ランチアが改良したツインカム4気筒
ランチアの技術者が改良を施したフィアット由来のツインカム4気筒は、素晴らしいユニットだった。排気量は1.3Lから2.0Lまで幅広いが、どれも耐久性は高く、運転を楽しいものにしてくれる。
【画像】古き良きランチア ベータとデルタ 復刻されたキメラ・エボ37とMATストラトスも 全80枚
レイアウトはモダンで、エンジンが5速MTと一緒に横向きで搭載された前輪駆動。サスペンションは前後ともにマクファーソンストラット式の独立懸架。ディスクブレーキも採用されていた。
登場は初期のベルリーナが1972年だから、すでに50年が経過している。年式を考えれば、感心する内容といえる。
調子の良いベータを運転すれば、適度にタイトで生き生きとした印象を受けるはず。英国の場合、1.6Lと2.0Lエンジンが一般的。排気量の小さい方が小気味よく吹け上がり、大きい方がトルクフルという特徴がある。
燃料インジェクションやスーパーチャージャー版は、特に威勢が良い。1.3Lは高回転域まで回す必要があるものの、そのぶん使い切る楽しさがある。
運転席からの視界に優れ、ツインカムエンジンのサウンドも聴き応えたっぷり。ドライビング体験の充足感は、ほかのモデルでは得難いものといえる。前後ともにブレーキはディスクだから、安心して加速もできる。
エンジンは堅牢 ブレーキや車体の腐食に注
長期間乗らないでいたり、整備されていないような例は注意が必要。特にタイミングベルト交換を怠ると、致命的な不具合に陥る。アルミ製ヘッドの腐食に伴う、ヘッドガスケットからの吹けやオイル漏れがないかもチェックポイントの1つ。
ラジエターの詰まりやクーラント漏れ、ウオーターポンプの不調も要注意。エンジン内部が摩耗すると、回転が安定しなくなったり、ノッキングや振動につながる。スーパーチャージャーも、消耗するとノイズが大きくなる。
キャブレターの場合は、適切にメンテナンスしていれば問題は起きにくいものの、スピンドルの摩耗に気をつけたい。ボッシュ社製の燃料インジェクションは信頼性が高い。
5速マニュアルのトランスミッションは堅牢だが、フルード不足で不調を招く。シフトリンケージの摩耗は珍しくなく、フィーリングを悪化させる。交換キットを安価に入手可能で、改善はできる。
AP社製のオートマティックもオプションで選べたが、とても珍しい。近年は部品の入手も難しいようだ。ディスクブレーキは、乗らないことが原因で腐食し固着してしまう。乾燥したガレージで保管されていない限り、すべて正常に動くか確かめたい。
ボディは全体的に錆びやすいが、端正なスタイリングとコンパクトなサイズがベータを際立たせた。現存する多くは大切に乗られ、惜しみなく手入れされてきた例が多い。自身のものとする場合は、充分な確認が不可欠だけれど。
購入時に気をつけたいポイント
ボディとシャシー
基本的に錆びやすい。フロントのサブフレームやリアのクロスメンバー周辺、リアのストラット・マウント、フロントのバルクヘッドやAピラーの付け根、フロアパン、サイドシル、ボンネットのエッジ、フロントガラス周りなどはその1例。
ほかにもサンルーフの開口部やルーフの両端のエッジ、ドア、リアフェンダーやリアハッチ、燃料タンクなども錆びがち。可能な限り、各部を観察しておきたい。
スパイダーのテールライトは入手不可能。S2のヘッドライトも出てこないようだ。
エンジン
メンテナンスの履歴を確かめる。タイミングベルトは、3年毎か5万8000km毎の交換が指定されている。エンジンオイル漏れ、ヘッドガスケットの不調、オーバーヒートの痕跡がないかもチェックポイント。
スーパーチャージャー付きのエンジンは、自然吸気より負荷が高い。エンジンオイルが燃焼して生じる、臭い白煙が排気ガスに混ざっていないか確かめる。ベアリングが摩耗すると、擦れるようなノイズが出る。電動ファンが動かない場合もあるようだ。
サスペンションとブレーキ
ショックアブソーバーからのオイル漏れや、劣化し潰れたブッシュがないか確かめる。リア・サスペンションは軽量設計で機能的。腐食状態を確認する。
ブレーキディスクも錆びやすい。キャリパーは、長期間乗らないでいると固着しがち。ハンドブレーキの調子にも注意したい。
インテリア
欠損している部品がないか確かめる。スイッチ類やステアリングコラムのレバーなどは、オリジナル品以外に交換されていることも。電装系は、すべての機能が動作するか確認する。メーター類は、すべて正常に動いている事自体が珍しい。
シートは合皮やクロスで仕立てられている。摩耗し裂けていないか確かめる。VXには、レカロシートが装備されていた。ベータボーイズ(BetaBoyz)というサイトでは、レストア用の部品を入手できる。
ランチア・ベータ HPE/クーペ/スパイダーのまとめ
誕生から50年近くが経過したベータ。HPEは特に積極的に乗られることが多く、結果として残存台数は少ない。スパイダーやクーペは、丁寧に維持されてきた傾向が高いようだ。価値としては、人気の高いクーペのVXが1番。
もしガレージに1台とお考えなら、時間を掛けて、理想的な整備記録を持つ状態の良いベータを探したい。価格は上昇傾向。安くレストアすることが難しいクルマでもある。
良いトコロ
スタイリッシュで乗りやすく、ドライビング体験もモダン。熱心なオーナーたちによるオーナズクラブや専門ショップが英国には存在する。相談すれば、丁寧にサポートしてくれるはず。
良くないトコロ
ボディなどが錆びやすく、パネルやトリム類の入手が難しい。レストア費用もかさみがち。専門家へレストアを依頼するような場合を除いて、状態の悪いベータには手を出さない方が良いだろう。
ランチア・ベータ HPE/クーペ/スパイダー(1974~1984年/英国仕様)のスペック
英国価格:7046ポンド(HPE 2000/1979年時)
生産台数:11万1801台(クーペ)/7万1261(HPE)/9400台(スパイダー)
全長:3990-4290mm
全幅:1630-1690mm
全高:1270-1310mm
最高速度:162-199km/h
0-97km/h加速:8.9~12.3秒
燃費:7.8-11.7km/L
CO2排出量:−
車両重量:992-1195kg
パワートレイン:直列4気筒1297/1301/1366/1585/1592/1756/1995cc自然吸気DOHC
使用燃料:ガソリン
最高出力:86ps/5800rpm-134ps/5500rpm
最大トルク:10.9kg-m/5800rpm-20.9kg-m/5500rpm
ギアボックス:5速マニュアル/3速オートマティック
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