レッドブルに近付けるか！？ フェラーリが大規模アップデートマシンをフィオラノでテスト。ボディワークに様々な変化

　母国レースのひとつ、F1エミリア・ロマーニャGPを1週間後に控えるフェラーリ。彼らはそこで大規模なアップデートパッケージを投入予定だが、その新パッケージのマシンを早速フィオラノで走らせた。

　今季もレッドブルが圧倒的な強さを見せる中、フェラーリはそれに次ぐランキング2番手につけている。彼らにとってはレッドブルに少しでも近付き、なおかつ前戦マイアミGPで優勝したマクラーレンの勢いを削ぎたいところだが、今回のアップデートはサイドポンツーンとエンジンカバーのボディワークが中心となっており、それ以外の部分も変貌を遂げているという。

　まず目を引くのは、サイドポンツーンのインレット部分。開幕バージョンのSF-24は、水平にある吸気口のボディワークが上側よりも下側が長い受け口のような構造となっていたが、アップデート版ではこれが逆となり、上側が長いレイアウトになっている。これは今季のレッドブルと似ているが、レッドブルがこの水平インレットを最小限のサイズに留められたのに対し、フェラーリのそれはより大きな開口部となっている。

　一方でシャシー横にある垂直のバイパスダクトはメインのインレットと統合され、ひとつの大きなインレットを形成している。これは今年のアルピーヌやメルセデスに見られるようなデザインだ。

　その結果、ヘイローの付け根部分にあったバイパスダクトの出口が消え、周辺のレイアウトが変更。”コブラ型”のウイングレットがその部分を覆っている。

　またミラーのステーの位置が、サイドツーンの端ギリギリの箇所に移された。これにより、サイドポンツーン上面の気流を整えようとしているものと見られる。

■おそらく内部にも相当な変化が……

　サイドポンツーンの全体的な形状も見直されている。下部の絞り込み、いわゆる“アンダーカット”もより極端なものとなっている。これにより、フロアとの連携を調整しやすくしているようだ。

　目に見えるほど外見に変更があったということは、その内部構造にも手が入れられたことに疑いの余地はない。冷却系やパワーユニットの補機類は移動、もしくは新型マシンにフィットするように再設計されたはずだ。

　そういった変更の結果、エンジンカバーも変更されている。以前は、段のような形状になっていた部分にルーバーパネルが存在していたが、これが大きな単一の開口部に置き換えられている。この開口部より後ろの部分は絞り込まれていて、開口部から排出された”熱風”がリヤウイングに向けて通過するスペースが確保された。

　またリヤウイングは、レッドブルやメルセデスが使っているような、フラップの後端角の部分が角ばったデザインのモノが取り付けられていた。

　フェラーリはこういった数多くのコンポーネントを直近の中国GPやマイアミGPで小出しに投入することもできたかもしれない。しかしながら両GPは共にスプリントフォーマット。フリー走行が短く、テストの機会が限られているというリスクを回避した形だ。
　
　このような大型アップデートパッケージを引っ提げてイモラに乗り込むフェラーリにとっては、大きな進歩を遂げるチャンスと言える。シミュレーションツールでの事前予測と、実際の走行データの相関関係が良好だった場合、フェラーリはここからのヨーロッパラウンドで、レッドブルとの差を縮めることが見込めるかもしれない。