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足の振動でナビゲーション、視覚障がい者向けデバイス『あしらせ2』発売…そのメリット

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足の振動でナビゲーション、視覚障がい者向けデバイス『あしらせ2』発売…そのメリット

ホンダ発スタートアップのAshiraseは10月1日、視覚障がい者の歩行を振動を通じてサポートする世界初のナビゲーションデバイス『あしらせ』の新モデルを発売した。ユーザーのルート確認の負荷を減らし、外出時の安全性を向上させる。

◆足に振動を与えてナビゲーション
あしらせは、視覚障がい者が手や耳を自由に使いながら目的地まで案内することを目的としたデバイスだ。靴に装着するデバイスと専用のアプリケーションを用いて、足元からの振動によって目的地までのルートや曲がる方向、タイミングなどをユーザーに伝える。

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あしらせは、センサー(磁気、3次元の慣性運動を検出するIMU)と衛星測位システムGNSSレシーバーを搭載したデバイス本体、足の甲、踵、側面に位置するバイブレーター、スマートフォンの「あしらせアプリ」で構成されている。本体とスマートフォンとの接続はブルートゥースだ。

スマートフォン標準のセンサデータと、本体で取得した歩行データを、アプリの独自アルゴリズムと組み合わせることで、高精度なユーザー位置・方位推定を実現した。

◆多くの情報処理に負担
あしらせを開発したAshiraseは、本田技研工業(ホンダ)の新規事業創出プログラムIGNITION第1号スタートアップとして2021年4月に設立された会社だ。「人の豊かさを“歩く”で創る」をミッションに掲げる。

視覚障がい者は「情報障がい者」とも言われ、視覚的に示される様々な情報へのアクセスに困難を抱えている。歩行を支える福祉機器はデジタル技術の進歩によって、スマートフォンの音声ナビゲーションを用いたルート確認が可能となった。そのいっぽうで、歩行時には白杖や盲導犬を用いた安全確認にも注意を払う必要があり、聴覚や白杖操作などを通じた多くの情報処理に負担を感じながら外出しているという。

Ashiraseの千野歩代表取締役CEOは「視覚障がい者は“非常に忙しく歩いている”状況で、注意力の分散が課題だ。私たちは『ルートの案内』というところに特化して、これの負荷を下げる。ルート案内を直感的、無意識化することで、視覚障がい者が安全確認に集中して歩ける。そういった環境を提供するというコンセプトで開発を続けてきた」と語る。

課題解決に向けてAshiraseは、自動運転などの技術要素を応用し、視覚障がい者の歩行にとって重要な聴覚や残存視力や視野、また白杖操作を邪魔しない足元への振動インターフェースとナビゲーションアルゴリズムを構築し、デバイスのあしらせを開発した。

◆ルート確認の負荷を減らす
あしらせは、直感的な振動を通じて目的地までユーザーを案内する。振動は視覚や聴覚を邪魔しないので、それらの情報と干渉しないのが利点だ。ユーザーのルート確認の負荷が減るので、ユーザーは安全確認により集中できるようになる。

基本的機能として、まずユーザーは自分の向いている方向がわかる。そして進むべき方向がわかる。例えば、左側が振動していたら、左に向いて進む。そして左を向いたらまっすぐが指示されるので、向きが合っていることがわかる。正しい方向に歩いているときは一定の振動が伝わってくる。曲がり角に近づくと、曲がり角を釣らせる振動になり、曲がり角に近づくにつれて振動のテンポが速くなってくる。

あしらせは2023年3月に購入型クラウドファンディングで120台を先行発売した。その時は目標金額の700%を達成している。

◆改良モデル「あしらせ2」を発売
Ashiraseでは先行発売以降、ユーザーからの声をもとにソフトウェアの改良を重ね、現在7割を超えるユーザーが満足しているそうだ。いっぽう、満足頂していない人からは「スマートフォンの位置情報誤差でわかりづらい」「装着時の靴の中に違和感がある」「女性の靴になじみづらい」といった声があったという。

千野CEOは、アップデートのポイント3つあげる。「まずデザインを一新した。次に、ナビゲーションのアルゴリズム、より歩きやすいナビゲーションを実現するルーティング技術を『より賢く』した。そして3つ目、視覚障がい者により簡単により多くの情報を提供する。先行発売以来、ここに価値があるということが分かってきて、aiなどの技術開発に力を入れた」。

こうして、ユーザーの声を反映して改善するとともに、軽量化を図り、より幅広いユーザーに使いやすいデザインにした新モデル「あしらせ2」が開発された。10月1日から一般販売を開始する。なお、8月1日からの先行予約で10月出荷予定の初回生産数を突破しており、次回デリバリーは2024年11月以降だ。当初の年間販売台数は2200個が目標。

◆ルート提案機能や「マイルート機能」を装備
新モデルの特長として、複数のセンサー情報から取得した歩行位置データを独自のアルゴリズムで補正し、視覚障がい者にとって歩きやすいルートを提案する機能がある。さらに、ユーザーの行きたいルートを記録できる「マイルート機能」や、横断歩道や交差点などを音声で案内する「道路構造・周辺施設通知機能」も搭載した。

また、AIを活用した多様な機能で情報へのアクセシビリティを促進する。例えば、探したい場所を音声入力すると、条件に該当するおすすめ施設の情報を案内する「AIおすすめスポット検索」や、写真で撮影したものを説明する「AI画像認識」機能などが追加された。

◆連続使用時間は最長10時間
あしらせ2の重量は片足につき約55g、対応する靴のサイズは22.5~28.5cmが目安。カラーは黒でオプションでカバー4色が用意されている。充電仕様はUSB TypeC、充電時間は約2時間、連続使用時間は最長10時間。千野CEOによると1週間に1回の充電、使用頻度の高い人で2~3日に1回というイメージだという。対防水性能はIPX5準拠。

あしらせ2の本体価格は5万4000円、厚生労働省が定めた身体障害者用物品に認定されたので非課税だ。あしらせアプリの基本利用料金は月額550円(税込)、年額6000円(税込)で、有料の追加機能もある。対応端末はiOS端末(iPhone、iPad)となっている。

◆特別展示・体験会開催
発売に合わせてあしらせ2の展示および体験会を開催する。

日時:10月8日(火)~14日(月)、10時00分~18時00分
場所:Hondaウエルカムプラザ青山
東京都港区南青山2-1-1 Honda青山ビル1階
入場料:無料

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みんなのコメント

1件
  • ふじざくら
    とてもいいと思う。

    以前、新宿駅のコンコースで白杖の方が迷われていて、お声かけした所「中央線ホームに降りる階段が分からなかくて」と。

    確かに床には視覚障害者向けの黄色のタイルはあるのだが「あれだけでは何線のホームか分からないな」と今更ながらに気付いた。

    健常者には障害者の不便さを想像するのに限界がある。

    これだけテクノロジーが発達しているのだ。それを補うのに出来ることはまだまだあるはずだし、こういう取組は評価したい。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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