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【試乗】ついに「売れる」EVが誕生! 三菱eKクロスEVの「上質な走り」は衝撃のレベルだった

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【試乗】ついに「売れる」EVが誕生! 三菱eKクロスEVの「上質な走り」は衝撃のレベルだった

この記事をまとめると

軽自動車電気自動車である三菱eKクロスEVはいま売れ行きが絶好調

日産サクラと三菱eK クロスEVが2カ月で2万8000台! バカ売れで浮上した「55万円」の補助金が受けられない不安

■中身は日産サクラと同じはずだが走ると上質さで勝る印象

■ガソリンスタンドが減少した過疎地域では有用なクルマ

EVでも室内の広さはガソリン同等!

三菱が日産と共同で開発した軽規格の新型EVが「eKクロスEV」だ。日産サクラと兄弟関係にあたるクルマなのだが、すでに5000台近い好調な受注を示しているという。サクラは1万5000台の受注済みといわれ、合わせると2万台以上の受注となり、生産ラインとなる三菱自の水島工場は賑わっていることだろう。そんなeKクロスEVに試乗する機会を得た。

eKクロスEVは、トールボディでガソリンエンジンのノンターボとターボ付き車をラインアップして人気があるeKクロスをベースにEV化したもの。ダイナミックシールドと呼ばれる三菱独自の顔は継承されており、eKクロスEVとしてのアイデンティティが保たれている。

一方で、EVとなったことでラジエターグリルは滑らかで煌めやかな華飾となり、日産サクラとは異なる存在感を演出している。外観デザインはeKクロスそのものだが、カラーリングやオーナメントバッジ、充電口の蓋など細かな部分でガソリンモデルとは違いがあるこが確認できる。兄弟車の日産サクラとはフロントフェンダー周辺やリヤのクォーターパネルまわりなどボディ外装も含めた多くの部分でデザインの差別化が行われていて、一般目線的には同じクルマとは思えないような出で立ちである。

日産サクラはダッシュボードのデザインを一新してアリアなど上級モデルに通ずる高級感と落ち着きのある雰囲気であったのに対し、eKクロスEVは既存のガソリンモデルのダッシュボードデザインを継承している。ただし、素材の見直しを行いダッシュボード表面をソフトパッドで覆いステッチを縫い込むなどしてより一層高級感のある仕上がりとしている。また、センターモニターは9インチ、メーターパネルは7インチの液晶であり、これは日産サクラと同様だが、シートの表面にダイヤモンドステッチを網み入れるなど、インテリアを見る限りにおいてはサクラと兄弟車とは思えないほど異なった雰囲気に仕上げられている。

室内に乗り込むと、その広さに驚かされる。寸法的にはeKクロスガソリンモデルと同じだが、さまざまなスイッチやメーターパネル、またその表示などがより一層アップデートされており、特別感のある装いとなっている。三菱eKクロスEVはGとPの2グレードが設定されていて、プレミアムなPグレードには標準で前席左右にシートヒーターが備わり、ステアリングヒーターも装備されている。Gグレードではオプションで装備されることになるが、寒冷地仕様として用意される。こうして寒冷地域への適合性を高めているのも特徴だ。日産サクラのシートヒーターは運転席にしか装着できないので、そういったところで販売戦略的な特異性が現れているのも面白い。

スタートスイッチを押すとシステムが起動し、メーターパネルに起動のグラフィックが現れる。その表示の仕方はサクラと異なり三菱独自のものとなっている。また、ステアリングはステッチが縫い込まれた革巻き3本スポークが採用され、サクラの2本スポークとは異なっている部分である。

ステアリング左右スポークには右側にマイパイロットのスイッチが備わり、左側にはメーターパネル表示メニューを変更するスイッチが備わっている。シフトレバーはダッシュボードのセンター部に設置され、EVらしくガソリン車とは異なった操作性でデザイン的にも優れたものを採用している。Dレンジを選択すれば走り出すことができる。

パワートレインやシャシーまわりはすべてサクラと共通で、最高出力47kWのモーターは最大トルク195Nmを発揮し、20kwhのリチウムイオンバッテリーを搭載することも同じである。また、このリチウムイオンバッテリーはエアコンの冷媒で冷却され、充放電性能を高めて安定化させているのもサクラと同じだ。

サスペンションはフロントストラット、リヤは3リンクサスペンションでeKクロス4輪駆動力に採用されていたものだ。ガソリンエンジン車のFF仕様はリヤサスペンションがトーションビーム方式だが、4輪駆動車用に3リンクが設定されていた。それが今回、バッテリー容量を大きくするために3リンクベースとすることで可能になったという。

日産サクラと同じなのにナゼか違う走りのフィーリング!

走り出すとEVらしく非常に静かで滑らかな走行フィールが印象的だ。タイヤの転がりのスムースさ、ホイールハブベアリングなど機械系の回転フィールの滑らかさなどからも上質な雰囲気を感じられる。足まわり開発担当エンジニアに聞くと、すべて日産サクラと共通だいうことだが、乗った印象としてはサクラのほうが明らかにロードノイズの侵入が大きく、またステアリングやシートを通じて伝わるタイヤの振動、バイブレーションも多い。一方、eKクロスEVはその辺が極めて上質で、ふたクラス上くらいの車両に乗っているような印象を覚える。

リヤホイールアーチ内には跳ね石などの防音を考慮した遮音材がコーティングされており、ガソリン車にはないEVならではの上質さを演出する助けとなっているようだ。また、ドアの開け閉めに際して、機密性の高さやドアのキシミ音などにも剛性が高く感じられ、そうしたものが走行音の軽減に役立っていることが明らかに感じられる。

アクセルを踏み込むと加速が力強くモーター駆動の良さが存分に発揮される。195Nmという数値は2リッターガソリンエンジン車並みのもので、それを軽自動車の大きさに乗せているのだから当然、動力性能は強力なものとなるわけだ。試しにスロットルを強く踏み込んでみると、トラクションコントロールが介入しながらも若干前輪がスキール音を立てるほどに勢いよく駆動力を発揮して頼もしさを感じられる。坂道や高速道路の流入区間などでこのトルク特性は大いに魅力を発揮できるだろう。

エアコンはヒートポンプ電動エアコンで、もちろんその効果は強力だ。エアコンを使用しながら真夏の炎天下でも快適に走行できる。電費はWLTCモードで180kmと謳っているが、実際にエアコンをつけて走行してみると、市街地のストップ&ゴーが続くような状況では5.8~6.5km/kWhのほどの電費である。日産サクラのほうが数値としては若干いい印象を受けるが、パワートレインの制御を含め、シャシーはまったく同じだというからクルマとは不思議なものだ。

タイヤはブリヂストン「エコピア」を装着し、サクラとの唯一の違いといえばホイールデザイン程度だ。そのホイール特性の違いからなのか、ステリングに伝わるシミーや走行ノイズの低さなども特筆できるレベルにある。

また、ハンドリングはフロア下にバッテリーパックを搭載する低重心設計が奏功してコーナリング姿勢も安定しており、パワーとシャシーのバランスが優れている。電動パワーステアリングは操舵フィールが若干重めで安心感と軽自動車らしからぬ重厚さを感じ取れる部分である。

一方、ブレーキに関しては踏み始め初期のバイトが強く、市街地では若干カックンブレーキになりやすく丁寧な操作を心がける必要がありそうだ。

ドライブモードはエコ、ノーマル、スポーツの3モードが用意されていて、またワンペダルを可能とする「イノベーティブペダルオペレーションモード」スイッチもサクラ同様に備わっている。その所作はサクラとまったく同じで、スポーツモードでワンペダルを使用した時の最大アクセルオフ時減速Gは0.20となっていて、市街地での操作性、またワインディング路などを走っても、おそらくペダルを踏み替える機会は相当減るだろう。

このプラットフォーム/車体は元々BEVになることを想定し設計されているということで、ガソリン車と比べてシートアレンジやリクライニング、シートスライド量、また荷室スペースを含めて一切犠牲になってないところも特筆すべきところである。リヤシートも前後に大きくスライドし、左右個別にリクライニングするなど豊富な機能に加え、とても機能的で普段の使い勝手を向上させている。

充電は急速と200Vの普通充電を可能としており、冷媒で冷却されるリチウムイオンバッテリーは急速充電においても十分なリチャージ容量を確保できるということで、利便性を大いに高めているといえる。

軽自動車規格としてのeKクロスEVは、セカンドカー需要としてEVがいよいよ普及する時代に突入することを予見させてくれる。三菱は、2008年にi-MiEV(アイミーブ)という軽規格のEVを世界で初めて量産EVとして発売している。そのときすでに走りや操縦性、使い勝手などで非常に高い完成度を持っていたが、当時航続距離120kmと謳っていたバッテリー容量も、実際にエアコンなど使用して市街地を走ると60km適度の走行距離しか引き出せなかったのを覚えている。それが時代の進化とともにバッテリー効率が高まり、市街地使用でも100km以上の走行後続距離が確保できるということは非常にありがたい。

三菱や日産の共同研究では、軽自動車ユーザーが日々使う航続距離を片道30km、往復60km程度で90%以上のユーザーをカバーできるという結論となっており、そういう意味で100km前後を走れるバッテリー容量は、軽自動車ユーザーの日常使用に対して必要十分であると言える。また、郊外など、むしろガソリンスタンドが減少しGS過疎化が進む地域においては、自宅で充電できるEV需要はより一層高まるだろう。都市部マンションなど、逆に充電施設のないところでは、いまだガソリン車のほうが優位性を保っているが、こうしたGS過疎地域ではもはやEVが最優先に普及するべき自動車といえるのだ。

また、太陽電池パネルなどと組み合わせて充電させたり、VtoH(ヴィークルtoホーム)機能を非常時用電源として使用することも可能で、災害時に役立つ対策としての導入価値も高まりそうだ。これまでのEVは自家用車として1台持つ上でリスクの高いものであったが、軽自動車ということを考えると、セカンドカー需要としても考えられるので、普通ガソリン車を持ちつつ日常的な使用に軽のEVを選択する、あるいは一家に1台からひとり1台の需要のある郊外地方においてはEV普及の大きなきっかけとなりうる。

EV化されたことによって走り味や使い勝手に何ら不満を感じることなく、むしろさまざまな利便性に満足感を得ながら乗れるということが極めてポイントが高い。

車両本体価格は250万円以上と軽自動車としては高価だが、全国で55万円、東京都ではプラス45万円の補助金などを活用すれば、実際にユーザーが負担する価格は185万円程度に抑えられるという。

三菱は残価設定や月々の支払額を抑える販売方法なども準備し、ユーザーサポートしようとしているので、いよいよEVが全国的に大きな広がりをもって迎え入れられる時代に突入したといえるのではなかろうか。今後、機会があればサクラとeKクロスEVを走り比べて、それぞれの特性や個性の違いなどをより明確にリポートしたいと思っている。

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