日本自動車会議所(内山田竹志会長)は1月17日、「2021年度クルマ・社会・パートナーシップ大賞」(共催=日刊自動車新聞社)の結果を発表した。第1回の大賞に、茨城県境町の「公共交通機関の空白地域における地域住民の手でなしとげた国内初の自動運転バスの社会実装に向けた諸活動」を選定した。部門賞には「モビリティ・ソリューション賞」に日本交通、「SDGs貢献賞」にタウ(宮本明岳社長、さいたま市中央区)、「地域・コミュニティ活性化賞」に赤碕ダイハツ(上田啓悟社長、鳥取県琴浦町)、「自動車ユーザー連携賞」に日本カーシェアリング協会(吉澤武彦代表理事、宮城県石巻市)を、また特別賞として第一交通産業グループと前野モータース(前野嗣郎社長、岩手県葛巻町)をそれぞれ決定した。2月7日に都内で表彰式を開催する予定だ。
この表彰制度は昨年、日本自動車会議所が創立75周年を迎えたのを機に創設した感謝表彰。自動車産業・文化の発展に対する地道な努力に謝意を伝えるとともに、そうした取り組みに光を当て世の中に広がっていく一助とするのが目的だ。第1回となる今回は、昨年9月から11月にかけて募集したところ、全国から75件の応募があった。鎌田実東京大学名誉教授を委員長ほか有識者ら6人で構成する選考委員会が、19件の「グッドパートナーシップ事業」を選定し、その中から大賞、部門賞などを決めた。
日本自動車会議所、新たな表彰制度「クルマ・社会・パートナーシップ大賞」応募締切を11/20に延長 選考委員も決定
鎌田委員長は「応募内容はクオリティが高いものが多く、本来順位をつけることはできないもので、難しい議論となったが、制度の趣旨に立ち返り審議を進めた」と選考経緯について説明するとともに、大賞の受賞理由として「住民が大きな役割を果たしながら町全体が自動運転バスの運行を迎え入れているのが大きな特徴であり、CASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)、MaaS(サービスとしてのモビリティ)の潮流の中で、一つの方向を示しているものとして高く評価された」と述べた。
表彰結果と取り組み概要は次の通り。
【大賞】
茨城県境町「公共交通機関の空白地域における地域住民の手でなしとげた国内初の自動運転バスの社会実装に向けた諸活動」
【モビリティ・ソリューション賞】
日本交通「妊婦の方等が事前登録で簡単に緊急時にタクシーを呼ぶことができる全国初となるサービス『陣痛タクシー』」
【SDGs貢献賞】
タウ「損害車・水没車のリユース・リサイクル『カー・トリアージ』の推進や終末期患者を希望の場所までお連れする『願いのくるま』等の諸活動」
【地域・コミュニティ活性化賞】
赤碕ダイハツ「過疎地域にある自動車整備事業者が連携した琴浦モビリティグループによる地域の自動車モビリティ確保に向けた取り組み」
【自動車ユーザー連携賞】
日本カーシェアリング協会「東日本大震災後の被災者支援としてカーシェアリングなどクルマを活用した新しい支え合いの仕組み作りに向けた活動」
【特別賞】
第一交通産業グループ「地域での公共交通機関による社会貢献として、外出時の乗合・ママサポート・お墓参りサポート等の『おでかけサポート事業』の取り組み」
前野モータース「地域整備事業者によるエネルギー・資源の地域内循環実現に向けた、整備工場の省エネや環境対策等の取り組み」
【グッドパートナーシップ事業】(五十音順)
アイシン「主に高齢者の外出促進に向けて愛知県豊明市で構築した地域のオンデマンド型乗り合い送迎サービス『チョイソコ』」
アサヒタクシー「歴史ある街並みの中で電気自動車による観光事業であり、住民の足にもなっている『グリスロ潮待ちタクシー』」
臼田ファインモータースクール「免許取得段階でエコドライブが自然に身に付き、卒業生が全員エコドライバーとなる独自の教習カリキュラム『楽エコ教習』」
会宝産業「自動車の精緻な解体・分別を通じたリサイクルシステムの世界展開による資源循環社会の構築に向けた諸活動」
日本ソープボックスダービー協会「地球のチカラ(重力)だけで走るクルマ『ゼロエミッションのソープボックスダービー(SBD)カー』普及活動」
東京ハイヤー・タクシー協会「地域におけるタクシーの特性を活かした『防災レポーター制度』『タクシーこども 110 番』『ながら見守り連携事業』などの地域支援の諸活動」
日産自動車「電気自動車の普及を通じ『防災対策』『環境』をはじめとした地域課題の解決に向けて自治体等とも協働する『ブルー・スイッチ活動』」
日本自動車部品工業会安全装置部会「普及・拡大初期の着用徹底と正しい使用法の啓発に取り組んだ『チャイルドシート安全装着キャンペーン』」
ネッツトヨタニューリー北大阪「寄付活動・クラウドファンディングや送客活動によるコロナ禍で苦しむ地元商店を応援する諸活動」
ベクセス「日本の快適なトイレ環境をイベントや災害時などの仮設トイレでも実現した『7ブーストイレカー』『多目的トイレカー』の開発」
北陸マツダ「車に関心の高い特別支援学校生とのやり取りから始まった就業体験支援や積極的採用等の取り組み」
ホンダカーズ埼玉「地域の保育園・幼稚園等での子供たちへの交通安全教室の開催や車への関心を高めるキッズ整備士体験会等を行う取り組み」
選考委員会のメンバーは次の通り。
▽委員長=鎌田実東京大学名誉教授▽委員=関根千佳ユーディット会長、森摂オルタナ代表取締役、加藤和夫日本自動車販売協会連合会会長、田口亜希日本財団パラスポーツサポートセンター戦略推進部プロジェクトマネージャー、山岡正博日本自動車会議所専務理事、花井真紀子日刊自動車新聞社取締役
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