愛車で一番目にする場所
ドライバーにとって愛車で一番よく目にする場所は、何はさておきメーターパネルではないだろうか。対向車や障害物、進行方向といった膨大な情報量を処理しながらも、運転中のドライバーは計器を睨み、速度や車両のコンディションを常にチェックしなければならない。だからこそ、メーターパネルには高い視認性と可読性が求められる。
ベントレー マリナー バカラル、生産第1号車のテストが完了。659psを発揮する強化型6.0リッターW12が完成するまでを追う
クルマにとって必要不可欠な重要部品であるメーターパネルの歴史を、ガソリン自動車を世界で初めて作ったメルセデス・ベンツの年譜に沿って振り返ってみたい。
世界初のガソリン自動車の速度計は「16km/h」が上限
カール・ベンツが1886年に作った世界初のガソリン自動車「パテント モトールヴァーゲン」には、すでに速度計が装着されていた。その数十年前には、すでに蒸気機関車が100km/hの壁を超えていたものの、パテント モトールヴァーゲンの速度計に刻まれた最高速度は「16km/h」。ガソリン自動車の最高速度は歩くスピードの倍程度だったのである。ちなみに当時、自動車の制限速度を定めた法律は存在しなかった。
1909年には、ドイツ国内市街地の最高速度が15km/h(これは馬の早足に合わせたものだったとか)に制限されている。ドライバーは、いよいよ道路や交通状況だけでなく、自車のスピードチェックも必須になった。この時代以降、スピードメーターのないクルマは過去の遺物となったようだ。
横型、縦型の変形メーターも登場
自動車の人気が高まるにつれ、「速いクルマ=良いクルマ」という認識が人々の間に拡散。速度計は、その速さを証明するためのオプション装備となった。1928年に登場した「タイプSS(Super Sport)」には、7.0リッターのスーパーチャージャー付き6気筒エンジンを搭載。オプション装備された速度計には100km/hまでのメモリが刻まれていた。
メーターパネルがドライバーの視界に収まる位置へ設置されるようになったのは、1950年代に入ってから。計器は丸いダイヤル型が大勢を占めていたものの例外もあった。たとえば通称“ポントン”(W180/W128シリーズ。1954年~1959年生産)では横長の長方形デザインを採用。
“フィンテール”を備えたW111/W112シリーズ(1959年~1965年生産)は、“体温計”と愛称で呼ばれた垂直デザインのメーターを搭載していた。ちなみに、ドイツ市街地の制限速度など、重要な目盛りをハイライトするようになっている。
液晶ディスプレイメーターに起きた“大革命”
自発光式、インフォメーションディスプレイ内蔵など、1990年代に入り一気にメーターパネルの近代化が加速。アナログ計器の時代が第一次メーター時代なら、このあたりが第二次メーター時代といえるかもしれない。そして2010年代後半には、フル液晶ディスプレイを嵌め込んだ“映像型”メーターパネルの採用が飛躍的に増殖している。
そして2020年、第三次メーター時代ともいえる液晶ディスプレイメーターのトレンドに、さらなる大革命をもたらすクルマが登場した。フルモデルチェンジしたフラッグシップ、Sクラスである。「3Dコクピットディスプレイ」は、特別なメガネの着用なしに、実際の景色と同じような被写界深度を実現。いわゆる「裸眼で3D」を現実のものとした。
AR(拡張現実)や、湾曲する有機ディスプレイなど、これからも先進テクノロジーがもたらすメーター革命は続くだろう。クルマがドライバーの操るものである限り、メーターは永遠に不滅なのだから。
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みんなのコメント
日本の夏は車内が70°Cを超える。 何年もつかな?
交換時は・・・20万円超えかな。
子供のオモチャ
高級感のカケラも無い