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トヨタの軽自動車「ピクシスシリーズ」とは? 全車種を一気に解説

掲載 更新 9
トヨタの軽自動車「ピクシスシリーズ」とは? 全車種を一気に解説

 この記事をまとめると

■トヨタの軽自動車「ピクシスシリーズ」を紹介

出せばバカ売れ必至! それでもトヨタが軽自動車を作らないワケ

■4車種全てがダイハツのOEMモデル

■ライバル車についても解説

 じつはトヨタにも軽自動車が存在していた!

 2021年に165万台以上売り上げた軽自動車。すでに国内での販売比率は37.1%にまでおよんでいるなか、乗用車を販売する国内主要自動車メーカーすべてが軽自動車を販売しています。

 販売台数第一位のトヨタも軽自動車の「ピクシスシリーズ」をラインナップしていますが、正直、あまり知られていません。

 今回はトヨタのピクシスシリーズを調べていきましょう。

 トヨタの軽自動車「ピクシスシリーズ」とは

 トヨタが販売する「ピクシスシリーズ」とは、子会社のダイハツからOEM供給を受け販売している軽自動車です。

 ピクシスシリーズの販売が開始されたのは2011年からで、軽自動車の販売比率が年々伸びていく中で軽自動車保有率が高い地域の販売店からの要望を大きな理由としてラインナップすることになりました。

 2011年9月にムーヴコンテのOEMとなるピクシススペースの販売を開始し、同年12月にピクシスバン(ハイゼットカーゴのOEM)、ピクシストラック(ハイゼットトラックのOEM)を追加。2012年にはピクシスエポック(ミライースのOEM)を追加するなどラインナップを拡充していきます。

 現在はピクシスジョイ(キャストのOEM)、ピクシスエポック、ピクシスバン、ピクシストラックの4種類が販売されていますが、8月まではウェイクのOEMとなるピクシスメガも販売されていました。

 ピクシスシリーズの取り扱い販売店

 トヨタがピクシスシリーズの販売をスタートした2011年当時は、取り扱いをカローラ店とネッツ店に限定していました。(ただし、一部地域では全チャンネルで取り扱い)

 しかし、2020年5月からトヨタディーラーでは全店舗で全車種を購入できるように販売戦略を変更。この変更により現在はどのディーラーでもピクシスシリーズを購入することが可能となりました。(一部で取り扱いがない販売店もあるようです)

 ただ、トヨタディーラーでピクシスシリースを積極的に販売する店舗はごくわずかで、試乗車を用意しているお店も限られます。(試乗車を用意しているディーラーはトヨタHPで検索可能)

 ピクサスシリーズをディーラーの販売員が積極的に売らない理由としてはメーカーからのディーラーマージンが少ないことやヤリスなどのコンパクトカーが売れなくなることが挙げられますが、いずれにせよピクシスシリーズは販売店にとっては売っても売らなくてもあまり関係ない、といった存在なのでしょう。

 トヨタが自社で軽自動車をつくらない理由は?

 その1:トヨタのブランドイメージを守るため

 先程、販売店がピクシスシリーズの販売に力を入れていないことをお伝えしましたが、それは軽自動車のピクサスシリーズを販売してもマージンが得られないことや、車両の販売後にお金を得ることができるアフターメンテナンスが登録車に比べ少ないことがその理由でしょう。

 また、トヨタが軽自動車を扱うことがブランドイメージを損なうという声がメーカー内外に少なからずあることも大きいのではないでしょうか。

 そんな声がある限り、トヨタ自身が軽自動車の開発を進めることはないといえます。

  その2:軽自動車をつくるノウハウがないため

 筆者は以前、某自動車メーカーの軽自動車開発責任者と知人を通して知り合い食事をご一緒させてもらったことがあります。

 その際、軽自動車と小型車の開発に違いがあるかを質問したのですが「設計自体に大きな差はない。ただし軽自動車の開発には長年培ったノウハウや生産設備、また関わってきたサプライヤーさんが必須。開発コストに制限がある軽自動車はイチからスタートするのは非常に難しい」と語っていました。

 コンパクトカーの開発に長けているトヨタとはいえ、限られたボディサイズや開発コスト、また新たに生産設備を立ち上げる必要がある軽自動車の製造をはたして行うかというと、それはないといえるでしょう。

 その3:子会社であるダイハツの存在?

 冒頭からお伝えしているようにピクシスシリーズはダイハツからのOEM車でラインナップしています。

 ダイハツといえばロッキーやトールなど登録車も販売していますが、販売の主力は軽自動車。軽自動車をメインとした車種構成を行う子会社があるトヨタにとって、軽自動車の開発はもちろん、販売に力を入れることはないのは当然のこと。

 トヨタとダイハツの関係性は、共同で軽自動車の開発・製造を行うNMKVを立ち上げた日産と三菱とは違います。

 ダイハツを子会社に持つ以上、今後もトヨタが軽自動車の製造を行うことはないでしょう。

 トヨタの軽自動車「4車種のピクシスシリーズ」を紹介

 トヨタの軽自動車1)ピクシスジョイ

 ピクシスジョイとはダイハツ・キャストのOEMで2016年から販売が開始されています。

 6代目ムーヴとメカニズムの多くを共有し、車体にかかる力や路面にかかる力をコントロールし快適性と操作性、動力性を高めるフォースコントロールコンセプトを採用したことなどマニアックなポイントも有していました。

 デビュー時は標準タイプの「F」に加え、最低地上高を30mm上げ樹脂製のプロテクターなどで身を纏ったSUVテイストの「C」、ホットな走りを可能とした「S」と3つのボディをラインナップしていましたが2020年の一部改良時に「C」と「S」が廃止。現在は「F」のみが販売されています。

「C」には悪路走破性が高い4WDシステムを装備し、スポーツ仕様の「S」には専用チューンが施されたサスペンションを投入するなど独自機能備わっていた2タイプが廃止されたことで、デビュー時と比べクルマの個性が失われてしまいました。

 ただし、現在販売されている「F」もSUVやスーパーハイトワゴンが主流となった軽自動車ジャンルの中でクロームメッキを随所に配置したスペシャリティ軽としてライバル車不在で独自の世界を備えています。

 パワーユニットは2タイプが用意され、ダイハツ製KF型660cc直列3気筒エンジンのターボ付きとNAがラインナップされています。高速道路でロングドライブを楽しむ場合などターボ車の恩恵を感じますが、市街地での日常使いであればNAで十分な走行性能を実感するのではないでしょうか。

 ピクシスジョイはN-BOXなど売れ筋軽自動車のようなスーパーハイトワゴンではありませんが、室内高1245mm、室内長2005mmと室内空間は十分。大容量深底ラゲッジアンダーボックスを備えたラゲッジルームも広さに不満を感じることはないでしょう。

 またデビュー後、すでに6年を経過するモデルではありますが衝突回避支援ブレーキ機能や車線逸脱警報機能など備わっているダイハツの先進支援安全装備「スマートアシストIII」が備わっています。渋滞追従ACCなどが標準装備されているいまどきの軽自動車に比べ装備はやや劣りますが、安全性能にもこだわったクルマであることは間違いありません。

 トヨタの軽自動車その2)ピクシスエポック

 最も安い「B」は86万200円と、トヨタの軽自動車においてベーシックラインを担うピクシスエポック。ダイハツ・ミライースのOEMで2017年に販売を開始しました。

 先程も記載しましたが軽自動車の主流がスーパーハイトワゴンになった現在ですが、セダンタイプの需要もけして少なくない中、ビジネスユースを含めピクシスエポックは貴重な存在といえるでしょう。

 ハイトワゴンに比べると背が低いピクシスエポックですが長めのホイールベースを採用するなど室内空間はけして狭くはありません。頭上空間こそハイトワゴンには劣りますが、リヤシートのひざ前は見た目からは想像できないほどゆとりを備えています。

 パワーユニットはシンプルな構成でKF型660cc直列3気筒NAエンジンの1タイプ。最高出力57psとパワーは十分で軽い車体を軽快に走らせます。しかも、燃費は23.2~25.0km/Lと優れているところも魅力的。

 特筆したいのが、とにかく運転しやすいこと。ハイトワゴンほど運転席の座面は高くありませんが視界は広く、最小回転半径が4.4mと相まって取り回しが楽なことに感心するほど。ただしAピラーがやや寝ているため、乗降時には不満を感じることもあるでしょう。

 またピクシスエポックで嬉しいポイントとして衝突回避支援ブレーキ機能などが備わったダイハツの先進支援安全装備「スマートアシストIII」が装備されていること。

 残念なことに全グレードに装備されているわけではなく、BやLには装着できませんが、運転時の安心に繋がる嬉しい装備です。

 ピクシスエポックの購入を考える場合、日常使いメインでも「スマートアシストIII」が標準装備となる「B“SAIII”」(92万6200円)以上のグレードを選びたいものです。

 トヨタの軽自動車その3)ピクシストラック

 ダイハツ・ハイゼットのOEM車であるピクシストラック。ハイゼットのマイナーチェンジとともにピクシストラックも2021年にマイナーチェンジが実施されました。

 改良された箇所は多岐にわたっており、軽キャブトラック車(FR車)で初採用となったCVTの搭載をはじめ。クラス初となる3モード切替機能付き電子制御4WDの搭載、先進支援安全装備の機能追加、クラス初となるキーフリースタート&プッシュボタンスタートなど機能面向上のみならず、快適装備も充実しています。

 ただ、OEM元となるハイゼットがハイルーフやキャビンを延長したジャンボなど多彩なバリエーションが用意されていることに比べピクシストラックはそれらの仕様が用意されていません。

 働くクルマとして気になる荷台の広さは荷台フロア長2030mm、荷台幅1410mmとクラス最大の広さを有しており。りんごコンテナ48個、みかんコンテナ54個を積載できます。

 また室内空間も室内幅は軽自動車No.1の1340mmを確保。

 助手席側の足元スペースが広く取られていることで荷物や工具箱を置くことが可能となっています。

 また身長にかかわらず乗り降りしやすいようフロア高やドア開度などがこだわられていることも注目ポイントといえるでしょう。

 パワーユニットはダイハツ製KF型660cc直列3気筒NAエンジンのみをラインナップ。軽トラックが様々なシーンや路面状況で使われるため山道やぬかるみなどで威力を発揮する電子制御式4WDが新たに採用されました。

 この4WDは路面状況に応じて駆動力を制御する「4WD AUTO」、未舗装路などに最適な「4WD LOCK」、通常走行時に使用する「2WD」と3つのモードを選択できます。

 トヨタの軽自動車その4)ピクシスバン

 2021年に登場した11代目ハイゼットカーゴのOEM車となるピクシスバン。ハイゼットカーゴ同様、2021年にフルモデルチェンジされました。

 新型となったピクシスバンですが、トヨタのTNGAをベースにしたダイハツの新たな取組「DNGA」を軽商用車として初めて採用し基本性能や安全性能を進化。また今年から適用された商用CAFE規制(企業別平均燃費基準)に対応すべく燃費を向上させています。

 先代と比べ商用車として重視される荷物の積載量がアップしてことも大きなトピックスでしょう。荷室上部をスクエア化し区間を拡大することを可能としたほか、荷室側面や床面をフラット化し効率的に荷物を積載することができるようになったことも積載量拡大に寄与しています。

 そんな荷室空間ですが2名乗車時の荷室長は1820mm(4名乗車時は1005mm)、2名乗車時の荷室幅は1265mm(4名乗車時は1410mm)。みかん箱は68個、パンケースは71ケース、ビールケースは36ケース積載することができるスペースです。

 また後席を格納し、助手席を前倒しすることで最大2650mmのスペース長が生まれ長尺物を積載することも可能です。

 また、ピクシストラック同様、FR用CVTを搭載したことやスマートアシストが13種類の予防安全機能を備えたこと、キーフリー&プッシュスタートボタンを採用したことなどによる快適装備の充実など先代モデルから各種機能が大きく進化しました。

 トヨタの軽自動車「ピクシスシリーズ」とよく比較される車種とは

「ピクシスエポック」と「アルト」

 ハイトワゴン全盛のなか、いまや貴重となった軽セダンのアルトはピクシスエポック最大のライバルといえるでしょう。

 アルトのエントリーモデルは94万3800円とピクシスエポックよりは高めですが、100万円以下で購入可能な軽自動車として、とくにビジネスユースでのニーズが高い1台です。

 またアルトのパワーユニットには高い燃費性能に貢献するマイルドハイブリッドやエネチャージをラインナップ。

 マイルドハイブリッド車は27.7km/L、エネチャージ車は25.2km/L(いずれもWLTCモード)と軽自動車No.1の低燃費性能を有していることが特徴です。

「ピクシスバン」と「エブリイ」

 働くクルマ、商用バンにおいて大きなライバルとなるのがスズキ・エブリイ。

 2名乗車時の荷室長1820~1910mm、2名乗車時の荷室幅は1385mm、みかん箱が69個、パンケース74ケース、ビールケース40ケースとピクシスバンより高い積載性能を誇ります。

 またエブリイにはピクシスバンにはない5速オートギヤシフト(5AGS)など3種類のトランスミッションを用意。燃費性能にもこだわっており5速MT車は17.2km/L、5速AGS車は16.4km/L、4速AT車は14.6km/L(いずれもWLTCモード)を誇ります。

 トヨタの軽自動車買うべきは新車? 中古車?

 新車購入がおすすめの人

 その1)好みのボディカラーやグレードが決まっている

 愛車としてこのボディカラーやこのグレードが欲しい、という方にとって条件に合う中古車を探すのは簡単ではありません。とくに希少なグレードや限定車であればなおさらのこと。

 探しているクルマの条件がはっきり決まっている人にとって、時間をかけて中古車を探すより新車を購入するほうがベターです。

 その2)どうしても欲しいメーカーオプションがある

 新車には多数のオプションが用意されています。とくに後付ができないメーカーオプションは中古車では装着することはできません。

 もちろん、希望のオプションが装備されている中古車が販売されていることもありますが、探すことに時間がかかるケースもあるでしょう。

 このような場合も新車購入を考えたほうがいち早く車両を手に入れることができます。

 その3)走行距離が気になる

 中古車購入を考える場合、気になるのが走行距離。一般的に同じ年式で走行距離が長い中古車のほうが価格は安くなりますが、長く走っている中古車のほうが車体にダメージがあることも考えられます。

 また一定距離走った中古車は走行によるダメージがゼロであることは考えられません。走行距離や車両のダメージが気になる場合は新車を購入するほうがよいでしょう。

 中古車購入がおすすめの人

 その1)いち早く車両を手に入れたい

 現在、半導体不足などを理由に新車購入後の納車期間が長くなることはご存知のとおり。そのため最新モデルが出たばかりの車種でさえ中古車でないとすぐに手に入らないクルマも少なくありません。

 ちなみに今回取り上げたピクシスバンの中古車価格は新車価格を上回っていますが、これもニーズが高いことに比べ新車がすぐに手に入らないことがその理由なのでしょう。

 その2)価格をおさえたい

 上に挙げたように一部車種では新車価格を上回る価格で販売されている中古車ですが、一般的に新車とくらべリーズナブルに購入することが可能です。

 新車で手に入れることができなかった憧れのクルマが中古車では手に入れることができることが可能となります。

 ただし、あまりにも安いクルマは程度が悪い場合が多く、購入後にメンテナンス費が購入価格を上回る、ということも少なくありません。中古車購入を検討する場合は、車両の程度を確認することはもちろん販売店自体のチェックも含めよく検討することが必要となるでしょう。

 その3)購入後、車両をカスタムしたい

 自分好みにカスタマイズしたい人やドレスアップしたい人にとって新車より中古車を購入するほうがよいでしょう。新車とくらべ車両価格をおさえることができる中古車はカスタムにかける費用をよりかけることができます。

 また新車とくらべ中古車をベースにカスタムするほうが気持ち的にもやりやすいはず。また自分好みにカスタムされた中古車も市場に出回るケースがあることも新車より中古車を選ぶ理由となります。

 まとめ

 ラインナップこそしているものの、販売に力が入れられていないピクシスシリーズ。

 今後もけしてメジャーな軽自動車ブランドとして市場に出回ることはないかもしれません。

 トヨタ車でありながら積極的に販売されないクルマたち…トヨタが販売する軽自動車とはどういうものか調べれば調べるほど不遇な存在だと感じてしまいました。

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みんなのコメント

9件
  • 名前がダサい
  • さすがトヨタ車品質だ
    塗装も剥げないし、燃料も漏れない
    タイヤもガラスも外れないし
    雨水入ってショートと論外だし
    ハイブリッドシステムも完璧
    車検も隅々まで見てくれるから安心感が
    他のメーカーとは段違いですよね
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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