自由で滑沢な運転スタイルが向いている
マツダ・サバンナRX-7のステアリングは、ロータリーエンジンと同じく滑らか。ポルシェとは異なりメカニカルな感触は薄いものの、可変レートでクイックに反応する。グリップの限界領域まで迫ると、フィードバックが増すようだ。
【画像】マツダRX-7とポルシェ944 カブリオレ2台 先輩・後輩に当たるコスモとRX-8、968も 全88枚
ホイールベースはRX-7の方がポルシェ944 S2より長いものの、ひと回りコンパクトで機敏に感じる。慎重にクルマへの入力を調整しながら味わうというより、スムーズな5速MTのレバーを操り、積極的に運転を楽しむスタイルの方が向いている。
2代目となるFC型では、マツダは初代の軽快な個性からの方向転換を図った。ボディは大きくなり車重も増え、アメリカの大通りをゆったり流すような性格へ変わったと、批判する人も当時はいた。
だが、市場全体がゆったりと長距離を流すグランドツアラーへ移行していた。日本の競合モデルも、同様の変化を受け入れていた。
インテリアは、初代の流れをくんでドライバー・オリエンテッド。ボディサイズの拡大で空間にはゆとりが生まれ、多くのボタンも追加されている。
内装は、当時の日本車らしくブラックのプラスティックで溢れている。それでも、シートとステアリングホイールはレザー仕立て。ダッシュボードの上面も、ちゃんとソフトタッチ加工されている。
レスポンスとパワーの両立を狙ったターボ
メーターは、ブラックの盤面にオレンジの文字で見やすい。その両脇には、リアガラスの熱線やヘッドライト、ワイパーのスイッチが整然と並ぶ。リトラクタブル・ヘッドライトの開閉もここで賄う。
ステアリングホイールから指を伸ばせば操作できるレイアウトは、当時の人間工学の方向性だったのだろう。ドアパネル側へ埋め込まれた送風口など、緩やかに曲面を描く造形がスポーティ。好き嫌いが分かれそうな、単調なポルシェとは好対照だ。
ボディでRX-7の特徴となっているのが、ボンネットに開けられたエアインテーク。その下側にはインタークーラーが置かれ、効果的に吸気を冷やした。最高出力200ps、最大トルク26.9kg-mを叶えている。
944が搭載する直列4気筒と同様に、RX-7のロータリー・ターボも進化の途中にあった。1960年代に当時のNSU社と技術提携を結び、ヴァンケル・ユニットの技術を高めていた。
マツダは初めての量産ユニットとして10A型を生み出すと、1967年にコスモスポーツ 110Sへ搭載。1986年には13B型へ進化し、燃料インジェクションと組み合わされ、2代目RX-7の心臓となった。
さらに広島の技術者は、製造業大手の日立と提携。ツインスクロール・ターボを開発し、低回転域でのレスポンスと高回転域でのパワーの両立も狙っている。
コンピューター制御によって、タービンに掛かる圧力を調整。1980年代の水準では、ターボラグを最小限に抑えていた。フラットなパワーバンドと滑らかな回転フィールという、ロータリー・エンジンの強みを引き立てた。
剛性を高めたボディ ポルシェに劣らない装備
シャシー側では、マルチリンク式の初期段階といえるサスペンションをリア側に採用。セミトレーリング・アームに数本のリンクを追加し、マツダはダイナミック・トレーシング・サスペンションと名付けている。
その成果として、トーションビーム式サスペンションと比較して穏やかな挙動を獲得していた。アンダーステア傾向で、不満を漏らすドライバーもいたようではある。
先進的な可変レシオのステアリングは、1980年代のコンピューター技術には荷が重かったのかもしれない。グリップ力が限界を迎えると不意に軽くなるという感触は、一部で歓迎されなかった。
コンバーチブル・ボディは開発段階から検討されており、生産もマツダで行われている。タルガ風の強固なロールバーと熱線入りリアガラスが組み込まれたソフトトップは、ドライバーが自ら後ろへ倒す必要がある。価格の高いポルシェ944は電動だ。
とはいえ、ヘッドレストにはスピーカーが内蔵され、ウインド・ディフレクターも備わる。装備という点では劣っていない。
ルーフの切除に合わせて、RX-7 カブリオレではエンジンルームとリアシートの裏側、リア・サスペンション・ストラット部分が補強されている。剛性は充分に高く、平滑ではない路面でも安定性は失われにくい。
ドライバーの心を刺激する遊び心
グレートブリテン島の南東部、リーオンシーの桟橋へ2台を並べる。マツダが開発時にポルシェ924や944を意識していたことは、疑いようがない。コンバーチブルになっても、その類似性は否定できない。
ボディキットやBBSのアルミホイール、スモークされたテールライトなどに、ドイツ・ブランドへ挑もうという意気込みを感じる。同時に、ホワイトのオープントップの佇まいには、惹かれずにはいられない。
比較すると上品に感じられる944 S2に対し、RX-7のフロントフェンダーはマッシブ。やや平面的なサイド面を、程よく盛り上げている。
プロポーションの整った944のスタイリングに、派手な面処理は不要だとポルシェは考えたのだろう。アルミホイールも退屈なデザインながら、不正解に感じる部分はない。
トランスアクスルでコンバーチブルのポルシェは、すべての人が共感できるものではないかもしれない。とはいえ、実際にステアリングホイールを握ると、慎重に設計が煮詰められた仕上がりに好感を抱く。この2台では、より洗練されたスポーツカーだ。
他方のオープントップのRX-7には、それ以上にドライバーの心を刺激する遊び心が詰まっている。ハイブランドである必要性はないと思わせる。久しぶりに引っ張り出してきたファミコンのようで、歩み寄りたくなる魅力に溢れていた。
協力:マツダ・モータースUK、スティーブン・ボール氏
マツダRX-7とポルシェ944 S2 カブリオレ2台のスペック
マツダ・サバンナRX-7 カブリオレ(FC型/1985~1992年/英国仕様)のスペック
英国価格:2万5544ポンド(1989年時)/9000ポンド(約149万円)以下(現在)
販売台数:27万2027台(FC型合計)
全長:4315mm
全幅:1690mm
全高:1265mm
最高速度:239km/h
0-97km/h加速:6.7秒
燃費:8.5km/L
CO2排出量:−
車両重量:1350kg
パワートレイン:直列2ローター1308ccターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:200ps/6500rpm
最大トルク:26.9kg-m/3500rpm
ギアボックス:5速マニュアル
ポルシェ944 S2 カブリオレ(1989~1991年/英国仕様)のスペック
英国価格:2万5544ポンド(1989年時)/9000ポンド(約149万円)以下(現在)
販売台数:5656台
全長:4200mm
全幅:1735mm
全高:1275mm
最高速度:239km/h
0-97km/h加速:7.1秒
燃費:9.9km/L
CO2排出量:−
車両重量:1340kg
パワートレイン:直列4気筒2990cc自然吸気
使用燃料:ガソリン
最高出力:211ps/5800rpm
最大トルク:28.5kg-m/4000rpm
ギアボックス:5速マニュアル
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みんなのコメント
2003年頃は近所で30万円で売っていた
買うかどうか悩んで結局買わず…
タラレバですな