ここ最近、中国勢の勢いに押されている自動車メーカーをはじめとした日本勢。しかし、ショックアブソーバメーカー「TEIN」の中国での試みは注目に値すると現地を訪れた国沢光宏氏からのレポートだ!
文/国沢光宏、写真/TEIN、国沢光宏
まだまだニッポンのモノ作りは終わらない!? TEIN中国工場に見た日本製品の真髄!
■TEINが中国に工場建設を決めたワケ
広大な敷地内に建設された中国のTEIN工場。日本で生産して輸出するという不利な条件を考え、中国現地生産工場立ち上げを決めたそうだ
日本の自動車メーカーが中国で劣勢になってきた。軒並み昨年の販売台数を20%以上下回っている。電気自動車の投入遅れもさることながら、ハイブリッドを含むエンジン車すらトヨタを除き大苦戦。
遠からず縮小均衡の連続となり、撤退するメーカーが出てくることだろう。三菱はアウトランダーの在庫を大量に抱えており、工場操業休止中。マツダもCX-50が売れないと打つ手なし。
そんな状況のなか、中国でモノ作りをする日本勢が粘りを見せている。例えばTEIN。ご存じのとおりショックアブソーバメーカーなのだけれど、神奈川県で製品を作ってきた。
工場の立地、いわゆる『工業団地』ながら、今や住宅が迫っており、TEINの工場の前も住宅に。こうなると騒音などさまざまな制限がかかってくる。加えて輸出しようとすれば少なからぬ関税をかけられてしまう。
皆さん意識していないが日本で生産して海外に輸出しようとしたら、不利な状況を山ほど抱えなくてはならない。ということで中国に工場を立ち上げることを決めたそうな。
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■中国製品でもきちんと管理された製品は決して悪くない
TEINでも中国工場から日本に輸出した場合の関税はゼロ。そもそも、中国市場だけで成り立つのが大きな魅力だ
中国工場の面白さは、そもそも巨大な市場を持っている点にある。中国で販売される自動車は年間2500万台規模。アメリカで1500万台規模なのだから大きい。さらに中国からの輸出であれば関税だって有利。
中国から日本に輸出した時の関税はゼロですから。中国市場だけで成り立つし、輸出もできるという素晴らしい条件なのだった。問題は製品の品質である。中国製品と言えば「安かろう悪かろう」というイメージ。
実際、下手な中華製品を買うと最初から壊れているようなケースも。自転車はあっという間に錆びてしまう。「二度と中華製品は買わない!」と思っている人は多いと思う。
一方、キチンと管理されて生産された製品は決して悪くない。iPhoneを見ればよくわかる。自動車分野も最新の工作機械を導入しているため遜色ない。だからこそホンダは中国工場製のオデッセイを日本で販売することを決めたのだろうし、日欧米の技術を入れた中国車の仕上がりは素晴らしい。ノウハウを持たない中国人が見よう見まねで作った製品は依然として厳しいですが。
■実は日本以上に厳しい中国での外資工場の環境条件
TEINの中国工場には建屋のほぼすべてに太陽光パネルが設置されており、1日1万kWhを発電するというから凄い
TEINでした。その工場は北京と上海の中間くらいの位置にある。周辺は鰻の養殖池が多い。日本で言えば浜松のようなイメージか。中国の工場といえば排気ガスをまき散らし、汚い水を川に流しているイメージを持つけれど、工場を案内してくれたTEINの藤本吉郎さんによれば「外資の工場だと日本以上に厳しい条件をクリアしなければなりません」。話を聞いて驚く。
電力は工場建屋の屋根だけでなく、建屋と建屋の間や駐車スペースまですべて太陽光発電パネルを設置。1日1万kWhを発電するという。天気のいい日中は使い切れないため売電までしているという。
生産されるダンパー1本あたりの二酸化炭素排出量は2016年比で55%も減った。もちろん汚染された水は工場から出さず、リサイクルも徹底的に行っている。日本より進んでいるかもしれない。
■作業レベルに差の出る溶接などの工程はオートメーション化
日本と同じだけコストをかけたTEINの中国工場から生まれる製品は日本製品より品質が優れているそう。溶接などの工程は自動化されている
気になる品質だけれど、興味深いことに日本と同じだけコストをかければ日本より優れた製品が作れるようだ。
具体的に言えばダンパーで最も大切なピストンロッドは、材料を10回も総研磨して精度を追求したうえ、さらにフリクションが少なくなるクロスハッチ加工までしている。そのうえで硬質クロムメッキを施す。ザックスと同じレベルの手をかけた作り方をしてます。
作業レベルに差が出てしまう溶接のような工程はすべて自動化。中国人の気質なのか、転職者が多いらしい。熟練工が辞めると影響が大きい。そんなことから練度が必要な工程はすべて自動化。
TEINの中国工場では、人間が行う作業については半日研修を受ければできるようになっているという。これもモノ作りの妙、だろう
人間が行う作業は半日研修を受けただけでできる内容になっている。藤本さんによれば、「中国だけでなく、インドに代表される新興国でもウチの工場なら優れた製品を安定して作れます」。
TEINのショックアブソーバーは性能を考えれば割安だと思う。車高調だってリーズナブル。なのに、品質は競合する製品を圧倒している。実際、中国工場で生産したダンパーを装着したクルマに試乗してみたけれど、これを純正ダンパーにしたほうがいいんじゃないかというものばかり。
※BYD SEAL試乗はこちら
※ZEEKR 01試乗はこちら
TEINの中国の工場を見て「なるほど!」と思った次第。こういうモノ作りも面白いです。
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これからどこかのメーカーが採用するとか?