初代「スカG」デビューから間もなく60年の節目を迎えるスカイライン。2023年8月8日に発表されたスカイラインNISMOにはGTバッヂが!! そこでスカイラインの歴史と現在、そして未来を徹底的に掘り下げよう!
※本稿は2023年9月のものです
文/ベストカー編集部、渡辺敏史、橋本洋平、写真/NISSAN、ベストカー編集部
初出:『ベストカー』2023年10月10日号
ダントツの1位はR32!! 登場から60年……現行スカイラインNISMOはスカGにふさわしいのか!?
■最初は日産じゃない! スカイラインの歴史
スカイラインはここから始まった。初代の1900ccエンジン搭載車は4灯式ヘッドライトを採用し、初期型とは表情が異なる
スカイラインの名を冠した乗用車が登場したのは、今を遡ること66年前の1957年のことだった。スカイラインを生み出したのは、日産に吸収合併される前のプリンス自動車工業の前身、富士精密工業だった。
当時のスカイラインは今から見るといかにもクラシカルなスタイルに見えるが、当時としてはモダンなスタイルだったのだ。
最初のエンジンは直列4気筒1484cc。当時の「小型車枠」が1500cc以下だったため、それに適合させたのだ。小型車枠が1900ccに改訂されたのを機に、1961年には1862ccエンジンを搭載する「スカイライン1900」が登場した。
また、1962年にはこの初代スカイラインのシャシーをベースに、イタリアのデザイナー、ミケロッティの手による2ドアクーペ&コンバーチブルボディの「スカイラインスポーツ」がごく少量販売された。
そして1963年、プリンス自動車工業が送り込んだのが2代目となるS50系だ。モノコック化された車体はグッと現代的になり、左右それぞれ2灯式の丸形ヘッドライトを配した逆スラントノーズのフロントマスクは、その後の3代目C10型にも通ずる雰囲気だ。
このS50型は先進的な技術が盛り込まれたモデルで、当時の自動車では当たり前だったシャシー各部のグリスアップポイントを全廃。さらにエンジンもメンテナンスフリーを謳い、ヘッドを封印するなど、プリンス自工の技術力の高さをアピールした。
S50型スカイラインは直4、1.5Lを搭載した。先進的な技術を採用する、モダンでスポーティなファミリーセダンというのが当時のスカイラインのイメージだったのだ。
ここから先の話はあまりにも有名なので「いまさら」感はあるものの……。
1963年に開催された第一回日本グランプリで惨敗したプリンス勢は、第二回大会での必勝を目指してS50型スカイラインにグロリア用の直列6気筒1988ccエンジンを搭載したスペシャルモデルを開発。これが「スカイラインGT」。
1964年の第二回日本グランプリでの式場壮吉駆るポルシェ904を生沢徹のスカイラインGTが1周ながら前を走った伝説的出来事につながるのだ。
その後のC10型GT-Rによる連戦連勝によって、スカイラインは走りのいいクルマというイメージが定着するのだが、あくまでもその基本となるのは小型車枠に収まるファミリーカーだったのだ。
■幅広い世代からそれぞれのスカイライン愛が寄せられた
1972年の4代目、C110型デビュー当時。銀座4丁目の日産ギャラリーと思われる。右上に「ケン&メリー」のマークが見える
スカイラインの歴史を辿っていったら、それこそ分厚い別冊が何冊もできちゃうので割愛するが、13代、66年にもわたる長い歴史があるクルマだけに、ファン層は幅広く、当然寄せられる意見もさまざまだ。
今回、読者アンケートを実施したところ、200名を超える方が回答を寄せてくださった。皆さん、熱い熱い!
ほぼすべてが男性だったのだが、1名女性からの回答があった。50歳代の方で、「クルマについては詳しくありませんが、大切な人との思い出のクルマです。SKYLINEの後ろ姿がたまらなく好きです!」。感動的なお話です。ありがとうございます。
回答者のボリュームゾーンは50歳代で80名。続いて30歳代が44名、40歳代が32名となるのだが、18歳未満の方が12名、18~24歳の方が16名回答を寄せてくれたのが印象的だった。そのなかの1名は「どんなカタチになってもスカイラインの名前は残してほしい」との声を寄せてくれた。
このほかにも「昔の栄光を大切にすることも大事だが、伝統を引き継ぎつつもその時代のスカイラインの個性を出してほしい」(20歳代男性)や、「いい意味で我らの先を走っていくスカイラインであってほしい。e-POWERの4ドアセダンがいい」(40歳代男性)などの声が。
さらに、「スカイラインのコンセプトは大人4人がゆったりとロングツーリングでき、スポーツカーなみの性能を持ったセダン。V35以降のスカイラインは、本来のコンセプトに立ち返った」(50歳代男性)などの声もある。
もちろん、直6を搭載するスポーツクーペを望む声もある一方、最先端のe-POWERやBEV化こそがスカイラン本来の在り方にふさわしい、という声も多かった。
果たしてスカイラインというネーミングがこの先どうなっていくのか? 同じように長い歴史を持つトヨタのクラウンは、生き残るために大胆な生まれ変わりをはかった。
形式的な伝統の呪縛から解放され、ある意味、究極の原点回帰をはかってこそ、スカイラインは将来に生きながらえることができるのだろう。
■「あなたにとってのスカイライン」200人アンケート!
●スカイラインと言って思い浮かぶのは何代目?
8代目(R32型)が4割を占める結果となった。次いで多いのがR34型となっている
圧倒的多数派を占めたのが8代目R32型。18歳未満から50歳代まで、幅広い世代がR32型を挙げた。ところが18歳未満の1名がC10型を挙げる一方、50歳代の1名は最新のV37型を挙げてくれた。R34型も幅広い世代から挙がった。
●あなたが好きなスカイラインは何代目?
やはりトップはR32型。しかし「好きなスカイライン」となると、先の質問と違うものを挙げる人も多かった
多少ばらけるものの、やっぱりイチバンはR32型。V36やV37といった新世代のスカイラインを挙げる人も多く、先の質問ではR32型を挙げながらも、「好き」となるとV37を挙げるという方も複数いらっしゃったのが印象的。
●今後のスカイラインにふさわしい車型は?
「4ドアセダン」という答えが半数近くを占めた。「4ドアセダンこそがスカイラインの基本形!」というイメージが大きいという表れだ
ミニバンを挙げる方はいなかったが、SUVという意見は4名あった。多数派は4ドアセダンで、やはり13代のスカイラインで常に中核として存在していた4ドアセダンこそがスカイラインの基本形と思われている方が多いということだ。
●今後のスカイラインにふさわしいパワーユニットは?
直列6気筒という答えが3割以上となったが、これは「願望」という面も強い。次いで多かった「e-POWER」という答えが現実的な意見だろう
やはりスカイラインと言えば「GT」の直列6気筒、という声も多かったが、一方でカーボンニュートラル時代を生き抜くためにもe-POWERやBEVといった電動化は必須だという声も多かった。実際、日産は電動化に向かって進んでおり、現実的な解はそこにあろう。
■V37スカイラインNISMOは「スカG」なのか?
2023年8月に発表された日産 スカイラインNISMO(V37型)
1000台の限定で2023年8月8日に発表された「スカイラインNISMO」。価格はベースとなる400Rに対し約200万円プラスの788万0400円。エンジンやシャシーには専用チューンが施され、パフォーマンスを大きく引き上げている。
そのスカイラインNISMOのフロントフェンダーサイドには、歴代スカイラインの伝統ともいえる「GTバッヂ」を装着。果たしてスカイラインNISOMOは現代の「スカG」と呼ぶにふさわしいクルマなのか?
■「スポーツセダンとしてよく仕上がっています」(渡辺氏)
V6、3Lツインターボは400Rからさらにパワーアップされ420ps、56.1kgmを発揮する
スポーツセダンとしてよく仕上がっています。刺激的かというと、それほどでもないのですが、充分に速いし、操縦性にも優れます。シャシーのバランスがいいため、GTと呼ぶにふさわしい、運転して楽しいスポーティな4ドアセダン。つまり、スカイラインが本来目指していたコンセプトそのものなのです。
なんというか、「人肌感」があるんです。作り手の顔が見えるというか、開発陣がワイワイ言い合いながらああしよう、こうしようと手を入れていった様子が見えてくるのです。「日産のクルマってこんな乗り味だったよなぁ」という、味わいを感じます。
人それぞれ、いろんな意見はあるでしょうが、私は現代の「スカG」だと思います。(談)
(TEXT/渡辺敏史)
■「しっかり走るスカイラインに仕上げてるけど……3ペダルMTが欲しいなあ」(橋本氏)
サスペンションは専用チューン。ENKEIと共同開発したホイールはワイドリム化にもかかわらず軽量化を実現。タイヤは軽量化のため非ランフラットを採用
V37スカイラインNISMO、「しっかりスカGしているなぁ」というのが第一印象。
ボク自身、スカイラインには馴染みがあって、実家にはスカイラインがありました。小さい頃はハコスカがあり、今でも実家にはR34の4ドアセダンのターボがあるんです。
スカイラインって、4ドアのファミリーカーなのに“よく走る”というクルマ。それを極めていったのがレースで勝つために開発されたGT-Rだったり、元祖「スカG」のS54だったりするわけですよね。
その観点で見ても、今回のV37スカイラインNISMOは車体の剛性を高め、足回りもしっかりとチューニングをして「しっかり走る」スカイラインに仕上げています。
ネガを言えばステアバイワイヤー(DAS)。操舵量に対する前輪の切れ角をクルマ側が場面場面で制御しちゃう。たとえば一定の舵角で曲がっていきたい高速コーナーなのに、保舵していると安定方向のスローギア比に緩んでいく。
高速道路を淡々と走っているような場面ではそれでいいのですが、運転を楽しみたいような場面では「余計なお世話」です。モード切替でSPORTを選んだら可変ギア比はキャンセルでいい。
あとは……せっかくなので3ペダルMTを設定してほしかったですね。(談)
(TEXT/橋本洋平)
■V37 NISMOはやはり「特別な」スカイラインだった
もちろん、このお二人とは異なったさまざまな意見はあるだろうが、少なくとも日産開発陣は13代、66年続くスカイラインの歴史と伝統をしっかりと受け止めて、現代のスカイラインにその思いを込めて「特別なスカイライン」を作り上げたことは間違いない。
V37スカイラインNISMOは今の時代に作り上げることができる現代的解釈の「スカG」なのだ。
●結論:V37スカイラインNISOMOは走りの性能を極めた現代の『スカG』である
●スカイラインNISMO主要諸元
・全長:4835mm
・全幅:1820mm
・全高:1440mm
・ホイールベース:2850mm
・トレッド:F=1540mm R=1560mm
・エンジン:V型6気筒DOHC ツインターボ VR30DDTT
・総排気量:2997cc
・最高出力:420ps/6400rpm
・最大トルク:56.1kgm/2800-4400rpm
・トランスミッション:7AT
・サスペンション:F=ダブルウィッシュボーン R=マルチリンク
・タイヤサイズ:F=245/40R19 R=265/35R19
・価格:788万0400円
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