■車載ナビはルート案内以外あまり使われていない
いまではカーナビゲーション(カーナビ)が広く普及し、「目的地案内」などを使用していないときでも、常時稼働している場合がほとんどでしょう。
一方で、生活に欠かせないマストアイテムとなったスマートフォンの地図アプリにも誘導機能が備わっており、地図情報も常に最新に更新されることからクルマで利用する人も多くいます。
大手リサーチ会社『マイボイス』による「カーナビの利用に関する調査」によると、クルマを所有している人の8割がカーナビを所有しているとされています。
よく利用する機能として、「ルート案内(目的地までの誘導)」以外では、「音楽の再生・録音」「テレビ鑑賞」「施設・観光地などの検索機能」「バックカメラのモニター」としての利用が多いのですが、その半面、「ルート案内以外使っていない」と回答した方が4割以上いました。
また、カーナビで重視するのは「価格」や「操作のかんたんさ」が約6割、「地図のわかりやすさ」や「画面の見やすさ」「情報の精度」が4割から5割となっています。
以上を踏まえると、「情報の精度は欲しいけれど、お金をかけて余計な機能が追加される必要を感じない」と考える人が多数を占めていることがわかります。
一方でこの「カーナビの利用に関する調査」では、クルマの所有者の約5割がスマホやタブレットの「カーナビアプリ(地図アプリ)」を利用していることも明らかになっています。
乗車するたびに利用しているヘビーユーザーは8.4%ですが、ときどき利用するユーザーの25.2%を加えると、約3人に1人が使用しているという結果になりました。
カーナビは地図データが古くなると更新が必要ですが、スマホの地図アプリは常に最新のデータに更新されます。
また、カーナビはクルマのインパネにフィットするように設計されていますが、スマホはどこかに固定させる必要があります。
カーナビとスマホの地図アプリはどちらがいいのでしょうか。
機能的に古くなった純正ナビでも、十分活用できる道はあると教えてくれたのは、ユーザーのニーズに合わせたクルマを探して販売している仲介業のNさん。
「多少古いカーナビでもGPSやジャイロセンサーと連動しているので、マップ上での現在位置の正確さはやはり車載のカーナビのほうがスマホより上です。
またデザイン的にも統一されている純正ナビも多いですし、多くの車種がモニターを他機能と兼用しているので、わたしはお客さまに無理に交換をお勧めしていません」
一方でデメリットもあり、とくに純正ナビが故障するとメーカーでしか直せないという弱点もあるようです。
「さまざまな機能と連動している分、ナビの性能だけをアップさせるのが非常に難しいのです。とくに地図データは目印となるお店が変わっていたり、新しい道が表示されないなどのデメリットもあります。
ただ、最近の純正ナビは地図データのアップグレードもしやすくなっており、有料ですがSDカードの差し替えやHDDのデータ入れ替えなどで対応できるようになっています」(仲介業 Nさん)
■スマホの地図アプリのメリット・デメリットは?
クルマのプロで、スマホの地図アプリをメインに使用している人もいます。古いアメ車のカスタムを得意とする都内のカスタムショップのMさんもその1人です。
「古いクルマにはそもそもオーディオのスペースすらないことが多いので、必然的に地図アプリを利用するアメ車オーナーが増えています。
とくに若いお客様はスマホひとつで電話やメール、ブラウザ、お財布を兼ねて使いこなしているので、地図アプリにもまったく抵抗がないようです」
1960年代から1980年代のアメ車のカスタムやレストアは、インテリアも含めたトータルで仕上げる場合が多く、ナビ装着に固執しないオーナーが多いのが特徴だといいます。
一方で、地図アプリにもデメリットはあります。それは通信量と電池使用量の問題です。
近年は4Gや5Gが全盛でスマホのデータ使用量は増えています。地図アプリを使うということは、最新のデータを入手する代わりにデータ通信量を消費していることになり、月々で使用制限のあるデータ通信量を乗るたびに消費してしまうというのがネックになります。
あくまで目安ですが、Googleマップはもっともデータ通信量が少なく1時間あたり3MBから6MB程度。
iPhoneのデフォルトアプリである「マップ」などは状況によっては1時間あたり15.5MBなどというケースもあります。
外出先での動画視聴などと比べればはるかにデータ消費量は少ないのですが、チリも積もれば山となるケースも考慮しておく必要がありそうです。
また、電波が届かない場所では地図アプリも使えなくなるほか、スマホ本体の電池残量にも気を使わなければならないなど、スマホならではのデメリットも念頭において使用しましょう。
※ ※ ※
カーナビとスマホの地図アプリではどちらにもメリットとデメリットがありますが、意外に多いのが、古いカーナビと地図アプリを併用するパターンでしょう。
とくに中古車でも高額なモデルのオーナーほど、その傾向は強いと前出の仲介業者のNさんも教えてくれました。
「中古車の場合、ナビを入れ替えるお客さまはほとんどいません。高級車になるほどパーツやメンテナンス費用も高額になるため、そのままで使える機能だけを活用するパターンが定着しています。純正から社外品に交換すると価値が落ちることもありますので」(仲介業 Nさん)
目的地近くまではカーナビに任せ、最終的な誘導は最新の地図アプリに頼るという利用方法が現状では最善のようですが、地図アプリを使わずに、古くなったカーナビの地図データをアップグレードするという方法もあります
トヨタの純正ナビの場合、旧式のCXD・DVDナビの最新データは1万1000円から1万6500円で、SDナビは1万6500円から3万3000円、HDDナビは1万6500円から2万5000円前後で更新が可能。更新作業はディーラーでできます。
新しいナビに買い替えるよりも、最新の地図データにするほうがコストパフォーマンスが良さそうです。
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