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なくなる前に乗っておきたいクルマ 第3回──「気軽に買えて身軽に乗れる左ハンドル車」

掲載 更新 4
なくなる前に乗っておきたいクルマ 第3回──「気軽に買えて身軽に乗れる左ハンドル車」

いつしか世の中から消えてなくなっていく物々、それはクルマに関連する物々も同様であろう。残された時間は(たぶん)わずかだからこそ、失われゆく物々を今のうちに、確実かつ濃厚に堪能したいもの。第3回は「気軽に買えて身軽に乗れる左ハンドル車」。身近な輸入車から、いつの間にか無くなってしまった左ハンドル仕様。そんな普通に身軽に買えて乗れて、それでいて心に染みる左ハンドル車を、例えばパンダ クロス4×4の本国仕様車で手に入れるというのは如何だろう。

「だって、なんかカッコいいじゃん、左ハンドルって」

小さくても“アメリカンラグジュアリー”の名にふさわしい

「左ハンドル論争」というのがある。いや、「ある」ではなく「あった」と言うべきだろうか。

「右側通行である日本において左ハンドル車は有りや無しや? 」というのが左ハンドル論争なわけだが、現在、論争の決着はほぼ完全についている。

「やっぱ無しだよね」ということで、現在新車で買える輸入車で「左ハンドル」を設定しているのはキャデラックぐらいのものになったのだ。

いや、1000万円や2000万円、あるいは3000万円以上のスーパーカーやハイパフォーマンス・ラグジュアリーカーの世界では、依然として左ハンドルが設定されている。だが数百万円ぐらいでパッと買える身軽な輸入車に限って言えば、「左ハンドル」はすでに絶滅したのである。

「身の安全および他者への安全」という観点で見るならば、この絶滅は良きことなのだろう。

筆者自身、若い頃は左ハンドル車ばかりを連続して乗り継いでいたが、立派な中年となって最近の右ハンドル車に乗り替えた今は、「……どう考えても日本では右ハンドルのほうが安全だし、そもそも便利だよね」ということを深く噛みしめている。

また安全面の話とともに「左ハンドル車=カッコいい! エライ! お金持ち! 」的な価値観も、今やほぼ消滅したと見ていいだろう。

だが……以上のことは十分承知していると自負したうえで、わたしは叫びたい。

「左ハンドル車はカッコいい! オレは左ハンドル車が好きなのだ! 」と。

いや左ハンドル車がカッコいいかどうかは(叫んでおきながら)知らないが、少なくともわたしは“それ”が好きなのだ。

その理由を、もしも格好をつけて言うならば、「この腐った日本社会の多数派メンバーであることを良しとしない、常に異端であることを志す個人としての意思表明手段のひとつが、左ハンドル車に乗ることなのである」という感じになるだろうか。

だが長いな、そのコメントは。

もっとこう端的に、なおかつ自分に正直に言うのであれば、「だって、なんかカッコいいじゃん、左ハンドルって」ということになるだろう。……馬鹿者の言い草であることは自覚しているが、これこそが筆者の真実の声である。

もはや多くの人は「左ハンドル車=カッコいい」などと思わないのだろう(むしろダサいと感じる人のほうが多そうだ)。

だが少なくともわたしは、それを「なんかカッコいい」と感じる。ちょっと不便でちょっとだけ危ないが、別に死ぬほど不便で危険きわまりないわけでもないので、それに乗りたいと思っている。ザッツ・オールであり、反論は認めない……とは言わないが、反論は、特には気にしない。

普通に身軽に買えて乗れて、それでいて心に染みる

とはいえ冒頭付近で申し上げたとおり、そんな親愛なる左ハンドル車はすでに絶滅してしまっている。

や、例えば車両価格だけで1259万円也を拠出してメルセデスAMG E53 4マチックあたりを買えば、左ハンドルを味わうことはできる。だがわたしはそんな大げさなクルマに乗りたいわけではなく(そんなカネもない、という問題もある)、もっとこう普通に身軽に買えて乗れて、それでいて心に染みる左ハンドル車に、乗りたいのである。

「ならば古い世代の中古車を買えばいい」という説もあるが、そういった中古車があまり好みではない場合は(もしくは、そういうのは若い頃にさんざん乗ったので、今はもう食指が動かないという場合は)、本当に選択肢が少ない。

だが──いわゆるひとつの正規輸入モデルにこだわることをやめてみれば、その選択肢、つまり「気軽に買えて身軽に乗れる左ハンドル車」はまだ絶滅していないということが、見えてくるだろう。

例えば「フィアット パンダ クロス4×4」である。

“気持ちいい”オマケまで付いてくる、お手本のような1台

フィアット パンダ クロス4×4は、その正規輸入モデルは2020年10月にまずは150台限定で発売された小型クロスオーバーSUV。搭載エンジンは0.9リッター2気筒ターボの名機「ツインエア」で、トランスミッションは6MT。

4WD機構は電子制御の油圧多板クラッチ式で、通常のオートモードではほぼFF(後輪への駆動力配分は2%)で、コンソールに設置されているドライブモードセレクターにより、オートのほか「オフロード」「ヒルディセント」という計3種類の走行モードが選択できる。

2020年10月に発売された150台を売り切ったのち、2021年4月にはあらためて215台が限定発売されたパンダ クロス4×4だが、正規輸入モデルは、第1次販売分も第2次販売分も右ハンドルのみだ。最近の企業としては当然の選択だろう。

だがこれの本国仕様車を──当然ながら左ハンドルであるそれを、一部の業者が日本に輸入しているのだ。価格は、車両本体価格で200万円台後半ぐらいである。

……これこそが、まさに「気軽に買えて身軽に乗れる左ハンドル車」のお手本のような存在だ。そしてパンダ クロス4×4の場合は左ハンドルに加えて「マニュアルトランスミッション」「気持ちいいガソリンエンジン(ツインエアエンジン)」という2種類のオマケまで付いてくる。

もちろん、いわゆる並行輸入車であるため、近所の正規フィアットディーラーには点検整備を依頼できない可能性も高いわけだが、まぁ近年のイタリア車は(昔と違って)しょっちゅう壊れることなど断じてないため、そこがさほど大きなネックになるとは思えない。

ただしこのパンダ クロス4×4にしても、いつまで買えるかは未知数である。

フィアットはすでにツインエアエンジンの製造をやめており、次代の動力源はハイブリッドになる予定だ。そしてそのときには、この素敵な6速マニュアルトランスミッションも廃止されていることだろう。

さまざまな意味で、そして煽る意味では決してなく、もしも買うならば早めに唾を付けておいたほうがいいと思われる、なんとも素敵な左ハンドル車である。

文・伊達軍曹 写真・FCAジャパン 編集・iconic

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みんなのコメント

4件
  • > 右側通行である日本において左ハンドルは、、、

    日本は左側通行だろ、バカ!
  • ライターの伊達軍曹って
    ワザと間違えて書いてるだろ?
    以前のジムニーの記事なんかもそうだし
    ワザと間違えて耳目を集めるような
    姑息なことを毎度やらかしてるな!
    けしからん!
    大乗フェラーリ経のご教祖様に
    お灸を据えてもらえや!
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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