2代目はプラスαの魅力を身につけた
2代目のフィットは、上級クラスからの乗り換え層を惹きつける魅力を身につけた。旧型は「機能本位」という印象があった。新型は、機能にさらに磨きをかけたうえで、遊び心や趣味性にも意を注いだ。
【復刻版カタログ】2007年の日本カー・オブ・ザ・イヤー/2代目ホンダ・フィットの肖像
モノフォルム風シルエットは、魅力的にまとまっている。モダンだし、街で見る姿にはサイズの枠を超えた存在感がある。インテリアの仕上がりも上々。ショルダールームは従来型比でプラス45mm。感覚的には、この数値を大きく超えるゆとりが感じられる。
メイン試乗車は1.3リッターだ。発進加速をよくするため、CVTにはトルコンを組み合わせている。エンジンレスポンス、アクセルレスポンスの良さにトルコンを加えた発進加速は、力強く、切れ味もいい。こうしたフィールは、流れに乗って走る領域なら、ほぼ全域で味わえる。軽やかで気持ちのいい動力性能の持ち主である。
パワーステアリングは素直でスムーズ。キビキビした身のこなしを引き出してくれる。それも「ちょうどいいよい」レベルであり、余計な気遣いをさせない点がいい。
乗り心地はリア側から少し固めの感触が伝わってくると同時に、バネ下が少し弾むような感触がある。もう少し、ゆったりとしたストローク感としなやかさがほしいとは思うが、合格ラインは総合的に十分クリアしている。
上級版のパドルで操作するマニュアルモード付きCVTを組み込んだ1.5リッターのRSはさらに魅力的。パフォーマンスは一段と速く、アクセルを踏み込んだときの俊足ぶりは、かなりのレベルだ。新型は、いいカタチで進化している。ベストセラーカーにふさわしい、ユーザーの期待に応えるモデルチェンジだと思う。
(岡崎宏司/2007年12月26日号)
2代目ホンダ・フィットのプロフィール
2代目フィットは2007年10月デビュー。ホンダ車は一般的に初代から2代目に移行する折に、キープコンセプトのモデルチェンジをするケースが多いが、フィットも例外ではなかった。ただし、決して「守りの姿勢」ではなく、初代の美点を徹底的に伸ばし、欠点を解消する「攻め」を貫いた点に価値があった。カタログでは「大きさやパワーばかりを求めることが進化じゃない」と語りかけ、「これからの人の暮らし、これからの地球環境に「フィット」するクルマ」に仕上げた点を強調する。
ラインアップは1.3リッターを主力に、スポーティ仕様の1.5リッター(RS)を設定。独創のセンタータンクレイアウトを生かしたスペースユーティリティは一段と発展し、燃費性能も向上。乗り心地や運転のしやすさも際立っていた。2010年10月には高効率設計のハイブリッドがデビュー。先進ユーザーも魅了する。
2007年の時代録/楽曲購入がCDからデータに移行
【出来事】郵政民営化/ミシュランガイド東京を発売/元タレントの東国原英夫が宮崎県の知事に当選/東京マラソン初開催、国内マラソン史上最高の参加者数3万870人を記録/男子ゴルフ、石川遼が日本男子史上最年少の15歳でツアー優勝【音楽】オリコンシングル年間1位秋川雅史『千の風になって』/宇多田ヒカル『Flavor of Life』が700万ダウンロードを超え。楽曲購入が音源データに移行し始める【映画】邦画配給収入1位『HERO』洋画興行成績1位『パイレーツ・オブ・カリビアン/ワールド・エンド』
2007年ホンダ・フィット・主要諸元
グレード=フィットW(FF)
新車時価格=CVT 126万円
全長×全幅×全高=3830×1675×1525mm
車重990kg
エンジン/1339cc直4OHC(86ps/12.1kgm)
サスペンション=前ストラット/後トーションビーム
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