「ノン・キャタ、ノン・アジャスト」のヨーロッパ仕様車
2024年3月1日~2日、RMサザビーズがアメリカ・マイアミで開催したオークションにおいてフェラーリ「F40」が出品されました。新車時からワンオーナーで維持されてきた同車の走行距離は1200kmと少なく、現在はフェラーリ・クラシケを申請中です。注目のオークション結果をお伝えします。
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当初の生産台数は300~400台だった
フェラーリが1987年に発表した「F40」は、同社の創立40周年を記念して限定生産された特別な1台だ。最近では、その前身ともいえる「288GTO」、事実上の後継車である「F50」、「エンツォ・フェラーリ」、「ラ フェラーリ」などのスペチアーレと合わせ、「グレート・ファイブ」などと呼ばれることも多いが、その中でもF40は最もスパルタンな走りを披露する1台として常に高い人気を博している。
F40の設計の基本が、1984年にデビューした288GTO、あるいはそれをベースとしたプロトタイプの288GTOエボルツィオーネにあることは否定できないところだが、そのスタート地点にある288GTOが当時のグループB車両のホモロゲーションを得るために開発されたというストーリーは正しくはない。
そう語ったのは288GTOやF40でチーフ・エンジニアの役を担い、先日他界したニコラ・マテラッツィで、氏は筆者のインタビューに対して次のようにコメントした。
「エンツォはかつてフェラーリの原点にあったような、コンペティツィオーネにもストラダーレにも使用できるようなモデルを作れとだけ命令した。グループBのホモロゲーションという目的を当てはめたのは、マーケティングのスタッフたちだったのだ」
288GTOの正常進化型、288GTOエボルツィオーネを経て誕生したF40に対しても、エンツォからの要求は「300~400台の限定生産を行う、フェラーリ史上最もスパルタンなモデル」というものだったという。
マテラッツィはこの命令を聞いて、その生産ボリュームならばかなりのドライビングスキルを持つドライバーに、のちにF40とネーミングされるモデルは納車されるのだろうと確信。288GTOをベースにそのストラダーレを作っていくというプロセスで、F40の設計を進めていった。
車体構成はクロームモリブデン鋼で組んだチューブラーフレームに、こちらも一部走行中の応力を負担するカーボンファイバー&ケブラーのボディシェルを接着工法で組み合わせる手法。軽量でかつ高剛性なボディはピニンファリーナのレオナルド・フィオラバンティとそのチームがデザインしたものとされるが、フェラーリ自身、あるいはF1以外のレース活動をオーガナイズしたミケロットなど、さまざまなチームが多くの意見を唱えたという話もある。
インテリアは同時代の「328」や「テスタロッサ」よりも、1960年代の「250GTO」のそれに近い。ダッシュボードのフェイシアは漆黒のグレーのクロスで縁取られ、コックピットの表面はむき出しのまま。ドアを内側から開けるハンドルはなく、初期のF40はポリカーボネイト製のサイドウインドウを持つほどに、軽量化が徹底されていた。
複数のワークショップで徹底的な整備を実施
リアミッドに搭載されたエンジンは、3LのV型8気筒に、2基のIHI(石川島播磨重工)製ターボを組み合わせたもの。最高出力は478ps、最大トルクは577Nmに達し、5速MTとの組み合わせで0-100km/h加速4.1秒、また最高速は324km/hを記録した。
今回RMサザビーズのマイアミ・オークションに出品されたF40は、1990年式のモデル、シャシーナンバー84116。エンツォ・フェラーリが生前に命じた300~400台という限定数に対して1311台(ほかに諸説あり)もの台数が生産されたことで、ビギナードライバーのクラッシュ件数も増えたことから、新車時からワンオーナーで維持されてきたモデルがいかに貴重であるかは想像に難くない。
しかもこの84116は、いわゆる「ノン・キャタ、ノン・アジャスト」のヨーロッパ仕様車。これはオプションのセルフレベリング・サスペンションと、環境対応のための触媒コンバーターを持たないモデルの通称で、その優れたハンドリング性能と制限の少ないエンジンが高く評価されている。
現在この84116は、2022年にガレージから取り出され、その後複数のワークショップで徹底的な整備を実施。オドメーターに示される走行距離はわずかに1200kmと少ない。2023年4月に整備が終了した後、車体はフェラーリ・ニューポートビーチに送られ、ここでクラシケ認定のための入念な検査が行われた。オークション出品時点では、フェラーリに申請書を提出し、現在申請中である。
誰もが注目した、これほど走行距離が少ないシングルオーナーのF40。しかもノン・キャタ、ノン・アジャストのヨーロッパ仕様。RMサザビーズの示した予想落札価格は280万~340万ドル(邦貨換算約4億2000万円~5億1000万円)というかなり強気なものだったが、将来ここまで素晴らしいコンディションのF40がオークション市場に現れる保証などどこにもない。入札額はどんどん跳ね上がり、最終的には336万ドル(邦貨換算約5億400万円)での落札となった。ちなみに日本市場での、F40の新車価格は4500万円。単純な比較はできないが、その価値は驚くほどに高まったということになる。
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