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存在しないはずのオープンモデルが3台制作されていた! その価値4億円超えの「フェラーリ512TRスパイダー」

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存在しないはずのオープンモデルが3台制作されていた! その価値4億円超えの「フェラーリ512TRスパイダー」

 この記事をまとめると

■フェラーリ512TRはテスタロッサの後継モデルとして2261台が生産された

これぞフェラーリと言わんばかりの華やかさ! バブル時代の六本木に溢れた「フェラーリ・テスタロッサ」

■基本的にはクーペボディのみの販売であった512TRだが、じつはオープンモデルが3台製作されている

■3台の512TRのうちの1台がオークションに出品されて約4億1200万円で落札された

 フラッグシップV12として2261台が生産された512TR

 1984年のパリサロンでオフィシャルデビューを飾ったフェラーリ・テスタロッサは、ピニンファリーナの手によるその斬新なスタイリングと、180度のバンク角を持つV型12気筒DOHC4バルブエンジンを、390馬力(イタリア本国仕様)で搭載することで得られた、290km/hの最高速に象徴される高い運動性能で、瞬く間にフェラーリのフラッグシップとしての人気を不動のものとしていた。

 だがフェラーリは、かなり早い段階からこのテスタロッサのさらなる進化を検討し始める。その目的はもちろんより高いパフォーマンスを得ること。ライバルは他社ではなくフェラーリの社内にあった。そう、V型8気筒ツインターボエンジンを搭載する、軽量化と運動性能をストイックなまでに追求したF40がそれだ。12気筒絶対主義のフェラーリにとって、いかにF40が特別な限定車だったとはいえ、そのヒエラルキーを逆転されるわけにはいかないのだ。

 そして1991年に誕生したのが「512TR」である。そのネーミングは5リッターのV型12気筒エンジンを搭載するテスタロッサの意。最高出力は428馬力にまで向上し、かつエンジンマウントを新設計したことでエンジンの搭載位置は30mmも低下。コーナリング時の動きにも、より魅力的な安定感が生み出されていた。

 ホイール径がテスタロッサの16インチから一気に18インチへと変更されたことも大きな特長。参考までに1994年までにフェラーリが生産した512TRの台数は2261台とされている。

 存在しないはずのスパイダーが3台だけ製作されていた

 だが、この512TRには3台の特別な仕様があった。それはいずれも1993年に製作された「512TRスパイダー」で、オーダーはシンガポールのフェラーリ正規ディーラーであるホンセ・モーターズのアルフレッド・タン。彼はブルネイ王室と強いつながりを持つと同時に、ピニンファリーナとも特別な関係を持ち、1990年にはやはりブルネイ王室のために「テスタロッサ・スパイダー」の製作と納車までのオーガナイズに携わった。

 512TRスパイダーもまた同様に、ブルネイ王室からのオーダーを受けて、その製作が行われたのがプロジェクトの始まりである。

 3台が製作された512TRスパイダーのうち、フェラーリは2台をタンのもとにデリバリー。残る1台は予定どおりブルネイ王室へと納められたと考えられる。タンは2台の512TRスパイダーのうち1台を、フランスの実業家に売却。ブルー・コバルトの美しいボディカラーで仕上げられた、このシャシーナンバー「97310」はタンの手元に残されることになる。

 インテリアはマラネロの熟練したトリマーがブルー・スクーロの見事なカラーに染め上げたコノリーレザーのシートや、ブルー・カーペットが高級感を醸し出し、コンバーチブルルーフはこれもまたネイビーブルーと、オール・ブルーのカラースキームをさらに魅力的に引き立てている。

 ちなみにブルー・コバルトのボディカラーを施されてマラネロから出荷された512TRは、その全モデルのなかでもこの512TRスパイダー、97310のみだ。

 512TRスパイダーのデリバリーを受けたタンは、じっさいにそれに乗ることはほとんどなく、常にディーラーかドライ・ストレージに保管していた。そのため、走行距離はデリバリーから30年近く経過したいまでも570kmを示すのみ。コンディションはもちろん新車同然のミントである。

 この512TRスパイダーがオフィシャルな舞台に姿を現したのは、1997年のフェラーリ創立50周年イベントなどが数少ない例。

 このまさに美の極致ともいえるモデルは、今回開催されたRMサザビーズのロンドン・オークションにおいて、222万6875ポンド(邦貨換算約4億1197万円)で落札。その価値を改めて世界に知らしめてみせた。

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みんなのコメント

2件
  • kao********
    アウトランじゃん!
  • all********
    ん~ なんか微妙。  ヨレヨレでマトモに走らんのじゃないでしょうか?
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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