製品でセンチュリーは伝統工芸品みたいなものなのだろう。そこにあるだけでありがたいもの。いわば名工が作った清水焼だ。
当然のことながら、クラウンはその域には達していない。センチュリーが清水焼ならクラウンは三越で売られている高級陶器のようなものだろうか。競合品がたくさんあるのでどうしてもほかと比べてしまう。また、個人的な好みにも左右される。
でも、クルマとしてはそれが健全。好き嫌いを論じられるほうが楽しいとも言える。
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