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メルセデス・ベンツのよさがギュッと凝縮されている──新型GLA180試乗記

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メルセデス・ベンツのよさがギュッと凝縮されている──新型GLA180試乗記

一部改良を受けたメルセデス・ベンツのコンパクトSUV「GL180」にサトータケシが乗った。好印象の理由とは?

メルセデス・ベンツ一家の血統をきちんと受け継ぐ

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メルセデス・ベンツのコンパクトSUV、GLAに改良が施された。日本仕様のGLAは、1.4リッターの直列4気筒ガソリンターボを積むGLA180(前輪駆動)と、2.0リッターの直列4気筒ディーゼルターボ搭載のGLA 200 d 4MATIC(4輪駆動)の2グレードで展開する。今回は、前者のガソリンターボエンジン搭載モデルに試乗した。

細かいことは後で書くけれど、乗った瞬間に感じたのは、上級モデルと遜色ないじゃないか、ということだった。「ふんわり」と「まったり」がいい感じでブレンドされた乗り心地、滑らかに回転を上げつつドライバーが願った通りのパワーを提供してくれるパワートレイン。気はやさしくて力持ち、足柄山の金太郎のようなキャラは、ここ最近のメルセデスのどのモデルにも共通するものだった。

GLAの「GL」は、メルセデスのSUVであることを示す。末尾の「A」はAクラス相当を意味するから、GLAはSUVの「Aクラス」、つまり「Gクラス」を頂点とする同社のSUVの末っ子ということになる。末っ子はサイズこそ小さいものの、メルセデス・ベンツ一家の血統をきちんと受け継いでいた。

メルセデスにしろBMWにしろ、ドイツの高級車メーカーはコンパクトカーから大型車まで、一気通貫するテイストがあった。技術の進歩とは素晴らしいもので、最近は一気通貫するテイストはそのままに、上下の質感の差が小さくなっているように感じる。初代Aクラスが登場した1997年は、Aクラスと「Sクラス」ではかなりの違いがあったけれど、2023年においてはAとSの差がギュッと詰まっている。

こうして見ると、メルセデス・ベンツはつけ麺化していると言えないだろうか。つけ麺の世界では、麺少なめ(麺量200グラム)、並盛(麺量300グラム)、大盛り(麺量400グラム)をお腹の空き具合によって選ぶ。でも、どれを選んでも麺とつけ汁の味は変わらない。

メルセデスも、こうなりつつある。GLAとGLSでは、大きさは違うけれど味はおなじ、というように。あとは好みに応じてチャーシューや味玉といった贅沢なトッピングをくわえたり、刺激の強い激辛のAMGを選んだりする。

エンジンも捨てがたい新しくなったメルセデス・ベンツGLA180の出来のよさに興奮したあまり話が横道にそれてしまったので、本筋に戻そう。

GLAのマイナーチェンジのポイントは、まずエクステリアデザインのリフレッシュ。上品さと華やかさを併せ持つ、「ローズゴールド」という新色のボディカラーをまとった試乗車は、オプションのAMGラインパッケージを装備。フロントグリルの内側にダイヤモンドパターンが散りばめられ、グリル下の台形の開口部や、リヤのディフューザーの形状がアグレッシブになった。全体に、マイチェン前より精悍さを増している。

ロービームとハイビームを自動で切り替えるアダプティブハイビームと、「ハーイ、メルセデス」と、話しかけて音声で操作する最新世代のMBUX(メルセデス・ベンツ・ユーザーエクスペリエンス)が標準で装備されるようになったこともトピック。

試乗車は、オプションの「アドバンスドパッケージ」を装備しており、ヘッドアップディスプレイやBurmesterサラウンドサウンドシステムが備わることから、装備面でも上級グレードにひけをとらない。

冒頭に記した、「ふんわり」と「まったり」がいい感じでブレンドされた乗り心地は、AMGラインパッケージに含まれるアダプティブダンピングシステム付サスペンションの手柄だろう。これは、速度や路面状況、運転スタイルなどの情報を受けたコンピュータの判断で足まわりのセッティングを変更する可変ダンパー。コンパクトSUVでありながら、市街地ではぴょこぴょこせずにゆったりと走り、高速ではドシッとした落ち着きと安定をもたらす。

エンジンは、スペックを知らなければ「2.0リッターのターボかなぁ」と、勘違いするほど、低回転域から力強い。しかもただ力があるだけでなく、アクセルペダルを踏み込むと「フォーン」という木管楽器系の音が高まるのと同時にパワーが盛り上がる。

このエンジンの吸気ダクトにはヘルムホルツ共鳴器──ワインボトルの注ぎ口に横から息を吹きかけると「ぼー」という音が鳴るのと同じ原理を用いた防音装置──が、備わるとのことなので、その効果もあるかもしれない。

いずれにせよ、静かで滑らかな電気自動車もいいけれど、エンジンも捨てがたいと思うのだった。

「ハーイ、メルセデス」と話しかけることで目的地や空調を設定した後で、楽曲も選んでもらうと、サウンドシステムから素晴らしい音が鳴る。乗り心地も加速も気持ちがよく、最新の運転支援装置が安全と快適をもたらしてくれる。なりは小さいけれど、メルセデス・ベンツのよさがギュッと凝縮されている。

つまりメルセデス・ベンツGLA180は、「麺少なめ、チャーシュー、味玉トッピング」だった(しつこい)。

文・サトータケシ 写真・安井宏充(Weekend.) 編集・稲垣邦康(GQ)

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