McLaren Senna
マクラーレン セナ
マクラーレン セナをエストリルサーキットで試す:詳細解説&インプレッション編 【Playback GENROQ 2018】
清水和夫の限界領域ドライブ
かつてホンダの評価ドライバーとしてセナとともに仕事をしたこともある清水和夫。だからセナというスーパースポーツに対する思い入れは、やはり人一倍強いのである。セナの思い出と共にエストリルサーキットで限界領域を試す。(前編/後編)
清水和夫「セナの魂は間違いなく宿っている」
こんなに興奮する試乗会は初めてだ。理由は単に1.2トンのボディに800psのエンジンを載せた最速のスポーツカーだからではない。その究極のマクラーレンにあの「アイルトン・セナ」の名前が与えられているからだ。
F1人生で最もセナが輝いていたのは、マクラーレン・ホンダ時代だった。だからセナの存在感は日本のクルマ好きにはとても大きかった。25年以上も前だが実はホンダNSXのプロトタイプテストの際、セナと一緒になったことがある。ホンダを愛するセナは、NSXの開発もサポートしていた。かつてホンダF1を指揮していた桜井淑敏さんからこんな話を聞いたことがある。鈴鹿の逆バンクでセナはスロットルを1秒間に7回もオンオフしていた-。ダイナミックに攻めるセナのドライビングは、実は想像を絶する繊細なコントロールをしていたのだ。
「セナを偲びながら、史上最速マシンのテストドライブを始めよう」
試乗会場となるエストリルは、エスケープが狭い割にストレートの最高速が高い。そんなサーキットでセナの性能を引き出すのは、プロでも至難の業。近くにもっと近代的で安全なサーキットがあるが、エストリルを選んだのは、セナが初めてF1で勝ったサーキットがエストリルだったからだ。その時のマシンはロータスだったのだが・・・。セナの前後左右の最大Gは量産車のレベルを超え、スリックタイヤを履くレーシングカー並みだという。そのリスクを受け入れて、セナのメモリアルサーキットで走る意味があるのか? セナを偲びながら、史上最速マシンのテストドライブを始めよう。
セイフティ・ブリーフィングを受けてから、HANS付きヘルメットを被ってコクピットに乗り込むと、隣にインストラクターが座った。私を担当するのは46歳の現役レーサーのロバート・ガロフォール。LMP2で走るベテランレーサーだが、彼でもセナは手に余るという。「今日は君に任せるよ。ギヤポジションと2ヵ所ほど危ない場所を教えるから」とロバート。第6ターンの立ち上がりの路面がバンピーであることと、パラボリカのライン取りを教えてくれた。
フルカーボンのバケットシートに身体を沈め、6点式ベルトをしっかりと締め、ピットロードをゆっくりと走り出す。セナがF1で初優勝したサーキットのピットロードだ。レース開始直前にセナがどんな心境だったのか想像した。スタートの混乱、バトル、燃費は? タイヤは? 色々なことがドライバーの脳裏に去来する。プレッシャーもあるだろうが、それに打ち勝つだけの集中力と自信がセナにはあった。
「今まで培った技術をすべて駆使してエストリルの高速コーナーを攻める」
私も同じだ。今まで経験してきたドライビングのすべてを駆使して、もっともスマートなドライビングでセナのパフォーマンスを引き出そうと集中した。ロバートはセナのダウンフォース特性をアドバイスするだけで、あとは黙って私のドライビングを信頼してくれた。タイヤが十分に温まるのを確認し、ペースを上げる。ダウンフォースは第5ターンで試すといいとロバートがインカムで囁いた。5速全開で行けそうなコーナーはコースオフするとダメージが大きい。切り遅れないように早めに操舵する。ダウンフォースのバランスがよく、ノーズはスッとインを向き、縁石カット気味のラインを正確にトレースできた。リヤがしっかりとグリップしているので安心だ。720Sではリスクが高そうなコーナーだったが、セナでは空力特性のおかげで安心して走破できた。
ロバートが気にしていた第6ターンの立ち上がりのバンピーな場所はあまり横Gをかけないように、ギヤは早めに4速にシフトアップしてクリアした。バンピーな路面はあまり得意ではないようだ。そしてエストリル最大の難関であるパラボリカ。昔テストでも走ったことがあるが難しいコーナーだ。旋回時間が長いので、大きな横Gと戦う必要がある。すっかりなまってしまった身体で、2G近い横Gに耐えるのは簡単ではない。ラインはミドルからアプローチし、出口のクリップをしっかりとトレースするのがポイントだが、横Gに負けて走行ラインが膨らむと、元のラインに戻るのが困難になる。
「セナが“セナ”に乗ったら、何を感じただろうか」
ストレートの速さは息もできないほどの加速で空気の壁を切り裂く。この感覚はGTカーの醍醐味だ。ストレートエンドでは285km/hに達した。720Sよりも10km/hほど速い。高速からのブレーキングも見事だ。エアブレーキの効果もあり、あっという間にスピードが落ちる。ブレーキのフィールもよく、300km/hからのブレーキングに耐えるものだった。
テストドライブ後のマクラーレンスタッフとの夕食会で、スポーツカーとセナの談義に華が咲いた。セナが「セナ」に乗ったら、何を感じただろうか。気がつくと大西洋に夕陽が沈みかけていたが、それがかえって眩しかった。
REPORT/清水和夫(Kazuo SHIMIZU)
PHOTO/McLaren Automotive
【SPECIFICATIONS】
マクラーレン セナ
ボディサイズ:全長4744 全幅1958 全高1229mm
ホイールベース:2670mm
車両重量:1198kg(Dry)
エンジン:V型8気筒DOHCツインターボ
総排気量:3994cc
最高出力:597kW(800ps)/7250rpm
最大トルク:800Nm(81.6kgm)/5500-6700rpm
トランスミッション:7速DCT
駆動方式:RWD
サスペンション形式:前後ダブルウイッシュボーン
ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク
タイヤサイズ(リム幅):前245/35R19(8J) 後315/30R20(10J)
最高速度:340km/h
0-100km/h加速:2.7秒
車両本体価格:67万5000ポンド
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