■ほぼ同じサイズの新型「WR-V」と「ヴェゼル」
ホンダは、新型コンパクトSUV「WR-V」を2024年春に国内で発売することを明らかにしました。
新型WR-Vは、既成概念や固定観念にとらわれずに、より自由な発想で自分らしい生き方を表現する人々の思いに寄り添うクルマを目指して開発されました。
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車名の由来は、「Winsome Runabout Vehicle(ウィンサム ランナバウト ビークル)」の頭文字を組み合わせたもの。Winsomeには、「楽しさ」や「快活さ」の意味があり、このクルマと生き生きとした毎日を楽しんでほしいという思いが込められています。
この新型WR-Vは、2023年6月にインドで世界初公開された新型「エレベート」と同じモデル。インドで生産され、日本に輸入されることになっており、「アコード」など海外生産のモデルと同じく完成車検査は日本でおこなわれます。
インド製のモデルを日本で販売するのはホンダとしては初めてだといいます。
新型WR-Vのエクステリアは、スタイリングから安心と信頼を感じられるようなデザインとし、高く配置したベルトラインと厚みのあるボディ造形とすることで、力強さを表現。アウトドアが似合うコンパクトSUVに仕立てられました。
インテリアは、シンプルで水平基調のデザインとし、スイッチ類を中央に配置することで運転しやすい空間としたほか、人が触れるパーツには柔らかな素材を使用するなど、人に寄り添うことを目指した内装を実現しています。
新型WR-Vは全長4325mm×全幅1790mm×全高1650mmというボディサイズで、国内で販売されるホンダSUVのエントリーモデルとなります。
ただし、サイズ的には全長4330mm×全幅1790mm×全高1580mmの「ヴェゼル」との違いはわずか。全長はヴェゼルのほうが5mm長く、全幅は同じ、全高は新型WR-Vのほうが70mm高いのですが、両車は“ほぼ同じ大きさ”だといえます。
同等サイズの2つのSUVはどのように棲み分けるのでしょうか。
ホンダは3つの観点で棲み分けをおこなうといい、ひとつは価格帯です。
ヴェゼルの売れ筋は、300万円前後のハイブリッドモデルが8割を占めています。一方の新型WR-Vは1.5リッターガソリン車のみ。ハイブリッド車の設定はなく、ガソリン車で250万円以下の市場を狙っていくといった違いがあります。
近年、「250万円以下のコンパクトSUV」が拡大傾向にあるのですが、ホンダはこの市場へ参入できていませんでした。そこで、コストパフォーマンスに優れた新たなコンパクトSUVとして新型WR-Vを投入し、シェア向上を目指すといいます。
ふたつめは「強み」ですが、ヴェゼルは流麗なクーペSUVのデザインやe:HEV(ハイブリッド)のスムーズで静かな走行性能、センタータンクレイアウトによる後席チップアップ・ダイブダウンといったパッケージングを特徴としています。
対する新型WR-Vは、ダイナミックで塊感のある力強いSUVらしい外観デザインや、多人数乗車でも余裕の居住性と458リッターという広い荷室空間をウリとしているところがヴェゼルとは異なる部分。それに加えて250万円以下という比較的購入しやすい価格を強みとしています。
とはいえ、ただ単に価格が安いだけでなく、現在のクルマに求められる「ホンダセンシング」や「ホンダコネクテト」といった先進技術も搭載しました。
そしてみっつめは「イメージ」のすみ分けです。
SUVに対するイメージについてユーザー調査をおこなったところ、ヴェゼルは「スポーティ」「カッコいい」「都会的」といった都市型コンパクトSUVとしてのイメージを獲得できていることがわかったそうです。
その反面、「アウトドアが似合う」「頑丈な」といったSUVのイメージはヴェゼルが持ち合わせていない部分であり、そこを新型WR-Vが担うことによって、差別化する狙いがあるといいます。
ボディサイズだけを見るとほぼ同じ大きさのヴェゼルと新型WR-Vですが、それぞれ別の役割を持たせ、多様化するユーザーニーズに応えられるような商品ラインナップにするというわけです。
※ ※ ※
新型WR-Vは200万円台前半から買えることから、20代から30代の「ミレニアル世代」をメインターゲットに設定しています。
この世代は運転免許を取得したばかりの人もいるため、運転のしやすさも重視され、新型WR-Vでは視線が高くて見切りの良いコンパクトなボディ形状を採用することで、取り回しのしやすさを追求しました。
新型WR-Vは2023年12月に発表、2024年春に発売される予定です。
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