いまや軽自動車にも広く搭載されるようになった、自動運転レベル2の先進運転支援システム(編集部註/厳密にいうと「レベル2」までは「自動運転技術」ではなくあくまで「運転支援技術」というべき)。「レベル2」とは、運転操作の一部を、クルマ側がアシストしてくれる状態のこと。
運転の主体はあくまで運転者ですが、運転操作の多くをシステムが支援してくれることで、運転者の負荷を軽減することができるほか、常にシステムが監視することにより、事故を防いだり、被害を軽減する、といった効果が期待されています。
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自動運転レベル2のなかでも、ACC(アダプティブクルーズコントロール)やLKA(レーンキープアシスト)は一般的になりましたが、そこから先のハンズオフ制御まで考えると、技術内容や出来栄えは、メーカーによってちょっとずつ違っています。
「興味はあるけど内容が複雑で比較が面倒」というかたもおられるでしょう。そこで今回、現役の車両開発技術者である筆者が、レベル2技術の最高峰である「ハンズオフ制御」について、システムの技術力の高さをランキング形式でまとめてみました。
文:エムスリープロダクション、橘一徳
写真: BMW、SUBARU、HONDA、NISSAN、TOYOTA、
【画像ギャラリー】国内モデルの自動運転レベル2システム 賢いランキング トップ4
4位 BMW「ドライビング・アシスト・システム」
高速道路で渋滞に巻き込まれた際、一定条件のもと、運転者に代わってクルマがハンドル操作を代行するのが、BMWのハンズオフ機能です。2019年に搭載が始まったこの機能は現在、BMWのモデル(3シリーズ、5シリーズ、7シリーズ、8シリーズ、X3、X5、X6、X7)に広く搭載されています。
ハンズオフの設定方法は、難しくはないものの、やや手間が必要。30km/h程度の低速で先行車追従制御中に、メーターにハンズオフ許可が表示されたら、ハンドルのハンズオフスイッチを押すことで制御を開始。渋滞が解消し65km/hまで速度が上がると、メーターにハンズオンの要求表示がされ、自動的に終了されます。
ハンズオフをする際にスイッチを押さなければならない、という操作性は、運転者にハンズオフ制御中であることを認識させることができる、という意味はありますが、なくてもいい操作とも考えられ、今後の改良に期待したいところ。設定車種全グレード標準装備という点は、好感が持てるでしょう。
BMWの「ドライビング・アシスト・システム」は、設定車種に全グレード標準装備。一方で、ハンズオフの際にスイッチを押さなければならないのが、やや手間に感じる
3位 SUBARU「アイサイトX」
2020年末に発売された「2代目レヴォーグ」で採用された、アイサイトX。従来のアイサイトから、ハンズオフ制御やナビとの連携機能を搭載し、大幅に機能が向上しました。
高速道路上で、全車速追従クルーズコントロール(ACC)を使って走行中に、50km/h以下になるとハンズオフできるのに加え、ナビと連携し、前方にカーブを確認したら予め減速するほか、料金所でもETCの通過速度まで減速したりと、あったらうれしい機能が装備されています。
BMWのシステムと比較すると、ナビと連携したことで、料金所やカーブ走行時の走行速度を自動的に調整してくれる利便性の高い機能があることが魅力。操作性も、ハンズオフに切り替える度にスイッチを操作する必要がないので、煩わしさはありません。
一方で、ナビと連携して緻密な制御ができるにもかかわらず、ハンズオフの作動速度域が狭いところは、今後の改良に期待したいところです。
スバルの「アイサイトX」は、ナビと連携したことで、カーブ前と料金所前で速度制御してくれるのが魅力。今後、ハンズオフの作動域がもっと広がることを期待したい
2位 日産「プロパイロット2.0」
2019年にマイナーチェンジをうけたスカイラインに搭載された、プロパイロット2.0。最大の特徴は、ナビにルートを設定すると、高速道路の出口まで、運転者の操作をサポートしてくれる、ナビ連動ルート走行機能が備わっていることです。
この機能は、システム登録済の特定の高速道路のみですが、分岐に直面したとき、クルマが適切なルートを見つけ、運転者に車線変更を提案し、承認されると、運転者のハンドル操作をサポートします。ハンズオフの作動領域も速度の制限がありません。
ハンズオフの設定方法もシンプル。ナビでルートが設定されていれば、プロパイロット2.0スイッチを押した状態で、開始スイッチを押すだけ。あとは、クルマが表示するハンズオフの可否に従えばOKです。車線変更は、クルマから提案を受けたとき、状況を確認して承諾ボタンを押す必要がありますが、あとはクルマが自分で車線変更してくれます。
アイサイトXやBMWの機能と比べ、ハンズオフ制御に速度制限がないこと、ナビ連動ルート走行機能を備え、道案内もクルマが手伝ってくれるため、知らない地域でも安心して移動できる点が魅力。先日限定販売された「アリアlimited」にも採用されており、今後は他のクルマへの普及も期待されます。
プロパイロット2.0の魅力は、なんといっても「ナビ連動ルート走行機能」。ハンズオフに速度制限がない点も、技術力の高さがうかがえる
1位 トヨタ「アドバンスドドライブ」
現在、トヨタ「MIRAI」とレクサス「LS」に採用されている、トヨタのアドバンスドドライブは、優れたセンシング技術を使って、合流付近でもハンズオフ制御を実現しており、現時点、技術的に最も高度なシステムといえます。
合流付近以外にも、大型車を追い越すときは、追い越しをする車線枠の中でも、より右寄りを走行し、自車の前方へ合流してくる車両があるときは、減速して車間を調整する機能も。また、システムから車線変更の提案を受けると、ハンドルを持った後、ミラーを確認するだけで車線変更をしてくれる、という、自然な動きでの操作を実現しています。
システムの起動も、セットスイッチを1度押しておけば、あとはメーターに表示される指示や提案に従って、運転者が対応するだけ。ナビ連携ルート案内もハンズオフ制御も備わっており、プロパイロット2.0とは近しい技術内容ですが、合流地点でのハンズオフ制御の維持、車線内の横位置制御など、細やかな配慮が加わっている点で優れいるといえます。
トヨタは、納車後のLSやMIRAIのアドバンスドドライブは、随時アップデートしていくと宣言しており、今後、このシステムをどのように昇華させるのか、楽しみです。
)現時点、技術的に最も高度なシステムといえる、トヨタの「アドバンスドドライブ」。プロパイロット2.0よりも、より細やかな配慮が備わっていることがポイント
参考:ホンダ「ホンダセンシングエリート」
世界で唯一、自動運転レベル3を実現している、ホンダセンシングエリート。2021年3月に発表されたばかりですが、残念ながら、すでに同年末での生産終了が決まっています。そのため、ランキング外でのピックアップとさせていただきました。
高速道路を30km/h以下で走行中に、ハンズオフだけでなく、運転視界から視線を外せるアイズオフも実現しています。ハンズオフで車線変更することも可能。今後他のクルマで、この技術が再登場することを期待しています。
トヨタのアドバンスドドライブにはない、一定の条件下でアイズオフができる点が優れている
必ず試乗をしてから購入を!!
いまや様々なタイプのクルマで選択できる、自動運転レベル2の先進運転支援システム。今回ご紹介したように、高性能なものから、作動開始までに手数が必要となるものまで、いろいろな種類のシステムがあります。
技術だけで比較すると、ホンダのセンシングエリートが現時点最も高度なシステム。今後他のクルマでの搭載に期待したい
ハンズオフ制御を含んだクルマを検討される際は、販売担当者にシステムの特徴や使いやすさ、費用についてよく確認し、試乗をしたうえで購入されることをお薦めします。
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みんなのコメント
最初から普及させることよりも
自動車ジャーナリストや一部のユーチューバーに
技術を宣伝させる目的だけに作られた
スペシャルモデルだったんでしょうね。