スバルのSUV「フォレスター」にターボエンジン搭載モデルが復活した。これしかない、と塩見智がいう。
実用域での力強さアップ!
ランチア最強ラリーモンスターの、特注ホモロゲロードカーに乗る!──連載「西川淳のやってみたいクルマ趣味、究極のチャレンジ 第6回」
バンザイ。待っていたのは、コレコレ。ターボ・エンジンで力強い加速を味わうことができるフォレスターが帰ってきた!
フォレスターに1.8リッター水平対向直噴4気筒ガソリンターボエンジンを搭載するSPORTという新グレードが追加されたのだ。
新たに搭載されたエンジンは同時期に新型レヴォーグにも採用されたスバルの最新エンジンだ。従来の1.6リッターターボエンジンよりもボアピッチ、クランク長が短く、コンパクト化、軽量化を果たした。ストイキ燃焼とリーン燃焼を切り替えることで効率(燃費)も向上したという触れ込みだ。
最高出力177ps/5200~5600rpm、最大トルク300Nm/1600~3600rpm。従来フォレスターに搭載されていた2.5リッター水平対向自然吸気エンジン(同184ps/5800rpm、同239Nm/4400rpm)と、比較すると、出力はダウンしたもののトルクはアップした。乗ると確実に力強さを増していることに気付く。だれでも気づくレベルだ。
正確に言えば、パワー、トルクがピークに達する回転数が低いので、日常域、実用域での力強さが増した。一般的にはこれを“速くなった”という。
サーキットで高回転までまわしてラップタイムを計測すると大差ないのだろうが、それはほとんどのユーザーに関係ない。実用域での力強さがアップしたことが重要だ。
外観上も他のグレードと差別化された。ピアノブラックのフロントグリルが採用されたほか、フォグランプカバー、ドアミラー、アルミホイールなどがダークグレー系の塗装となった。
現行フォレスターはどちらかというと家族連れが乗って似合う善人系のルックスであるものの、SPORTに限っては、ワルとは言わないまでも精悍な印象。
ユーティリティー性能に優れたパッケージでありながら中途半端なスポーツカーを置き去りにする動力性能が備わっているというのが私のフォレスター像なので、こっちのほうがしっくりくる。
フォレスターでもっとも魅力的かもしれない
ところで、このたびのフォレスターの仕様変更では、ターボエンジンを搭載したSPORTグレードが追加されただけではなく、従来Advanceというグレードのみに搭載されていたハイブリッドのe-BOXERが、SPORTを除く全グレード(Advance、X-BREAK、Touring)に採用された。それにともなって純粋な内燃機関の2.5リッター自然吸気エンジンは廃止された。
現状、スバルは電動車の比率が低いメーカーだ。特徴あるエンジンが評価されてきたメーカーであるがゆえに電動化の波に乗り遅れた感は否めない。今もファンがスバルの電動化を望んでいるようには思えない。
しかし、もはや社会がそれを許さない。e-BOXERはモーターの出力が10kW(13.6ps)と小さいため、パワーサプリメントとしても効率アップの策としても効果は限定的だが、その分エンジンのフィーリングを損なわないという利点もある。スバルはe-BOXERの採用拡大によって水平対向エンジン好きを納得させながら、同時に平均燃費を上げることで、この悩ましい状況を打破しようとしているのだ。
とはいうものの、フォレスターのなかで最も魅力的なのは、純粋な内燃機関である新開発の水平対向ターボエンジンを搭載したSPORTグレードである。
現状のスバルの電動車を積極的に選ぶ理由が見当たらないのに対し、力強いターボエンジン、定評のある4WDシステム、新世代プラットフォーム、それに優れた先進運転支援システムの組み合わせはレヴォーグとフォレスターにしかない(WRX系もあるが乗り心地がハード)。
純粋な内燃機関車の選択肢はこの先どんどん先細る。ターボのフォレスターは今のうちに乗っておきたい内燃機関車のうちの1台であると思えた。
文・塩見智 写真・田村翔
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みんなのコメント
それに以前のスバルは全ての車種にMTとATの設定があったのだが…
やはりグローバル化の波には勝てないのかな…