東京オートサロン2023のスバルブース。ここで、ひときわ注目を浴びていたのは、「クロストレックBOOST GEARコンセプト」だった。オフ系カスタムがクロストレックに実にマッチしていて、(我々メディア関係者のみならず)多くの一般客の方々も、足を止め、スマホで写真を何枚も撮るようすがみられた。
これだけ注目を浴びているのなら、市販化されてもいいのでは…と、スバルブースにいた説明員の方にお話を伺おうと、声をかけた。北米の「アウトバック」と「フォレスター」に設定されている、本格オフロードグレード「Wilderness(ウィルダネス)」の日本導入の可能性についても伺ったので、あわせてご紹介しよう。
スバル新型クロストレックに「ガチのオフロード仕様」追加は…売れる? それとも日本では無理???
文:吉川賢一
写真:SUBARU、エムスリープロダクション
ターコイズブルーは「旅のお守り」
オフロード感を演出する台座の上に展示された「クロストレックBOOST GEARコンセプト」は、ボディのヘアライン調のラッピングや、17インチのブラックホイールのマッドタイヤのほか、高めの地上高やサイドステップ、ルーフからアウトドア用のタープがせり出す構造なども付いた、オフ系カスタムのコンセプトカーだ。
ほかにも、フロントフェンダー上部に用意されたグリップには、アクションカメラが取り付けられ、一見普通に見えるドアモールも開閉式で、停車中にちょっとしたグッズを乗せたり、リアフェンダーにつけたマグネットにアウトドア工具をつけて置いたりと、アウトドアで活用するアイディアが仕込まれていた。
「アクティブライフを楽しむユーザーの後押しをしたい」というコンセプトでつくられたという、「BOOST」。ボディの所々にあしらわれた「ターコイズブルー」のアクセントカラーは、かつて、ヨーロッパのシルクロードを旅していた方たちが、「災いを振り払うお守り」として、ターコイズ石を持っていたところから採用したそう。スバル車の高い安心感で、過酷な旅から無事に帰ってきて欲しい、といった願いが込められているという。
このターコイズブルーのコンセプトカラーは、今回の東京オートサロン2023で得たお客様の反応を見て、今後の用品開発に生かしていきたいという。スバルといえば「スバルブルー」がお馴染みだが、従来とはちょっと異なる方向性が確認できたことは、嬉しいことだった。
17インチのブラックホイールにYOKOHAMAジオランダーのマッドタイヤを装着。ターコイズブルーの差し色は、過酷な旅から安全に帰り着くための「お守り」の意味があるという
耐チッピング塗装が施された左フロントフェンダーと、そのフェンダーに付いたグリップには、アクションカメラが装着されている
ウィルダネス導入は厳しいが、ラッピング用品などの純正品投入は大いにありうる
オフ系テイストのカスタム仕様を日本仕向けに用意するのならば、北米のフォレスターやアウトバックに設定されている「ウィルダネス」を日本に導入してもいいのでは、と考えられる。その点を担当者へお聞きしたところ、「導入してみたい気持ちはあるのですが」と、前置きしたうえで、「ウィルダネス導入は考えていません。この会場にいると、このクルマをカッコ良いと声をかけてくれる方は多くいますが、日本のユーザーが、あの手のオフロードスタイルを、自家用車として使うライフスタイルを、取り入れてくれるのかが課題です。」としていた。
アウトドア需要の高まりで、オフ系のクルマも人気が高まってはいるが、ウィルダネス(本気でオフロード走行ができる仕様)まで対策をやり込んだクルマが日本で受け入れられることは、現時点では想像つかないそうだ。
ただし、今回のコンセプトカーで試した、カッティングシートでのヘアライン調加工などは、純正用品開発で大いにありうるという。派手なボディカラーは下取りで不利になることがあるが、例えばホワイトやブラックのボディカラーで買って、好きなカラーや、今回のようなヘアライン調にラッピングで仕上げるというのは、ビジネスとして成立する可能性はあるという。「皆さまからの大きな声があれば、われわれ商品開発としては、ぜひ期待に応えていきたい。」と、最後に答えてくれた。
2022年12月22日に追加した、フォレスターXTエディション。北米のウィルダネス専用色であったカイザーブルーを採用した
自分好みの「ウィルダネス」をつくって楽しむのもいいかも!!
2022年12月22日に、フォレスターの日本仕向けに追加された「XTエディション」では、北米のウィルダネスが採用している「ガイザーブルー」を、日本で初めて採用。これに、タイヤとホイール、車高を弄れば、ウィルダネス仕様に近づけることは不可能ではなく、そうやって自分好みの「ウィルダネス」をつくって楽しむのもいいだろう。
ぜひ純正のオフ系カスタム品のバリエーションを増やしていただき、オフ系カスタムを楽しむ、というスバルの新しい魅力が発信されることを、期待したい。
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