2019年9月にワールドプレミアされたポルシェ初のEVタイカン。当初は「ターボS」と「ターボ」の2つのグレードが用意されていたが、第3のモデルとして「4S」が追加された。もちろんEVなのでターボがついているわけではないし、あえて「4」と言わなくてもタイカンは全モデル4WDだ。ポルシェとしてはポジショニングをイメージしやすいように911などに準じた名称を使っているのだという。
タイカン4Sの国際試乗会の舞台は、フィンランド北部の北極圏にあるレヴィという町だった。オーロラ鑑賞ができるリゾート地として世界的に有名で12月の平均気温はマイナス10度を下回る。バッテリーにとって過酷なこの地でタイカンの実力をアピールする狙いがあったわけだ。
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ターボ系と4Sとの最大の違いは、バッテリーとモーターだ。まずバッテリーはターボ系が93.4kWhの2層構造パフォーマンスバッテリープラス(PBP)を搭載するのに対して4Sは、79.2kWhの1層構造パフォーマンスバッテリー(PB)を標準装備する。これだけで約76kgの軽量化になるという。ただし4SもオプションでPBPを選択することも可能だ。
モーターに関してはフロントとリアのアクスル上にそれぞれ1つずつ計2基の永久磁石同期モーターを搭載していること、リアアクスルには加速と最高速への要求を満たすために2速のトランスミッションを搭載していること、といった基本構成はターボ系と同じ。フロントモーターはターボ系と同様のもので、リアには有効長を80mm短く小型化したものを搭載している。
パフォーマンスバッテリーの場合の航続距離は最長で407km。上位グレードのパフォーマンスバッテリープラスは最長463kmで、全グレード中最長距離を誇る。4SのPB仕様車の定格出力は435ps、ローンチコントロール使用によるオーバーブースト時には最大530ps。一方PBP仕様車は490psで最大571psを発揮。0-100km/h加速4.0 秒、最高速度250km/hは両者共通スペックだ。PB仕様車の航続可能距離はWLTPモードで407km、PBP仕様車は463kmとターボの450kmを超えて、タイカンとしてはもっとも長く走れるモデルとなる。
乗ってみれば紛うことなきポルシェ試乗車はフローズンブルーメタリックという水色のPBP仕様車だった。ターボ系との外観の違いは、フロントリップやサイドスカート、リアディフューザー、サイドミラーカバーの下半分が黒いプラスティックになっていることだが、言われなければわからないだろう。ホイールも標準は19インチだが、オプションの20インチが装着されていた。
中央には10.9インチのインフォテインメントディスプレイを備える。オプションで助手席にパッセンジャーディスプレイを設置することも可能。タイカンのバッテリーは冷寒地ではヒートポンプ式のサーマルマネジメントを使って充電時に適温である28度を維持する設定になっているという。バッテリー残量は90%の状態で一般道を約150km走行するルートを選んだ。周囲を雪に覆われた真っ白な世界で、タイカンの車内は本当に静かだ。モーターやインバーターの音もほとんど聞こえない。ざくっざくっとスノータイヤが雪をつかむロードノイズだけが耳に入ってくる。地元のクルマの流れに合わせてまっすぐな道を80~100km/hくらいで走行する。雪の轍を乗り越えながらもフラットな動きでとても安心感がある。重量物であるバッテリーなどを床下に低く敷き詰めており、またターボ系と同様の3チャンバー式エアサスペンションを採用しているだけあって、ポルシェモデルの中でも最上ともいえる乗り心地を実現している。
回生に関しては、タイカンにはいわゆる“ワンペダル”モードはない。サーキット走行までを見据えたポルシェの基本的な方針としては、制動はあくまでドライバーの意思によるものでなければならないとし、アクセルを戻すとコースティングし、ブレーキペダルを踏んではじめて回生を行う制御になっている。回生のレベルは「オン」、「オフ」、「オート」の3つから選択できる。「オン」にするとアクセルオフでわずかに回生によるGが発生する。「オート」はフロントカメラで前走車をモニタリングし、車間距離がつまると回生ブレーキがかかるアダプティブクルーズコントロールのような走行モードだ。そしてドライバーがブレーキペダルを踏んで回生が始まれば265kWの高い回生出力によって、最大で0.39Gもの制動力が発生するセッティングになっている。ポルシェによると日常走行ではブレーキペダルを踏んでいても実のところおよそ9割の制動は回生で賄われるというから驚きだ。
シートは、ターボ、ターボSなどと同様にリサイクル素材を使い、サステイナビリティをテーマに設計されている。氷点下の地で、ワイパーもヒーターも灯火類もすべて使いっぱなしでおよそ2時間、一般道ばかり約150kmの走行を終えて、バッテリー残量は41%、走行可能距離は104kmと表示されていた。この日の電費はおよそ3.3 km/kWh。満充電走行距離は約308kmという計算になった。カタログデータには及ばないものの北極圏でもまったく不安なく走ることができた。
午後は凍結した沼地を活かしてつくられた特設コースを走った。長いハンドリングトラックや定常円、スラロームなどいくつものコースが用意されている。氷上の特設コースでは、「スポーツプラス」モードで、PSM (横滑り防止装置)のオンオフを試す。PSMの制御もきめ細やかで出しゃばりすぎることはない。このモードでは、アクセル開度に応じてオプションの「ポルシェエレクトリックスポーツサウンド」がモーター音を増幅したようなサウンドを室内に聞かせるのだが、スポーツ走行において音は重要な要素なのだとあらためて気付かされた。BEVならではのトラクションの立ち上がりのよさは、こういう場面でてきめんにきく。定常円旋回路ではPSMをオフにすれば、想定外の深いアングルでドリフト走行が可能だった。これは紛うことなきポルシェだと思った。
LEDヘッドライトにはポルシェダイナミックライトシステムプラスを装備。コーナリングなどで最適に進行方向の視界を確保する。タイカン 4Sの最高速は250km/h。0-100kmは4.0秒だ。パフォーマンスバッテリーの最高出力は530ps、最大トルクは640Nmで、パフォーマンスバッテリープラスの場合は最高出力571ps、最大トルク650Nmを発揮する。文・藤野太一 写真・ポルシェAG 編集・iconic
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